日本CA、スリムなITを提供するコンセプト「Lean IT」－6分野のソリューションを提供

Lean ITの基本的な考え方

マーケティング部 小屋敷泰教部長

Lean ITで提供する6つのソリューション

　日本CA株式会社は6月30日、企業の存続・発展を支援する新しいコンセプト「Lean IT」を発表した。Lean ITを実現するためのソリューションを提供するとともに、既存の重要顧客に対しては無償のコンサルティングサービスを行うことで、「不況の中で、無駄をなくしてより多くのことを達成しなくてはいけない、現在のITのチャレンジを支援する」（マーケティング部 小屋敷泰教部長）という。

　Leanは「余分な肉のない、（会社などが）無駄がなく活力がある」という意味の英単語だが、これが、無駄を極力省いたトヨタの生産方式を表す言葉として利用されるようになったという。この言葉をITに適用したLean ITとは、ひとことでいうと「IT組織が何に注力するかを支援するアプローチ」（小屋敷部長）。ITコストが圧縮されながらも、価値の提供を求められる不況下では、好況時よりも的確な投資が求められてくる。そこで日本CAでは、自らが持つソフトウェアやサービスの中から、ITをスリム化するのに必要なソリューションを抜き出してメッセージ化し、Lean ITとして体系化した。

　1）アプリケーションパフォーマンスマネジメントでは、特に、エンドユーザーに一番近いところにあるWebアプリケーションに注目し、ダウンタイム削減、応答性能改善などを支援する。また、2）インフラストラクチャマネジメントでは、自動化と最適化によるインフラの効率的な管理を支援するほか、3）サービスマネジメントでは、サービスインプリメンテーションの短縮により、ITの効率とユーザー満足度の向上を図る。

　4）セキュリティマネジメントは、コンプライアンス対応などによって複雑になってきたセキュリティ管理を、自動化によって支援し、コスト削減を目指すもの。5）プロジェクト＆ポートフォリオマネジメントは、全社のプロジェクトをすべて同じ目線からながめることで、フォーカスすべきプロジェクトを決め、取捨選択によって最適なプロジェクトを推進できるようにする。最後の6）メインフレーム 2.0では、メインフレームの管理をシンプルにすることで、今すでにあるメインフレームの価値を最大限に引き出す方法を提案するという。

　これらのソリューションでは、6）を除いて日本CAの既存ソフトウェア製品を活用して効果の最大化を狙っているが、小屋敷部長は「当社はソフトウェア専業ベンダーであり、ハードウェアやSIの事業は手掛けていない。そのため、プラットフォームに依存しない選択の自由を提供できるメリットがある。製品を導入して、いかに短時間で価値を出せるかに専念できる」と述べ、同社ならではの特徴を強調した。

　またソリューションを用意する一方、「お客さまがコスト削減という命題を求められた時に、それが効果があるのかどうかを、お金を払って調査しようということは最近では難しい」（カスタマービジネスコンシェルジュの伊藤正博氏）ことから、重要顧客に対し、無償のサービスを提供するという。日本CAではこれをITの「コンシェルジュ」として位置付けており、伊藤氏は「コンサルティングやアセスメントを提供する、専任の相談役としてお客さまに行脚する」とした。

　具体的なサービスメニューとしては、個別の課題をどう解決していくかというコンサルティングのほか、たくさんの課題があってどこから手を付けていいかわからない、という顧客向けには、課題の洗い出しと優先順位を定義するサービスも用意する。