アクセンチュア、日本オラクル本社内に活動拠点を設置-世界では3拠点目


左より、アクセンチュアの武田安正副社長と大薗博明センター長、日本オラクルの志賀徹也副社長
アクセンチュア オラクル・イノベーション・センター設立の狙い
設立初年度の注力テーマ

 アクセンチュア株式会社と日本オラクル株式会社は7月8日、日本オラクル本社内に、アクセンチュアが「アクセンチュア オラクル・イノベーション・センター」を設立し、業務アプリケーションに関する包括的な協業を開始すると発表した。日本オラクル製品を用いたソリューションの作成からシステム導入・運用までを包括的に支援する拠点として、同センターを利用する。

 AccentureとOracleでは1990年ごろから協力関係を築いており、Oracleの米本社に開設したセンターで、主にテクノロジーに関する協業を行っていた。しかし、「Oracleがここ数年投資しているアプリケーション分野では、各地域の市場に即したソリューションが必要」(アクセンチュア 代表取締役副社長兼システムインテグレーション&テクノロジー本部 統括本部長の武田安正氏)との考え方から、米国以外でも施設を展開。中でも、「事業の成長余力が大きく、オラクル製品の成長性も高いことから、米国、英国に次ぎ世界で3番目に、日本での開設を決めた」という。

 アクセンチュア システムインテグレーション&テクノロジー本部 Oracleビジネスインテグレーショングループ統括 エグゼクティブ・パートナー兼アクセンチュア オラクル・イノベーション・センター長の大薗博明氏によれば、同センターの役割は大きく5つ。1つ目は、テクノロジーセンターとしての役割で、新しいアプリケーション製品、テクノロジー製品の機能検証や実証などを行う。2つ目は、ソリューションシナリオの作成などを行うデモセンター、3つ目は、それをノウハウ化・アセット化し、1つの会社だけではなく広く業界で使えるようにするソリューションアセットセンターの役割。また、4つ目のプロポーザルサポートセンターでは提案活動による案件開拓の役割を、5つ目のプロジェクトサポートセンターではプロジェクト支援などの役割を担う。

 アクセンチュアではこうした取り組みを通じて、日本オラクルとの間で相互理解・状況共有などを進め、最先端のITソリューションについても、密接な関係で提案などを行っていけるようにする考え。さらに、グローバルのセンターとも協力し、「先端事例を日本に積極的に取り入れていくためのハブとして活用する」(大薗氏)とした。

 具体的なテーマとしては、「Enterprise S&OP(Sales&Operation Planning)」と「IFRS(国際財務報告基準)」に注力。前者では、「経営管理の視点とオペレーションの視点をうまくつなげることで、お客さまの成長に寄与するソリューションを提案する」(大薗氏)とのことで、経営に必要な情報をタイムリーに提供するとともに、それをもとに経営資源の配置を最適化し、収入の最大化を図れるようなソリューションを開発する。また後者では、「日本におけるIFRS適用を機に、経営管理業務のいっそうの効率化・高度化と、オペレーションまでの改革を踏まえたソリューションを開発する」(大薗氏)意向で、まずは、現状をどう変えていかなければいけないのかを診断するためのツールを、グローバルと連携して開発するとした。

 なお、日本オラクル 副社長執行役員 アライアンス統括本部長の志賀徹也氏は、今回の協業について、「本年度は製品のバージョンアップがずいぶんと行われるので、技術支援のタイミングが非常にいいと思っている。また、同じ建物内にいるのだから、営業同士の密なコミュニケーションも期待できるだろう」とコメントし、期待を表明している。


(石井 一志)

2009/7/8 16:18