携帯電話用ハイパーバイザー「VMware MVP」を初公開-国内での展開は未定


米VMware、Director, Product Management and Market Development, Mobile MarketingのSrinivas Krishnamurti氏
VMware MVPの基本スペック

 ヴイエムウェア株式会社は7月21日、携帯電話端末向け仮想化プラットフォーム「VMware Mobile Virtualization Platform(以下、VMware MVP)」に関する記者向け説明会を開催。来日した米VMware、Director, Product Management and Market Development, Mobile MarketingのSrinivas Krishnamurti氏より、VMware MVPの特長およびデモンストレーションが行われた。

 VMware MVPは、携帯電話向けのハイパーバイザー。1台の端末上に複数OSを動作させられるのが特長。30KBという小さなフットプリントのハイパーバイザーで、MMUを使用したARMv4、ARMv5、ARMv6、ARMv7アーキテクチャをサポート。対応するOSは、Android、Symbian、Windows CE、μ-ITRON、ecos、μC-OS/IIなど。

 Krishnamurti氏は、「携帯電話は、単なるコミュニケーション用のデバイスだけでなく、小さなコンピュータという存在になるまで大きく進化している。その結果、アプリケーション利用やセキュリティ、管理性能、ユーザー固有環境の管理、プライベートとビジネスでの使い分けといったPCが抱えている問題を携帯電話でも経験することになるだろう」と、機能が向上した携帯電話がPCと同様の課題も引き継ぐと指摘。

 こうした課題に対して、同社が得意とする仮想化技術が有効とKrishnamurti氏は説明する。「携帯電話で仮想化を実現することで、ソフトウェアがハードウェアに依存しない環境を構築することができる。これにより、複数のOSがひとつの携帯端末上で動作することが可能になり、個人用とビジネス用といった複数環境をひとつの携帯端末上で共存させることができる」と、使い分けが容易になると指摘。「また、ユーザー環境をクラウド上にバックアップしたり、ポリシーを設定することで利用シーンに応じたさまざまな制限を設けるといった使い方も可能になる。そのほか、サーバー仮想化で実現しているような仮想アプライアンスを携帯電話でも利用するといった使い方もできる」と、幅広いニーズに応じた使い分けが可能になると説明する。


携帯電話で仮想化を利用するメリットVMware MVPの基本的な仕組み複数のOSを同一端末上で動作させることも可能
NOKIA N800で動作するVMware MVP

 説明会では、VMware MVPを搭載したNOKIA N800でデモンストレーションを実施。AndroidとWindows CEの2つのOSが同一端末上で動作する様子などが紹介された。なお、VMware MVPの発売日については、「VMware MVPの採用に関しては、国内外の各キャリアが判断されること」(同社ストラテジックアライアンスマネージャの名倉丈雄氏)として、現時点では未定とした。


個人用環境としてAndroidを起動している様子Android環境が起動。デモ端末ながらフランス国内では実際に通信できるとのこと

ビジネス用環境としてWindows CEを起動している様子2つのOSが同一端末上で起動しているのがわかる





(福浦 一広)

2009/7/21 16:22