NTT ComとNTTデータ、SaaS事業者向けのサービス基盤を共同開発

認証やポータル、回収代行などの機能をPaaSで提供

NTT ComとNTTデータの事業展開
NTTデータ ビジネスソリューション事業本部長の神田文男氏

 エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)、株式会社NTTデータ、日本電信電話株式会社(以下、NTT)の3社は7月29日、「SaaS基盤共通機能群」を開発したと発表した。NTT ComとNTTデータが、同基盤を用いた事業展開を順次行っていくという。

 今回開発されたSaaS基盤共通機能群は、大きく分けて6つの機能からなる基盤で、このうちもっとも重要な部分は「認証基盤機能」。NTT Comの持つ多要素認証技術と、NTTデータのシングルサインオン(SSO)機能、ID管理機能を組み合わせ、さらにNTTの情報流通プラットフォーム研究所が開発したSAML技術を活用している。NTTデータ ビジネスソリューション事業本部長の神田文男氏によれば、「多要素認証では、パスワード、ICカード、NGN回線認証などを複数組み合わせて強度を高められるほか、認証要素を後からプラグインできる点が特徴。当社のSSOとID管理の機能については、SaaSで利用するためのマルチテナント対応や、ユーザー側のIDとSaaSアプリケーションのIDを相互変換する部分などを開発している」という。

 また、ポータルサイトをエンドユーザーに提供するための「SaaSポータル」機能、SaaS事業者のサービスとNTT Comのネットワークサービスやインターネットを接続する「ネットワークゲートウェイ」機能、Webシステム構築に必要なミドルウェアをパッケージした「Webシステム構築基盤」機能などを提供。加えて、NTT ComのVPNサービスの料金請求にSaaSアプリケーションの利用料金を合算し、NTT Comが料金回収を代行する「料金回収代行」機能、決済ネットワーク機能を提供する「マルチペイメント/クレジット決済」機能も用意した。

 NTT Comでは、これらの機能をSaaS事業者に提供するPaaS(Platform as a Service)を中核に事業を進める考えで、9月以降にサービスを開始する見込み。一方のNTTデータは、まず、「Biz∫」「Bizplat」「MaDoRE」など自社アプリケーションをこの基盤上にのせ、SaaSとしてエンドユーザーに提供する計画で、10月以降の提供開始を予定する。さらに、NTT Com同様にSaaS事業者向けのPaaSサービスの提供も行うほか、一般企業に対しても、企業内SaaSの基盤として訴求するという。加えて両社は、SaaS基盤を提供するほかの事業者との相互接続についても、連携を進めていくとしている。

 事業目標としては、NTT Comは現在の9社から、3年で20社をめどにパートナーのSaaS事業者を拡大したいとのこと。金額としては、周辺のサービスを含めて、3年間に100億円規模のビジネスに成長させたいという。NTTデータでも、3年間で100億円程度を見込んでいる。


(石井 一志)

2009/7/29 16:29