富士通が2009年度第1四半期の連結決算を発表、上期と通期を上方修正
執行役員上席常務(CFO)の加藤和彦氏 |
富士通株式会社は7月30日、2009年度(2010年3月期)の第1四半期連結決算を発表した。売上高は前年同期比11.3%減の1兆443億円、営業損失は前年同期から429億円悪化し371億円の赤字、経常損失も同482億円悪化して398億円の赤字。当期純損失も、前年同期から295億円悪化した291億円の赤字に転落している。
なお売上高については、Fujitsu Technology Solutions(FTS、旧富士通シーメンス)とFDKを連結子会社化した影響や、為替の円高に伴う影響を除いた実質増減率は、前年同期比16%減。営業損失は、FTSの連結子会社化に伴って時価評価した開発費約50億円の一括費用処理など、計140億円の特殊要因を除いても大幅な悪化だが、執行役員上席常務(CFO)の加藤和彦氏によれば、「赤字幅は想定よりも圧縮されている」という。
セグメント別にみると、テクノロジーソリューションの売上高は、前年同期から296億円減の6682億円、営業損失は同235億円減の153億円の赤字。
このうち、サービス分野は、売上高が前年同期から95億円減の5456億円、営業利益が前年同期比100億円減の19億円となった。国内では、アウトソーシングサービスが堅調に推移。SIについても、「公共・社会インフラ向けは底堅く収益を下支えしたが、自動車、金融などで減収となった」(加藤氏)。インフラサービスも景気悪化の影響を受けた。
もうひとつのシステムプラットフォーム分野は、売上高が前年同期から201億円減の1226億円、営業損失が同135億円悪化し、172億円の赤字。加藤氏は「システムプロダクトが、国内、北米、欧州ともに企業の投資抑制の影響を受けて厳しいスタートになった。ネットワークプロダクトは、携帯基地局がLTEまでの端境期にあるので減収。北米の光伝送システムは6月以降受注が回復してきているものの、第1四半期の売り上げは低調だった」とした。
ユビキタスプロダクトソリューションでは、売上高が前年同期から340億円減の2378億円、営業利益が前年同期から34億円減の65億円。国内は前年同期比19%減の大幅な減収で、PCが企業の投資抑制や個人向け市場での価格競争激化の影響を受けたが、「携帯電話はマイグレーション需要があり、シニア向けを中心に堅調」(加藤氏)という。海外も、事業再編などの影響を除くと32%の大幅な減収である。
デバイスソリューションは、売上高が前年同期から534億円減の1189億円、営業損益は107億円悪化し155億円の赤字。国内は、FDKの連結子会社化による事業再編の影響を除くと42%の減収。海外も、事業再編や為替の影響を除くと30%の減収で、電子部品や自動車関連向けのロジックLSIが不調だった。
また富士通では、2009年度上期と通期の業績見通しの修正も発表している。上期については、電子部品やオーディオナビゲーション機器の市況が持ち直したこと、携帯電話の売り上げ増やコスト効率化などを受け、上方修正が行われている。特に携帯電話については、「コストダウンも進んでおり、採算性も良くなった。来月発売のらくらくホン6など、新型の防水携帯電話が好調なら、かなりの上ぶれもある」(加藤氏)とのこと。修正後の売上高は、当初見込みより100億円増の2兆2100億円、営業損失は同150億円改善した350億円の赤字、経常損失が同150億円改善した450億円の赤字、四半期純損失が同100億円改善した550億円の赤字。
一方通期も、電子部品の市況改善を織り込み上方修正。売上高が当初見込みより200億円増の4兆8200億円、営業利益が同100億円増の900億円、経常利益が同100億円増の700億円、四半期純利益が50億円増の250億円に、それぞれ修正されている。
2009/7/31 00:00