日本HPとレッドハット、金融機関向けのLinux移行支援プログラム
MRG Realtimeの概要。アプリケーションやトランザクションを予測可能に動作させ、応答時間を保証する |
レッドハット株式会社と日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は7月30日、金融機関向けにLinuxベースのプラットフォームへの移行を支援するプログラム「ReaLISM(Realtime Linux Infrastructure for Server Migration)」を発表した。これに伴い、日本HP市ヶ谷本社内の「HP金融グリッドセンター」に「金融機関向けLiunxリアルタイムシステム構築支援オフィス(以下、構築支援オフィス)」を設立し、営業活動および構築支援を共同で行っていく。
ReaLISMは、Xeon 5500番台を搭載するサーバー「HP ProLiant Generation 6」とリアルタイムOS「Red Hat Enterprise MRG Realtime(以下、MRG Realtime)」を組み合わせて、リアルタイム性に優れた金融システム構築を支援するためのプログラム。
MRG Realtimeは、リアルタイム性に特化したOSで、Red Hat Enterprise Linux 5(RHEL 5)をベースに、カーネルを「リアルタイムカーネル」に換装したものとなる。このため、リアルタイムカーネルによる処理性能を享受しながら、「RHEL 5で使えるアプリケーション、デバイスもすべて利用できるのがメリット」(レッドハット、マーケティング本部長の中井雅也氏)。
機能的な特徴は、「処理の際にレイテンシが一定してぶれない点で、応答時間の予測が容易になるほか、重要なリアルタイムアプリケーションの優先度を保ち、あまり重要ではない処理を割り込みさせないようなスケジューリングなどが可能となる」(同氏)。
中井氏は「金融業界では昨今、リアルタイム性、高速性が求められており、時としてシステムトータルで1ミリ秒以下の速度が求められることもある。今回のはリアルタイム処理にフォーカスした移行支援プログラムで、Linuxを使ってくださいという提案になる。主にトレーディングなど証券・銀行を対象に、UNIXからの置き換えを狙うものだ」と説明している。
日本HP、ISSビジネス本部 ソフトウェア・プロダクト&HPCマーケティング部 担当部長の赤井誠氏 |
総合サービス窓口を担当するのは日本HP。製品面でも、ProLiant BIOSのローレイテンシの要求を満たすためのオプション機能とMRG Realtimeの組み合わせ検証を行ったほか、“ハイパフォーマンスの追求”として従来より開発してきた、I/OアクセラレータやInfiniBand QDR製品など技術を採用。「工場出荷前にサーバー設定を済ませるとともに、インフラの設計・構築、アプリケーションに対するポーティング・チューニング支援などを行う」(日本HP、ISSビジネス本部 ソフトウェア・プロダクト&HPCマーケティング部 担当部長の赤井誠氏)。
一方のレッドハットは、MRG Realtimeの提供・技術支援のほか、日本HP内の構築支援オフィスにスタッフの常駐を行い、常に両社のエンジニアによるサポートを行えるよう体制を整備。今後も両社共同で、新製品・新技術の検証やベンチマークを行っていく。
ProLinat BIOSのオプション機能とMRG Realtimeを組み合わせた検証。BIOSの設定変更後は、レイテンシのばらつきが少なくなっていることがグラフから分かる | 日本HPのエキスパートがインフラ設計・構築、アプリケーションのチューニング支援など実施 | 日本HP内の構築支援オフィスにはレッドハットのエンジニアも常駐 |
2009/7/30 18:40