富士通、ICカードリーダを活用した認証印刷ソリューション

紙からの情報漏えい防止と印刷コスト削減を実現

 富士通株式会社は8月26日、安心安全ソリューション「SafetyValue」の新たなラインアップとして、紙からの情報漏えい防止と印刷コストの削減を実現する「認証印刷ソリューション」を同日より提供開始すると発表した。

 「認証印刷ソリューション」は、富士通の印刷管理ソフトウェア「Interstage Print Manager」と、富士通アドバンストエンジニアリングの認証管理ソフトウェア「EcoGate Print for Print Manager」、およびICカードリーダで構成される。利用者は、プリンタに設置されたICカードリーダに本人の対応カードをかざすことで印刷を行う。利用者自身が認証をしないと印刷されないため、プリンタでの印刷物の置き忘れや紛れ込みなどによって発生していた紙からの情報漏えいを防ぐことができる。

認証印刷ソリューションの概要プリンタに設置されたICカードリーダ
富士通 サービスビジネス本部 安心安全ビジネス推進室 室長の太田大州氏

 富士通 サービスビジネス本部 安心安全ビジネス推進室 室長の太田大州氏は、情報漏えい事故の現状と傾向について、「2005年4月に個人情報保護法が施行され、各社が対策の導入を進めたことで、一時、情報漏えい事故は減少傾向にあった。しかし、2008年は一転して事故件数が急増している。その内訳を見ると、不正な情報持ち出しや内部犯罪・内部不正行為が減少しているのに対して、技術的な対策がとりにくい利用者のうっかりミスや誤操作、紙媒体からの情報漏えい事故が増加傾向にある」と分析。「今回の新ソリューションは、こうした人に依存する事故への対策強化を図るもので、これにより、特にこれまで対策が遅れていた印刷セキュリティでのビジネス拡大に力を注いでいく」と、新ソリューションの狙いを述べた。

 また、新ソリューションは既存の印刷環境をそのまま活用できることも特徴。複数の異なるベンダーのプリンタを一元管理することができるため、導入にあたって、プリンタメーカーや機種を統一する必要がなく、既存のプリンタにICカードリーダをLANケーブルで設置するだけで、簡単かつ低コストで認証印刷が実現できる。主要プリンタのドライバを利用することで、プリンタメーカーや機種による印刷のズレについて心配することなく、プリンタ機種固有の機能をフルに活用することが可能となる。

ICカード認証により情報漏えいを防止既存の印刷環境をそのまま活用

 さらに、印刷環境や情報などを印刷管理サーバーで一元管理しているため、部門や利用者ごとに、印刷枚数やカラー・モノクロ比率、両面・片面比率といった管理者向け統計情報をレポート出力することが可能。これにより、印刷状況を見える化し、無駄な印刷コストの削減とともに、紙の印刷量削減を図ることができる。なお、長時間認証されない印刷データは、自動的に不要と判断して消去する。

 このほか、「どこでも認証印刷」機能によって、印刷時に選択したプリンタが混雑などにより使用できない場合は、あらためて印刷を指示し直すことなく、ほかのプリンタのICカードリーダで認証を行うことで、その場で印刷することが可能となっている。

 富士通 ミドルウェア事業本部 データマネジメント・ミドルウェア事業部 主席部長の栗島正博氏は、「今、企業では印刷業務改善に向けて、情報漏えいリスクの軽減を始め、印刷コストの削減、環境負荷の低減という3点が大きな課題となっている。新ソリューションは、これらの課題をすべて解決することが可能で、まず、情報漏えいリスク軽減については印刷物の持ち去りリスクをゼロにできる。印刷コスト削減については、当社計測値で従来よりも約20~30%の削減が可能。そして、環境負荷低減では、C02換算で約5トンを削減することができる」と、新ソリューションの導入メリットを説明した。

無駄な印刷コストの削減どこでも認証印刷富士通 ミドルウェア事業本部 データマネジメント・ミドルウェア事業部 主席部長の栗島正博氏

 新ソリューションの販売価格は、「Interstage Print Manager Standard Edition V9」が30万円(税別)、「EcoGate Print for Print Manager」が30万円(税別)、ICカードリーダが4万円(税別)。富士通では、今後3年間で3000社の導入を目指している。


(唐沢 正和)

2009/8/26 15:45