顧客・製品単位で収益性を分析する「SAS Profitability Management」
執行役員 ビジネス開発本部長兼プロフェッショナルサービス本部長の宮田靖氏 |
顧客を理解することが重要 |
SAS Institute Japan株式会社(以下、SAS Japan)は9月30日、費用や収益を詳細に把握・配賦し、より精度の高い収益性分析を実現する「SAS Profitability Management」を発表した。
同製品は、従来の会計ベースの分析だけでなく、実際のトランザクションレベルで動的に収益や費用を分析できるソリューション。顧客一人ひとりや製品個々などの詳細なレベルで、収益性を把握・分析することができるという。
では、なぜ詳細に収益性を把握することが必要なのか。それは「顧客嗜好が激しく変動し、消費低迷が長引く厳しい経済情勢下で、多くの企業が収益性改善に注力したいと考えているからだ」(執行役員 ビジネス開発本部長兼プロフェッショナルサービス本部長の宮田靖氏)。
「どの顧客が高い収益をもたらしているのかを理解することが重要となる。例えば、維持している顧客が収益性の高い顧客とは限らないし、提案している製品が最も収益性の高い製品とは限らない。また収益を生まない製品の販売は、結果として損失を招くこともあるが、顧客単位・製品単位で収益性管理ができていなければ、それに気づくことさえ不可能なのだ」(同氏)。
SAS Profitability Managementはそれを可能にするという。
ビジネス開発本部 PMビジネス開発部長の森秀之氏 |
顧客別収益を把握するためには、顧客別サービスコストを考慮する必要がある |
まず「一番難しいのは顧客別に収益管理することだ」(ビジネス開発本部 PMビジネス開発部長の森秀之氏)。そもそも収益とは何か。もちろん「売上」から「原価」を引いたものだが、一般的に全社・事業ベース、あるいは顧客グループ・製品グループベースでしか把握できていない場合が多い。これを顧客別に管理しようとすると、顧客別のサービスコストを原価に紐付ける必要が出てくるが、森氏によると「実はこのサービスコストの算出が難しいのだ」という。
例えば、金融業であれば「支店窓口利用回数」「ATM利用回数」「コールセンター利用回数」「音声自動応答利用回数」「オンライン取引利用回数」など顧客ごとの行動にそれぞれの単価を掛けてサービスコストを算出する。ところが「これらのサービスの月間利用件数は数え切れず、従来の原価計算システムでは処理するのは到底不可能だった」(同氏)というわけだ。
これに対してSAS Profitability Managementでは、収益計算を高速に行うエンジンとして、まず数十億件もの大量トランザクション処理に対応。顧客の行動における費用や収益が発生した時点――つまり最小粒度のトランザクションレベルで収益性を分析することが可能となる。これにより、費用や収益をユーザーが定義したルールに従って配賦し、顧客・製品のSKU(最小在庫管理単位)別、あるいはチャネル・組織別など、あらゆる集約レベルで損益計算書を作成できるという。
サービスコストの原価算出は、活動原価管理ソリューション「SAS Activity-Based Management(ABM)」で行う。さまざまなサービスコストを算出し、SAS Profitability Managementに登録した「ビヘイビア(顧客行動)」に結びつける。さらに各トランザクションとビヘイビアを結びつけてルール化し、計算、収益性分析を実施。最終的にレポートとして出力できる。ABM以外にも他社の活動原価管理製品があれば、それと連携することも可能だ。
SAS Profitability Management自体には、収益計算エンジンのほか、ソースから情報を吸い上げる「SAS Data Integration Server」や分析などを行うための「SAS Enterprise BI Server」「SAS Metadata Server」などが同梱しており、トランザクションレベルではない標準レベルの分析なら、同製品単体で完結するようになっている。
SAS Profitability Managementの概要 | 利用の流れ | SAS Profitability Managementの構成要素。標準レベルの収益性管理ならこれ単体で行える |
実際に期待される効果としては、「例えば、通信サービスメニューは通話時間、パケット通信などに応じて、きめ細かい設定が求められる。こうしたメニューをどう設定すれば、収益性を100%にすることができるか、無駄なメニューを作らずに済むか分析することが可能だ。また、無料サービスで一定ボリュームを超えた際に有償としたい場合に、どこにしきい値を置くべきかといったことも、簡単に分析することができる」(森氏)という。
SAS Profitability Managementの最小構成価格は2000万円から。SAS Japanは今後1年間に5社、2億円の売り上げをめざす。
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2009/9/30 16:49