マイクロソフト、64ビット化で基本性能が向上したExchange Server 2010を紹介


Exchange Server 2010の強化ポイント
インフォメーションワーカービジネス本部 業務執行役員 本部長の横井伸好氏

 マイクロソフト株式会社は10月7日、年内のリリースを予定している「Microsoft Exchange Server 2010」に関する製品説明会を開催。強化点や次期オフィス製品「Office 2010」との連携機能などが紹介された。

 Exchange Serverは、同社のビジネスプロダクティビティサービスの中核となる製品。最新版では、Windows環境にとらわれることなく、さまざまな環境からアクセスできるよう強化されている。同社インフォメーションワーカービジネス本部 業務執行役員 本部長の横井伸好氏は、「Windowsだけでなく、Mac OSの最新版でもメールクライアントのExchange対応が実現している。そのほか、WebブラウザもInternet Explorer、Firefox、Safariに対応している。スマートフォンに関しては、Exchange ActiveSyncを利用することで、ほとんどの端末から利用できるようになっている」と、幅広い環境からアクセス可能である点を強調。

 また、性能面では、ディスクI/Oを大幅に向上。「Exchange Server 2007で実現した64ビット化に加えて、データ構造そのものも64ビット前提に見直したことで、Exchange Server 2007と比べて70%、Exchange Server 2003と比べると90%の削減を実現した。これにより、メール流通量の増大に対応できるほか、ディスクI/Oを大幅に向上したので、安価なストレージを利用できるようになるなど、柔軟な運用も実現している」(インフォメーションワーカービジネス本部 ユニファイドコミュニケーショングループ エグゼクティブプロダクトマネージャーの齋藤義憲氏)と、64ビット化により基本性能も向上していると紹介した。

 コンプライアンス関連機能も強化。サーバーサイドでのパーソナルアーカイビングに対応するほか、Outlook 2010と組み合わせることでカジュアルな情報漏えいの防止も可能。「米国では電子文書の開示が義務づけられており、これに対応する機能も用意。ローカルにあるOutlookのPSTファイルをサーバーで保存することで、ユーザーが故意にメールを削除するのを防ぐことが可能」(齋藤氏)と説明する。

 また、個別ユーザーに対して、コマンド単位で権限を割り当てられる役割管理モデルを採用。「従来、IT部門ですべての設定を行っていたが、コンプライアンス関連は法務担当者が行えるといった使い方が可能になっている。また、この機能は、システム管理者にすべての権限を与えないようにするという意味でも効果があるもの」(齋藤氏)と、管理の効率化とコンプライアンス対応の両方を実現できる機能であると紹介した。


ディスクI/O性能を大幅に強化コンプライアンス関連機能も権限別に利用できる機能を割り当てられる役割管理モデル

 機能面では、ユーザーのフィードバックを反映し、Outlook 2010と組み合わせて利用する際の使い勝手を向上。組織単位でユーザーを表示する階層化アドレス帳や、複数ユーザーの予定を確認しやすいよう横方向に表示するなど、日本のユーザーの声を反映した改良も行われている。また、増え続けるメールを効率よく処理できるよう、メールのフィルタリング機能を強化。そのほか、会議の依頼など次のアクションが必要なメールは、ワンクリックで処理できるような仕組みを採用している。

 オンラインとの共存運用にも対応している。「Exchange Server 2010は、設計段階からサービスでの展開を前提として開発した製品。オンプレミスのExchange Serverとホスティング環境のExchange Onlineを業務要件に応じて使い分けることができる」と説明。なお、Exchange Server 2010ベースのExchange Onlineは製品リリースから半年後に提供される予定。


日本のユーザーの声を反映した機能メールの効率的な処理も実現オンプレミス・オンラインの両方で利用可能

 Exchange Server 2010の正式な発売日は現時点では未定。横井氏は「RTMは間近なので、年内には出荷する予定」と述べた。



(福浦 一広)

2009/10/8 00:00