日本IBM、ITリソースの監視や電力監視機能を追加した「CloudBurst」新版


IBM CloudBurst V1.2の特徴
ソフトウェア事業 Tivoli事業部 理事 事業部長の日野義久氏
IBM CloudBurst V1.2での拡張

 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は11月5日、プライベートクラウドソリューションの新版「IBM CloudBurst V1.2」を発表した。汎用のクラウド管理ソフトウェアを採用したほか、ユーザーインターフェイスの日本語化、可用性強化、従量課金のための情報収集機能追加、といった強化がなされている。

 CloudBurstは、プライベートクラウド環境を容易に構築するためのアプライアンスソリューション。プライベートクラウドを社内に構築するために必要なハードウェア、ソフトウェアのみならず、導入、設定、トレーニングなど、クラウド環境を稼働させるために必要なサービスもあわせて提供する。

 新版では、CPU、メモリといったリソースの使用状況を監視し、従量課金に必要なレポートを作成できる機能を搭載したほか、電力監視機能が追加された。また、管理サーバーのHA(高可用性)構成をサポートしたことにより、従来の開発・テストといった用途のみならず、本番運用についても対応できるという。加えて、オプションでIPSの追加も可能になり、セキュリティ面でも強化されている。

 さらに、ポータル機能や、クラウド環境の自動プロビジョニング機能などを提供するクラウド管理ソフトウェアに、単体製品としても提供される「IBM Tivoli Automation Manager V7.2」を採用した。このツールは、クラウド環境を利用するための申請・承認のワークフローを自動化・標準化する機能と、クラウド環境のプロビジョニングを自動化する機能の双方を備え、柔軟なクラウド運用を可能にする。ソフトウェア事業 Tivoli事業部 理事 事業部長の日野義久氏は、「これまでの専用ツールを汎用製品化することにより、より拡張性を持たせた。この自動化の仕組みは、他社との差別化ポイントだと考えている」とその意義を強調した。

 ハードウェアは従来製品同様、自社のブレードサーバーやストレージを中心に構築。搭載するサーバーブレード数などに応じて、「エントリー」「スタンダード」「アドバンス」の3つをモデル構成として用意する。サーバープールとして利用するサーバーブレードの数は、それぞれ3台、6台、13台で、ストレージは5.4TB、10.8TB、21.6TBの物理容量を搭載。いずれもカスタマイズに対応しているため、構成は柔軟に変更できる。参考価格は、「エントリー」が約3000万円、「スタンダード」が約5000万円、「アドバンス」が約8000万円となるが、2009年中は「エントリー」を約1900万円のキャンペーン価格で提供する。

 なおユーザー企業は、クラウド環境に載せるサービスを切り出し、「サービスカタログ」という形で標準化する必要があるが、日本IBMが標準で用意しているのは、従来版でも提供されていたSUSE Linuxのコンピューティング環境のみ。Windows Serverなどほかの環境が必要な場合は、自ら、ないしは日本IBMなどの支援を受けて、サービスカタログのパッケージングを行うことになる。

 販売対象としては、開発・テスト環境の集約を図る企業、データセンター事業者、自社クラウド環境のエントリー、研究所・大学などを想定し、営業活動を強化するとのこと。従来版は、国内では7月に発表されているが、早期のバージョンアップを当時から表明していたこともあり、「国内での採用はまだなく、ワールドワイドでの導入も数件にとどまっている。これから本格的に商談を進める段階」(日野氏)とした。




(石井 一志)

2009/11/5 14:50