富士ゼロックス、A3カラー複合機のエントリーモデル「DocuCentre-IV C2260」

中小オフィスのニーズを取り入れて製品化、「本気で中小市場を狙う」

DocuCentre-IV C2260
常務執行役員 商品開発本部長の種田乾吾氏

 富士ゼロックス株式会社は11月24日、A3カラーデジタル複合機のエントリー機「DocuCentre-IV C2260」を発表した。「中小向けに本格的に開発した製品」(常務執行役員 商品開発本部長の種田乾吾氏)であり、同市場で特に顕著な、モノクロ複合機のカラー化ニーズなどをとらえて、販売シェアを拡大するための戦略的な製品に位置付けられている。販売は12月中旬より開始する。

 C2260は、エントリーに位置付けられるカラーデジタル複合機。コピー・プリント速度はカラー、モノクロともに最大20枚/分、スキャン速度はカラー、モノクロともに最大55枚/分で、出力解像度は600×600dpiとなっている。給紙容量は、標準・最大ともに2290枚(560枚×4トレー、手差しトレー50枚)。インターフェイスは100BASE-TX/10BASE-TとUSB 2.0を備えた。

 富士ゼロックスといえば、複合機ベンダーの中でも、大手企業向けには強いが、中小規模のオフィスに対してはあまり強くないイメージがある。種田常務も、「中小向けには、直販営業もなかなか売りに行くことが難しい市場で、拡大しづらかった」とこれまでを振り返るが、「当社の新たな成長を考えたときに、中小オフィスに向けたビジネスをきちんと展開する必要がある」と認識。地域の特約店や販売会社、ユーザーに対してヒアリングを行い、そうした層のニーズをきちんと反映して、C2260を開発したという。

 C2260の特徴は、「コンパクト」「コンビニエント(便利さ)」「コストパフォーマンス」の3つ。最初の「コンパクト」では、「手差しトレーや両面ユニットの薄型化、LED照明技術の活用によるスキャナユニットの小型化、感光体ユニットの配列の工夫による省スペース化などにより、スリム化を実現」(商品開発本部 プロダクトマーケティング部 天野慎吾氏)。従来のカラー機はもちろん、モノクロ機と比べても横幅や機械専有面積を縮小している。

 また、「部品数の削減についても開発陣ががんばった」(天野氏)とのことで、これによって、熱が出るものを1カ所に集める、自然対流を利用するといったことが可能になり、冷却ファン数の低減と、待機時のファン停止による無音化を実現。フィニッシャーを本体出力部にも取り付け可能になったこと、インナートレーでのコピー・プリントとFAXの仕分けが可能になったことで、本体以外の省スペース化も達成した。

小型化設計へのこだわり従来機との比較

 「コンビニエント」では、「上位機と比べても機能は少なくてもいいが、操作感で統一感がほしい」との顧客のニーズをとらえ、カラーTFT液晶の操作パネルを採用して、上位機との操作性を統一。加えて、インジケーターの表示を分かりやすくしたほか、FAXの誤送信などを防ぐため、「らくらくFAX画面」を用意し、ユーザーの負担を軽減する。さらに、操作パネルにUSBメモリ差し込み口が用意されており、スキャンデータを直接USBメモリに保存したり、USBメモリに保存した電子データやデジタルカメラの撮影画像をダイレクトにプリント出力する機能も備える。

らくらくFAX画面操作パネル部
さまざまな機能の集約によるコスト削減効果を訴求する

 最後の「コストパフォーマンス」では、モノクロ機のカラー化によるメリットを訴求するとともに、「依然としてFAXへのニーズが高い」(天野氏)ことも踏まえ、充実したFAX機能を持つモデルも用意する。価格面では、本体価格を安価にすることはもちろん、今まではモノクロ複合機に加えてカラープリンタ、FAXなどさまざまな入出力環境を1台に集約するメリットを訴求。また、スリープ時の待機電力3W以下の省電力性能を備えるほか、従来よりも約20度低い温度でトナーを定着できる「EA-Ecoトナー」により、TEC値が1.56kWh/週と、既存のモノクロ機よりも向上しているという。

 なお富士ゼロックスでは、中小オフィスを戦略的に狙うにあたり、モノクロ機のカラー化というメッセージを強力に発信する考え。国内複合機市場がマイナス成長に入っている中で、カラー機は高い成長率が予想されているが、その中でもローエンドのカラー機の成長率はかなり高いものが見込まれている。同社はそういった状況を踏まえて、中小オフィスでのカラー化を本格的に進めるため、「特約店を中心に、従来にないプロモーション戦略を準備している」とのことで、新製品に特化したキャンペーンの実施により、チャネルの活性化を図るとした。

 また天野氏は、キッティングサービス「CARSS」や、リモート管理サービス「EPシステム」を、中小オフィス向けにも有効だとして紹介した。前者は、富士ゼロックスの物流倉庫で、オプションの追加や設定などの事前作業を行ってから出荷するサービス。後者は、複合機をネットワーク経由でリモート監視し、トラブル予兆を把握したり、メータカウントの自動確認をしたりするサービス。いずれも、C2260固有のサービスではないが、「1台しか複合機がないために設置に時間がかけられなかったり、管理者を専任で設けられなかったりする中小オフィスで有効に利用できるのではないか」、としてアピールしていた。

 ラインアップは、コピー・プリント機能のみのPモデルと、FAX、スキャン、自動両面原稿送り装置の各機能を追加したPFSモデルを用意する。本体価格はそれぞれ110万円(税別)、145万円(同)。保守サービスに相当するトータルサービス契約(月額プリント料金)は、1000枚までの場合、黒モードが8.5円(税別)/枚、カラーモードが45円(同)/枚となっている。


(石井 一志)

2009/11/24 17:20