アクセンチュアとシスコ、会社横断のビジネスグループを立ち上げ

両社のノウハウを活用し、顧客企業にソリューションを共同提供

シスコのエザード・オーバービーク社長【左】、アクセンチュアの伊藤智康統括パートナー【中】、程近智社長【右】
ACBGの提供価値
ACBGの重点活動領域

 アクセンチュア株式会社とシスコシステムズ合同会社(以下、シスコ)は12月10日、両社のコンサルタントなどが参加する協働チーム「アクセンチュア&シスコ ビジネス グループ」(以下、ACBG)を立ち上げ、日本市場での展開を開始すると発表した。すでに欧米で展開している、本社レベルの協業強化を日本にも適用したもので、これによって国内企業の競争力向上などに寄与するという。

 具体的には、両社から人を集めて仮想的な組織を作り、ソリューション開発や営業活動などを行っていく計画で、専業・兼業あわせて30名程度の人員を割り当てた。ACBGのトップには、アクセンチュア ACBG 統括パートナーの伊藤智康氏が就任。その伊藤氏はACBGの価値について、「シスコの先進技術を持っているチームと、業界情報や業務プロセス、業界向けアプリケーションといった知識を持っている当社のチームが協力し、ワンストップでソリューションを提供できる」と説明する。

 さらに伊藤氏は、「すでに始まっている、北米や欧州における(協働チームからの)お客さまへの価値提供を最大限に日本企業にも展開し、グローバル展開や経営課題の解決に役立てる」との考えを表明。「1つのグループとして運用し、お客さまには、コスト削減、生産性の向上、俊敏性の向上、最適なグローバル展開の支援、顧客向け品質の向上などのメリットを提供する。さまざまなお客さまの経営課題に応えていく」とした。

 主な適用範囲としては、「ユニファイドコミュニケーションとコラボレーション(UC&C)」「顧客接点の変革」「インフラおよびネットワークの変革」「データセンター向け」の4つの分野を掲げており、ACBGはそれぞれについてソリューションモデルを構築する考え。

 例えば「UC&C」では、物理的に分散したチームにおいて、広範なコミュニケーションを実現できるソリューションを用意するほか、「顧客接点の変革」では、アクセンチュア自身が経験したコンタクトセンター、コールセンターのノウハウを母体として、サービスを提供。さらに「インフラおよびネットワークの変革」においても、シスコのネットワーク技術とアクセンチュアのテクノロジーコンサルティングを有機的に統合し、顧客に価値を提供するという。

 なお今回の発表にあたり、アクセンチュアの代表取締役社長、程近智氏は「2つの点でシスコをリスペクトしている。1つは、多極化の時代において、常に組織を変えてきていることで、グローバル組織としてとても先に行っている。2つ目は、グローバル企業のいい側面を持っており、その道具立てとしてITを使っていることだ。シスコと手を組むことで、当社が作った事業モデルに対して、それを具転化する技術を持っていける」とコメント。

 一方のシスコ側でも、社長兼CEOのエザード・オーバービーク氏が「ネットワークにインテリジェンスを与えると、そこから新しいビジネスモデルが生まれてくるだろう。アクセンチュアが蓄積してきた技術のインテリジェンスを、当社が培ってきたものと融合させることで、新たなソリューションを作り上げられる。両社が一体となって提案できることを、大変楽しみにしている」と述べ、協業の成果に期待を表明した。


(石井 一志)

2009/12/10 17:20