APC、物理インフラの統合管理ソフト群を7種に拡充

機能や他社連携を強化して新発売

ISX MSシステムアーキテクチャ。Centralがデータ収集・異常検知を行う

 株式会社エーピーシー・ジャパン(以下、APC)は1月26日、データセンターの物理インフラを統合管理する新ソフト群「InfraStruxure Management Software(以下、ISX MS)」を販売開始した。

 ISX MSは、IT機器・電源・冷却システム・ラック・セキュリティなどの物理インフラを統合管理するソフト製品群。従来、「InfraStruxure Central」「Capacity Manager」「Change Manager」の3製品で構成されていた管理製品を、7種類に再構成。新たに「PUE(エネルギー効率化指標)計測」や「物理レイアウト画面での機器監視」を実現するツールも加え、強化版として提供する。

 ラインアップは、「InfraStruxure Central/Operations(新製品)/Capacity/Change/Energy Efficiency(新製品)/Energy Cost/Mobile」。中核となるのが、アプライアンスサーバーとして提供されるCentralで、UPS・分電盤・空調機・PDUなどのAPC製品/他社製品から、データを自動収集して障害検知やレポート通知を行ってくれる。今回は最新版(v6.0)として機能強化も実施され、「アラーム詳細通知設定」「サマリーレポート」「ビル管理システム連携」などが可能となっている。

コンポーネント概要Centralのラインアップ。最大監視ノード数などに応じて3種類を用意Centralの特徴

Centralのトップ画面。監視対象ノードをグループで監視・管理できる。ノードに異常が発生すると、アラームも表示デバイスセンサーレポート画面新機能のサマリレポート画面。一例として、UPSバッテリ使用年数が表示されている

 この上で各コンポーネントを統制するのがOperations。データセンターの物理レイアウト作画を可能にし、同画面上での機器監視を実現する。また、各ハードベンダーの製品カタログをデータとして保有しており、実際のIT機器のスペックなどを基にして管理できるのが特徴。残りのCapacity/Change/Energy Efficiency/Energy Cost/Mobileは、Operationsを前提としたコンポーネントで必要なものを選択して導入できる。

 Capacityでは、事前に計画された物理インフラの設備仕様や容量を基に、電力・冷却容量のシミュレーションや空調停止時のビジネスインパクト分析が可能。荷重計測やネットワークポート数、電源口数の管理も含め、ラックに搭載する機器のプランニングが容易に行える。

 Changeでは、物理インフラ機器の移動・追加・変更における作業ワークフロー、スケジューリング、変更指示、進ちょく管理を実現。OperationsやCapacityで導き出されたIT機器の増移設計画に対して、作業の進ちょく管理を行い、担当者を割り当て作業指示書を自動生成する。

Operationsの概要。物理レイアウトの作図が可能Capacityの概要。事前に計画された物理インフラの設備仕様や容量を基に、電力・冷却容量のシミュレーションなどが可能Changeの概要。IT機器の増移設を進ちょく管理

Operationsの機器レイアウト画面この画面上から機器監視が可能ラックごとの機器搭載状況も確認できる

Capacityを利用していれば、日立のブレードサーバーなど具体的に機器を増設したい場合に、スペース・電力・空調容量などさまざまな観点から、最適な設置場所を色分けして提示してくれる増設に不適切なラックは赤色で表示し、その理由も表示してくれる

平面図ではラックごとの電力使用量を表示またラック列型空調機が停止した際に、どのラックに影響が出るかなどのシミュレーションも可能
Energy Efficiencyの概要。PUEをリアルタイムに表示

 Energy Efficiencyでは、PUEをリアルタイムに表示し、IT機器/非IT機器の電力使用量を円グラフで視覚化する。施設全体の電力のうち、どのくらいがIT機器の稼働に費やされているか、過去・現在のデータを表示し、電力消費の改善を促進してくれる。

 Energy Costでは、実測の消費電力値に基づいて部屋単位、ラック単位などに分けてレポートを出力。1kWあたりの価格から実際の電力コストも算出してくれる。

 APCでは、強化された管理ツール群を、「電力ソリューション」「空調ソリューション」「ラック&PDUソリューション」「プロフェッショナルサービス」など主要事業を支える柱としてさらなる訴求を図る方針。特に、海外・国内ベンダー各社の物理インフラ製品との連携を強調している。ハードとしてはUPS、電源管理、PDU、空調、ネットワーク機器など幅広い製品に対応するほか、ソフトとしては富士通の「Systemwalker Enabled」、日立の「JP1」、NECの「Sigma System Center」、Microsoftの「System Center Operation Manager 2007」、IBMの「Tivoli」、CAの「eHealth Enterprise Management Suite」などとの連携が可能となっている。

他社ハードとの連携他社ソフトとの連携





(川島 弘之)

2010/1/26 17:57