「製品レベルのSymantec・Veritas統合も今年中には」-シマンテック加賀山社長
代表取締役社長の加賀山進氏 |
株式会社シマンテックは2月5日、国内における企業向け事業方針の説明会を開催。代表取締役社長の加賀山進氏が体制強化に関する施策を説明した。
加賀山氏は「2009年10月~12月は、グローバルの売上高が15億5100万ドルとなった。前年同期比で1%増だが、アジアパシフィック/日本(APJ)地域に限ると、11%増と好調で、全体の15%を占めるまでに成長した」と、APJ地域の重要性が高まっていると説明した。
そうした中、2010年度の国内向け事業戦略としては、「製品ポートフォリオの強化」「販売体制の強化」「パートナー支援施策の強化」「製品サポート体制の強化」を掲げる。
■焦点は「情報を中心としたセキュリティ・管理」のみ
製品ポートフォリオ |
ここ数年でさまざまな企業を買収し、一見するとチャレンジ領域を拡大したように見える同社だが、「根底にあるのは、情報そのものを保護し管理するという考え方で、買収もすべてその考え方に沿っている」(加賀山氏)。同社は「これまでも、これからも、この1点にフォーカスする」とのことで、製品強化もこの考え方に基づき、主に“スイート化”を推進していくことになる。
2月1日に発表された「NetBackup 7」と「Backup Exec 2010」では、基本となるバックアップ機能に、アーカイブや重複排除などの技術が統合された。また、Altirisの機能も細分化された後、さまざまな製品へ統合が進んでいる。2010年はさらにスイート化が進められ、製品レベルでのSymantec/Veritas統合もいよいよ実現するかもしれない。加賀山氏は「組織としての統合が進む一方、製品レベルではセキュリティとデータ保護とジャンルが異なるため、なかなか難しく時間がかかってしまったが」と前置きした上で、「2010年度中には完了できるはずだ」と明言している。
■営業体制を産業別に再編
エンタープライズ営業を強化するとともに、パートナー種別ごとにカテゴライズ |
販売体制の強化では、まずエンタープライズ営業を4月以降、2割増強するとともに、産業別に再編成するという。理由は「大手パートナーでは営業などが産業別に組織化されているため。さらに連携を強化するため、当社でも同様の体制にする必要がある」(同氏)としている。
また、既存の販売網において「国内主要ハードベンダー&海外主要ハードベンダー」「SI/ISVパートナー」「ディストリビュータ/リセラー」「クラウドパートナー」といったパートナー種別にカテゴライズも行う。シマンテックにとってのパートナーの価値や立場を明確にした上で、それぞれのカテゴリで、ソリューション・地域ごとにも編成し直すことで、バリューを最大限に高める狙いだ。
■市場特化型パートナーの獲得に努める
その一例が、SPP(シマンテック・パートナー・プログラム)促進によるリセラー支援強化策。従来、パートナーの売上高に応じて「プラチナ」「ゴールド」「シルバーコーポレート」「シルバーパートナー」「レジスターパートナー」のランクが割り当てられていたSPPに、市場の特性に合わせた新しいランクを設置する。それが「SMB Specialization」や「Endpoint Management Specialization」などの市場特化型パートナープログラムで、特定の分野に強みを持つパートナーを募ることで、より密な連携を図る狙いがある。今後はさらに「DLP」「Archiving and Discovery」「Data Protection」など、7~9個の分野に特化したパートナープログラムを新設する予定という。
「中でもSMB Specializationでは、2010年3月末までの目標だった20社を、すでに達成してしまった。そこで目標を上方修正し、3月末までに50社、2011年3月末までに100社との提携を目指す」(同氏)と、成果の一端にも触れている。
パートナー支援では、このほか、スキル育成の強化にも努める。シマンテックのスキル認定制度「SSE(セールス向け)」「STS(テクニカル向け)」において、「2010年3月末までに1500名に増やせるよう、パートナーの教育を強化していく予定だ。現状の調子なら無事達成できるだろう」(同氏)という。
2月2日には、Symantecと富士通のグローバル提携も発表された。グローバル規模のパートナーをSymantecでは「Global Strategic Partner」と呼んでおり、国内では初の事例となる。こうした新たなパートナープログラム、あるいはパートナーのカテゴライズなどで、よりシンプルに、より多面的なパートナー支援を行う方針だ。
■エンジニアリング体制は横連携を強化
エンジニアリング組織「JEC」と「JDC」を横断的に連携 |
一方、社内体制としては、品質向上に向けてエンジニアリング体制を強化する。同社には、製品リリース前テストやバグ修正などの問題対応を任務とする「JEC(Japan Engineering Center)」と、日本独自のテンプレート作成などローカル開発をメインとした「JDC(Japan Development Center)」、2種類のエンジニアリング組織が存在する。この2組織において、「TOC(Technical Community Committee)」という名の“社内横断的な連携”を推進していくという。
加賀山氏は最後に、「シマンテックは今後、お客さま満足度No1、パートナー満足度No1、社員満足度No1の3冠を目指していく。そのためには徹底した差別化戦略が必要だ。品質を高めプロセスを整備し、Nortonだけでなく、Symantecの認知度を高めていきたい」と意気込みを語った。
2010/2/5 19:33