米NovellホブセピアンCEO、「仮想化・クラウドにはインテリジェントが必要」
米Novell 社長 兼 CEOのロナルド・W・ホブセピアン氏 |
ノベル株式会社は2月8日、米Novellが昨年12月に発表した仮想化・クラウド戦略に関する説明会を開催。説明会には、来日中の米Novell 社長 兼 CEOのロナルド・W・ホブセピアン氏が出席し、自ら新戦略の狙いなどを語った。
ホブセピアン氏は「仮想化の技術動向は重要ではあるが、お客さまがどのように使うのかという視点が重要」と、自社の戦略を立案する上で“お客さま視点”を重視したと強調する。
このお客さま視点で見たときに、「アプリケーション」「プラットフォーム」「ハードウェア」の3つのレイヤーに分けられると説明。「仮想化により、ハードウェアのフットプリントの軽減が可能になっている。その結果、CIOはその上で動作するアプリケーションもプラットフォームも仮想化環境に適したものにしなければならないという課題を抱えている」と、プラットフォームとアプリケーションをいかに管理するかという課題はさらに深まっていると指摘。「これが外部クラウドにまで展開すると、社外に対しても同様の取り組みが求められることになる。これは内部プロセスだけを管理していたCIOにとって、非常に困難なこと」と、物理環境・仮想環境・外部クラウド環境と広がることで、どのように管理を行うかが重要になっていると述べた。
これを解決する戦略として発表したのが、「インテリジェント・ワークロード・マネジメント」。ホブセピアン氏はワークロードを、「1つのコンピューティングタスクを実行する、アプリケーション、ミドルウェア、OSの統合スタック」と定義する。「ワークロードは、プラットフォームに依存するものではないので、物理環境・仮想環境・外部クラウド環境のいずれでも実行可能だ。このワークロードを、“インテリジェント”なワークロードにシフトすることで、仮想環境や外部クラウド環境を意識することなく扱えるようになる」と説明。このインテリジェント・ワークロード・マネジメントを実現する製品を提供するというのが、同社の新戦略となっている。
「構築」「セキュリティ保護」「管理」「評価」の4つに製品を集約 |
具体的には、同社の製品を「構築」「セキュリティ保護」「管理」「評価」の4つに集約し、それぞれのカテゴリーにおいて新製品を投入すると発表した。
構築で中核となる新製品が「SUSE Appliance Toolkit」。Linuxベースの仮想アプライアンスを開発するための製品で、先週提供を開始したばかり。パートナーが仮想アプライアンス環境を自由にカスタマイズできるのが特長となっている。「これまでに4500以上のISVの方々にベータ登録していただいており、わずか3カ月で多数の仮想アプライアンスを開発していただいている」(ホブセピアン氏)と、パートナーに高い支持を得ていると述べた。
セキュリティ保護に関しては、「CIOの89%がセキュリティを理由に、クラウドへ移行できないと回答している」(ホブセピアン氏)と説明するように、クラウド環境を利用する上で重要な要素。この分野に対して、アイデンティティ管理製品を大幅に強化する「Novell Identity Manager 4」を今夏に提供。そのほか、SaaSやPaaS/IaaS事業者向けに「Novell Cloud Security Service」を年内に提供する予定であることを発表。「Novell Cloud Security Serviceを利用することで、企業は外部クラウドに対して自社のポリシーを強制適用できるようになる」(ホブセピアン氏)とした。
管理面では、保有するPlateSpin製品群を活用して展開すると紹介。ホブセピアン氏は、「PlateSpin Migrationを使えば、物理マシンであろうと仮想マシンであろうと移行できる。また、PlateSpin Orchestrateを使えば、どの環境で仮想マシンを実行すればいいかを自動的に判断できるようになる」と述べた。
評価は、どこで実行されているかを判断するフェーズを表すもの。この分野では、自動化ソリューションと組み合わせることで、リアルタイムなトラッキングが可能になる「Novell Compliance Automation」の提供を予定している。
ノベル代表取締役社長の徳永信二氏 |
国内でも同じ戦略を軸に、各社とのアライアンスを強化していくと説明。ノベル代表取締役社長の徳永信二氏は、「発表されたばかりの新戦略を、弊社とすでにサービス展開している6社に説明したところ、好意的に理解していただいている。今後は、パートナーを拡大する必要はあるものの、まずは先行するパートナーに対して積極的に取り組んでいく」と述べた。
ホブセピアン氏は、「仮想化やクラウドは重要ではあるが、これらは要素技術でしかない。これに対し、インテリジェント・ワークロード・マネジメントの将来像は、CIOが求めるガバナンスの到達点といえるもの。これまでと同じではだめであり、ルールやプロセスを変更する必要があることを理解していただきたい」と、締めくくった。
2010/2/9 00:00