ICAは低帯域でも使えるプロトコル-日本仮想化技術がベンチマーク結果を発表


 日本仮想化技術株式会社は3月5日、仮想デスクトップで使われるプロトコルの比較レポートを公開した。対象となったのは、マイクロソフトのRDP 7.0とシトリックスのICA。WebブラウザやOfficeソフト、動画再生などの操作を行った際の実行時間とネットワーク帯域使用量が比較された。

スムーズスクロールをオフにしたときの帯域使用量
PowerPointスライド再生時の帯域使用量

 Windows 7&Internet Explorer 8で表示したHTML文書を末尾まで自動スクロールさせた場合、RDPは42.0秒・60.04KB/sec(スムーズスクロール、オン)、ICAは246.7秒・14.85KB/secという結果になった。これはICAがスムーズスクロールが設定されている場合、なめらかにスクロールを行おうとするために多くの時間がかかっているのに対し、PDPではスムーズスクロールのオンオフにかかわらず、スムーズスクロールは行わないことから、時間に大きな差が出ている。

 スムーズスクロールをオフにしてみると、RDPは42.0秒・77.06KB/sec、ICAは44.0秒・8.20KB/secという結果になった。実機での所要時間が42.0秒であったため、RDPは実機と同じ速度で表示したことになる。一方、所要時間が余分にかかったICAは、帯域使用量では大きく差をつけていることがわかる。

 Windows 7&PowerPoint 2007でスライドショーを自動実行させた場合、実機は63.3秒、RDPは73.3秒、ICAは67.3秒と、ICAがより実機に近い再生時間となった。平均帯域使用量に関しては、RDPが1478.0KB/sec、ICAが72.2KB/secと、大きな差がついている。

 Windows 7&Windows Media Playerで仮想デスクトップ上のWMVファイル再生時の平均帯域使用量を比較すると、クライアント側でレンダリングすると、RDPは113.3KB/sec、ICAは102.0KB/sec、サーバー側でレンダリングすると、RDPは2619.1KB/sec、ICAは541.2KB/secとなった。どちらもスムーズな動画再生となったが、やはり帯域使用量でICAが有利であるという結果が出ている。


クライアントレンダリング時の帯域使用量クライアントレンダリングがオフの場合の帯域使用量

 Windows 7&Internet Explorer 8でFlash動画再生時の、平均帯域使用量を比較すると、クライアント側でレンダリングすると、RDPは1980.1KB/sec、ICAは45.5KB/sec、サーバー側でレンダリングすると、RDPは2054.1KB/sec、ICAは590.8KB/secとなった。RDPのクライアントレンダリングはFlashコンテンツをサポートしていないことが大きく影響した結果となった。

 同社は今回の結果について、「いずれのテストもICAはRDPと比べ、ネットワーク帯域使用量が少ないという結果が出た」と発表。例えば、PowerPointのスライド再生の場合、ICAはRDPの20分の1から40分の1の帯域使用量に、またWMV動画再生の場合、サーバーレンダリング設定ではICAはRDPの5分の1の帯域使用量となったとしている。この結果をふまえ、ICAは帯域が狭いネットワークでも快適に使えるほか、RDPよりもICAを利用した場合、より多くのユーザーが同時に使用できると指摘している。

 なお、同社サイトでは、Windows XP(RDP 5.2)との比較や、実際のベンチマークの様子を動画して公開している。



(福浦 一広)

2010/3/5 13:36