日本HP、USB接続で1台のPCを10人で共有する「MultiSeat Computing」

教育現場のPC導入を促進

HP MultiSeat ComputingでPCの導入コストを半減
構成図。モニター・キーボード・マウスは別売

 日本ヒューレット・パッカード株式会社は3月9日、USB接続で1台のPCを10人で同時利用できる「HP MultiSeat Computing」を発表した。教育分野に最適なソリューションとして、3月11日より販売を開始する。

 HP MultiSeat Computingは、専用ホストPC「HP MultiSeat ms6000 Desktop(以下、ms6000)」に、コンパクトサイズのアクセスデバイス「HP MultiSeat t100 Thin Client(以下、t100)」をUSB接続するだけで、最大10名までのマルチユーザー環境を実現する製品だ。

 ms6000には、マイクロソフトの「Windows Multipoint Server 2010」がプリインストールされている。同ソフトは、3月1日にOEM/アカデミック向けに発売された製品で、Windows Server 2008 R2をベースにRDPを活用して、1台のPCを複数人で利用可能にする。別途、モニター・キーボード・マウスを用意すれば、このms6000にt100をUSB接続するだけで、最大10名のクライアントで専用ホストPCを共有するわけだ。

 ms6000では、接続するアクセスデバイス数に応じて「Essential(最大5名)」と「Extended(最大10名)」を用意。幅338×奥行き379×高さ100mmの筐体に、インテルQ43 Expressチップセット、Core 2 Duo E7500(Essential)/Core 2 Quad Q9400(Extended)、2GBメモリ(Essential)/6GBメモリ(Extended)、320GB HDD(Essential)/500GB HDD(Extended)、DVDスーパーマルチドライブを搭載した。

 価格は、Essentialが8万8000円(税別)、Extendedが10万8000円(同)。なお、プリインストール版のほか、FreeDOS版も用意。別途、ドメイン参加が可能なWindows Multipoint Server 2010ボリュームライセンス版を購入して利用できる。FreeDOS版の価格はEssentialが6万8000円(同)、Extendedが8万8000円(同)。

 t100は、縦横がL版写真プリントより一回り小さなコンパクトサイズのシンクライアント端末。キーボード・マウス(ともにPS/2)、モニター出力(VGA)、ヘッドフォン(ライン)出力、マイク入力のインターフェイスを搭載し、マウントブラケットが付属するためモニターの背面に装着できる。

 価格は、「Microsoft Client Access License(CAL)」込みで1万2000円(税別)。

実際の使用イメージ高画質な動画も再生HP MultiSeat ms6000 Desktop

HP MultiSeat t100 Thin Clientモニター背面に設置可能
パーソナルシステムズ事業統括 クライアントソリューション本部長の九嶋俊一氏
負荷の小さいアプリケーションを複数人で利用する小中学校のPC教室などが対象

 日本HPは、新製品を国内教育市場などに訴求していく考え。パーソナルシステムズ事業統括 クライアントソリューション本部長の九嶋俊一氏は、「使用アプリケーションが少なく負荷が低い環境が対象。例えば、小中学校のPC教室などだ。国内の小中学校の数は3万3000校で、児童・生徒数が1100万人、教育費が11兆円といわれる。学生1人あたりに換算するとわずか1万円。この少ない予算の中、HP MultiSeat Computingでは従来のコストで2倍のPCが導入できる。PC教室には大体40台程度のPCが存在するが、それをすべてHP MultiSeat Computingに置き換えると合計金額は91万6000円。1台あたり2万2900円で済む」と説明。

 「およそ半分の導入コストで生徒ごとにPC1台の環境が整えられるほか、アクセスデバイスの管理は専用ホストPCで一元化でき、シンプルな管理インターフェイスが運用負荷を抑える点も、教育現場に最適。消費電力も、通常のPC40台が1720Wなのに対し、HP MultiSeat Computingは260Wと地球にもやさしい」(九嶋氏)とメリットを紹介した。

 また「日本の教育現場ではPC1台あたり7.2人といわれる。これは自慢できる数字ではなく、米国ではPC1台あたり3人、シンガポールではPC1台あたり2人とPCの導入が進んでいる。この状況をHP MultiSeat Computingで変える。米国やシンガポールと同じくらいPCを普及させたい」と目標を語った。


(川島 弘之)

2010/3/9 15:40