リコーが国内販社を一本化、「リコージャパン」を7月に発足

個人向け販売事業にも取り組む

新会社の概要

 株式会社リコーは3月9日、7月1日付けで国内販売会社7社を合併し、リコージャパン株式会社を設立すると発表した。

 リコーの販売事業本部のほか、リコー販売、リコー北海道、リコー東北、リコー中部、リコー関西、リコー中国、リコー九州を合併。全国1社での販売体制とする。

 「リコーの歴史のなかで、初めて販売会社がひとつの傘のなかに入る。新会社を成長のためのベースとしたい」(同社代表取締役社長執行役員の近藤史朗氏)としたほか、「これまでは企業が顧客対象となってきたが、働く人個人の便益を高めるといった領域にまで対象を広げていく」(同社常務執行役員販売事業部長の畠中健二氏)としている。

 新会社への再編は、多様化する顧客ニーズに対応したスピーディーな意思決定が行える販売体制の構築、および経営の効率化を図るのが狙いとしている。

 新会社の社員数は1万3500人、拠点数は約310拠点。2009年度見通しでは6000億円の売上高を、2013年度には7000億円に拡大する。資本金は未定。社長の選出についても今後決定するという。


新会社の目標ビジネスコンセプト新会社の体制
代表取締役社長執行役員の近藤史朗氏
常務執行役員販売事業部長の畠中健二氏

 近藤社長は、「顧客の価値基準がハードウェアからソリューション・サービスへと変化するなかで、販売の現場での顧客ニーズにあわせた新しい価値を創出し、提供する必要がある。大手企業の場合は、ネットワーク案件やセキュリティ、環境対応など、本社一括案件などが増加し、これらの動きに適切に対応していく体制が必要となってきた。また、日本において、ITサービスをはじめとする新たな事業の成果を作り上げ、これを欧州、米州に展開していくことも考えていく。新会社によって、日本、欧州、米州、中国、アジア・パシフィックの世界5極にそれぞれ1社の販売会社を設立することになり、グローバル展開体制が完成する」とした。

 また、畠中常務は、「構造改革の総仕上げとして、全社的な機構改革を行い、販売のリコーとして強い体質の会社づくりに取り組む。顧客に対して、全社員で一貫してお客さま価値を生み続けることにこだわり続ける体質の会社を目指す」などと新会社の狙いを語った。

 大手企業向け営業や、プロダクトプリンティング、新規事業領域といった強化領域については、全社一本化の組織で展開する一方、地域ごとの責任体制を維持するとともに、地域密着型体制を継続する。

 「プロダクトプリンティング分野などの成長領域に対して、エース級の社員を投入したいと思っても、再配置が難しいという状況が生まれていた。新会社に一本化することで、こうした問題も解決できる」(近藤社長)としている。

 リコージャパンのビジネスコンセプトは、「Customer's Customer Success~お客さまのお客さまにまで届く価値を創出する」。オフィス中心の顧客対象から、働くすべての顧客への対象範囲の拡大のほか、企業に加えて個人の顧客までを対象すること、B to BからB to B to B&Cへと段階的に広げていくことを示した。

 新たなサービスとして、総務・人事・経理常務へのソリューションの拡充および強化を図る「支援プロセス領域」、顧客の事業拡大に貢献するサービスメニューの開発などによる「基幹プロセス領域」、IT化が進む家庭向けサービスの啓発と販売チャネルの拡充に取り組む「コンシューマ」の3点をあげている。

 特にコンシューマ事業においては、ネットを通じた直販体制に乗り出す考えを示しており、「企業内個人や個人事業者などにアプローチできる体制を作る。在宅勤務などが増加し、家庭のネットワーク回線の敷設などといったサービスまでを含めた需要も見込まれる。これをNetRICOHを通じて対応する。コンシューマ事業で早い時期に100億円規模の事業に成長させたい」(近藤社長)としている。



(大河原 克行)

2010/3/10 00:00