マイクロソフト、ITベンチャー対象に米本社ツアーを実施
~最新技術やグローバル戦略などを説明


 マイクロソフトは、4月20日から5日間の日程で、「マイクロソフトITベンチャー支援プログラム&イノベーションアワードUS研修ツアー」を実施した。

レドモンドにある米マイクロソフト本社マイクロソフトITベンチャー支援プログラム&イノベーションアワードUS研修ツアーの参加者

インキュベーションプログラム参加ベンチャーが対象のツアー

 2004年から実施したインキュベーションプログラム参加企業を対象にしたUSツアーを含めると、今回で7回目。マイクロソフトイノベーションアワード2009の最優秀賞を受賞したワンビをはじめ、ITベンチャー支援プログラムの対象となった静岡県、福岡市、宮崎県、山形県などのベンチャー企業および自治体関係者、日刊工業新聞社が主催したキャンパスベンチャーグランプリ全国大会のマイクロソフト賞を受賞した北海道大学大学院など、17人が参加。米ワシントン州レドモンドのマイクロソフト本社を訪問した。

セミナーが行われたExecutive Briefing Center

 同ツアーでは、マイクロソフトを中心とした最新テクノロジーと今後の動向を習得し、自社のビジネスに対する技術的な方向性についての判断材料とすること、ソフトウェアビジネスの最前線にて最新のソフトウェアベンチャービジネスの動向を理解するとともに、ベンチャーから大企業となったマイクロソフトの変遷を理解し、自社の今後のビジネス戦略に役立たせることなどを目的とする。

 マイクロソフト本社では、3日間に渡る研修を行い、同社のソフトウェア+サービスへの取り組み、自治体向けの取り組み、家庭向けの未来の技術に関するセミナーのほか、マイクロソフトリチーサの取り組みなどについてもセッションが設けられた。さらに日本でも価格、発売日が発表されたばかりのOffice 2010に関する説明も、本社の技術担当者から直接行われた。

「ベンチャー企業のグローバル展開を手助けしたい」

マイクロソフトデベロッパー&プラットフォーム統括本部ビジネスインキュベーション(LSE)シニアマネージャの長井伸明氏

 マイクロソフトデベロッパー&プラットフォーム統括本部ビジネスインキュベーション(LSE)シニアマネージャの長井伸明氏は、「ベンチャー企業に対して、マイクロソフトの経験を伝えるとともに、世界に目を向けてビジネスを展開するといった観点で、気づきを与えられればと考えている。日本のIT企業は、全般的にグローバル戦略での視点を持つことが遅れていると感じている。今回のツアーを通じて、参加したベンチャー企業に対して、ワールドワイドビジネス展開についても手助けをしていきたい」などとした。

 また、「今回のツアーでは、6月に発売を控えているOffice 2010の紹介について時間を割いたのに加えて、これまでのツアーで好評だった家庭向けの未来の技術に関する説明(MS Home Tour)などのセッションを組み込んだ」としている。

セミナーの様子セミナー終了後にExecutive Briefing Centerで記念撮影を行った

マイクロソフトはクラウドだけではなく、S+Sを提供する企業

 セミナーは、マイクロソフト本社キャンパス内のExecutive Briefing Center(EBC)を会場に行われた。

 初日のセッションでは、マイクロソフトのクラウド戦略について参加者の関心が集まり、クラウドビジネスに向けたマイクロソフトの考え方、競合他社との差異化について、コストメリットや柔軟性、世界規模でのデータセンターの展開などについて説明が行われた。

 同社エンタープライズテクノロジーストラジストのThomas Wells氏は、「マイクロソフトはクラウドだけを提供する企業ではなく、オンプレミスとの二者択一の提案を行う企業ではない。マイクロソフトはS+S(ソフトウェア+サービス)を提供する企業であり、それによってもたらされるメリットは大きい」などとした。

 また、2日目には、グローバルでITベンチャー支援などを行う、Local Software EconomyのJuliano Tubinoディレクターが講師を務め、世界規模でのベンチャー企業への支援状況、成功事例などが紹介された。

 Tubinoディレクターは、「スタートアップの企業に対しては、人材の育成支援、新たな技術の採用の妥当性の検証、そして、マイクロソフトが持つサービスを活用することでの支援ができる。ベンチャー企業各社は、自らの強みを明確にする必要がある。マイクロソフトの仕組みを活用することで、強みをもとにグローバルに進出することもできるようになるだろう」などと語った。

マイクロソフトイノベーションアワード2009の最優秀賞を受賞したワンビの加藤貴社長(写真左の左から2人目)、板井清司取締役(同左端)は、マイクロソフトの関係者にプレゼンテーションを行い、活発な情報交換を行った

 なお、ツアーへの参加企業は以下のとおり。

 池田電子工学研究所、グローバルデザイン、コマーシャルアーツ、ソフィア、ネオス、ハートソフトウェア、ハイテックシステム、南日本ネットワーク、ユニテック、レクポート。

(大河原 克行)

2010/4/23 11:56