日本HP、環境に配慮したITインフラ構築を推進する新組織を設立

社内のノウハウを4つのソリューションに集約

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は5月24日、環境に配慮した、エネルギー効率の高いITインフラストラクチャー構築を推進する新組織「次世代・社会システム事業推進」を6月1日付で設立すると発表した。

 同社では、以前から環境負荷低減の取り組みに力を注いでおり、省電力サーバーの開発やデータセンターの省電力化を実現するサービスの提供、二酸化炭素排出量の可視化など、先進的な技術、サービスを提供している。今回新設した「次世代・社会システム事業推進」は、こうした技術やサービスを活用し、環境に配慮した次世代都市(スマート・シティ)、次世代交通環境および次世代製造(グリーン・エンジニアリング)を実現するためのインフラ構築を推進していく。

次世代・社会システム事業推進本部の組織概要次世代・社会システム事業推進本部 事業推進統括本部長の山崎泰氏

 新組織の役割について、次世代・社会システム事業推進本部 事業推進統括本部長の山崎泰氏は、「当社では、環境改善に向けた長年の取り組みを通じて、さまざまな知識やノウハウを蓄積してきた。しかし、これまでは各組織がそれぞれに展開していたため、ノウハウが分散してしまっていた。そこで今回、環境改善にかかわる専任組織を新設し、各組織に分散したノウハウを集約する。当初は、企画部門を中心に10人で組織を立ち上げ、全セールス部隊にソリューションを展開し、販売推進していく。また、ワールドワイドの組織『Green Practice』とも連携し、グローバルのノウハウや情報を得ながら、その適用事例をいち早く国内に展開していくことも新組織の役割」と説明している。

次世代・社会システム事業推進本部 ソリューションサービス本部長の近藤智彦氏

 新組織が提供するソリューションは、(1)エネルギー・インフラストラクチャ、(2)次世代モビリティ、(3)グリーン・エンジニアリング、(4)グリーン・データセンター--の大きく4つに集約される。次世代・社会システム事業推進本部 ソリューションサービス本部長の近藤智彦氏は、「当社のソリューションは、すべてレディなものであり、ユーザーニーズに応じてすぐに提供できることが大きな強み」と述べている。

 具体的には、「エネルギー・インフラストラクチャ」では、スマート・シティの情報基盤を支えるソフトウェアとして、次世代メーターからネットワーク機器、充電スタンド、ソーラーパネル、ヒートポンプなどまでを管理・制御できるソフトウェア製品群「ユーティリティ・センター」を提供する。また、HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)などのアプリケーションの実行インフラとして「Storefront for Utility」を用意している。「ユーティリティ・センターのユーザーでは、実証実験として、次世代メーターの導入に着手する企業が増えている」(近藤氏)という。

ユーティリティ・センターの概要AMI Readyサービスの概要

 あわせて、スマート・シティ構築の際の中期導入計画を立案する次世代メーターインフラ実装アセスメントサービス「AMI Readyサービス」を提供する。このサービスでは、次世代型メーター類導入にともなう、情報システム全体の概要設計、評価、中期計画までを実施。同社の海外での導入実績を生かしたテンプレートを活用することで、短期間・低価格での作業を実現する。これにより、次世代メーターを実装する際に発生する概算費用を確認することができる。

Autilityソリューションスイートの概要温暖化ガス排出管理サービスの概要Critical Facility Service(CFS)の概要

 「次世代モビリティ」では、プラグイン・ハイブリッド自動車や電気自動車などの充電および情報配信を支援する基盤として「Autilityソリューションスイート」を展開する。このソリューションでは、充放電管理が必要なバッテリー、課金が必要な充電設備、家庭での充電時に必要なモニターなどを、従来のように個別管理するのではなく、連携させることで効率化・高付加価値を実現する。

 「グリーン・エンジニアリング」では、温暖化ガス排出管理サービス「CEMS」を提供する。このサービスでは、サプライチェーン全体におけるIT機器の二酸化炭素排出量を継続的に測定可能とし、目標達成を実現する具体的な削減計画を策定する。

 そして、「グリーン・データセンター」では、これら3つのソリューションを支える情報基盤として、従来提供してきた高エネルギー効率のハードウェア、運用効率化を支援するソフトウェア、次世代データセンターの設計を支援する「Critical Facility Service(CFS)」、およびデータセンター自体の省エネルギー化を図る「Data Center Environmental Edgeサービス」を活用する。また、環境負荷低減の観点から、クラウド化の支援サービスも引き続き推進していくという。


(唐沢 正和)

2010/5/24 16:39