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企業や店舗における携帯電話を利用したビジネスを支援

ビートレンド井上社長

 今回のゲストは、ふたたびアレン・マイナー氏からの紹介で、主に携帯電話上での販促用ソフトのASP事業をてがけるビートレンドの井上社長です。


ビートレンド・井上社長 井上 英昭
ビートレンド株式会社 代表取締役社長

1962生まれ
1984年 日本ディジタルイクイップメント株式会社(日本DEC)入社
1995年 日本オラクル株式会社入社 ビジネスアライアンス事業本部営業部長 サプライチェーンマネジメント兼ハイテク産業営業部長
1999年 ネットグラビティ株式会社(現:ダブルクリック株式会社)入社 日本担当ディレクター
2000年 ビートレンド株式会社創業 ~現在に至る


モバイル広告配信サービスからスタート

小川氏
 はじめまして。簡単に自己紹介していただけますか?


井上氏
 ビートレンドの社長をしております井上です。私、剣道四段もっておりまして、実は元々は警察いって剣道を極めようと思ってたんですね。


小川氏
 それがなぜIT系に(笑)?


井上氏
 たまたまその剣道の先輩の家に遊びにいったら、そのお父さんが日本DECの人事の人で(笑)、それがきっかけでDECに入ってしまいました。


小川氏
 たまたまで(笑)。


井上氏
 その後日本オラクルを立ち上げたアレン・マイナーさん(サンブリッジ会長)の講演を聴いて、オラクルに興味を持って転職してしまいました。6年ほどオラクルにいて、その後ダブルクリックに移り、インターネット業界に近づいてきました。


小川氏
 何年頃ですか?


井上氏
 1999年ですね。当時はバナー広告全盛でしたけど、なんか自分としてはつまらなくてね。肌身離さず持っているのはなにかというと携帯電話で、だったらモバイル向けに広告をやろうとダブルクリックの米国側のトップに直談判してみたんですよ。でも、市場性があるのか調べてから言えとか、日本市場が特殊だろうなどと言われてあっさり却下。今から思うと、私の英語が通じてなかったからかもしれないですけど(笑)。


小川氏
 (笑)


井上氏
 で、会社を作ったんです。2000年3月です。まず当初の目論見通り、モバイルの広告配信システムを作りました。ところが2、3カ月後にね、D2 Communicationsという会社ができて。つまりケータイキャリアの特定広告配信会社ができてしまったことによって、考えていたビジネスモデルが簡単に破たんしてしまったんです。


小川氏
 災難としかいいようがないですね。


井上氏
 ええ。ただ幸いにして、その前にある程度の投資を受けていたので、助かりました。それ以来10回ほど資金面の危機を味わいましたがその都度乗り越えて、いまは相当腰が据わりましたね(笑)。


小川氏
 今の事業モデルを教えてください。


井上氏
 CRM的と言っていいと思いますが、ケータイ中心のダイレクトマーケティングです。携帯電話でアンケートをとったり。2000~2003年で着メロなどがブレイクしたあたりから迷惑メールが大はやりしてしまって、ケータイのダイレクトメールの事業にブレーキがかかったこともありましたけど。


小川氏
 事業が伸び始めたきっかけは?


井上氏
 いや、最近ですよ。PCの世界では、2000年前後からネットの料金定額制や速度向上によってネットショッピングが成立しましたよね。楽天がのび始めたころです。ケータイの世界はいまやっと追いついてきた状態ですね。新規のケータイの契約は6割がパケット定額だそうです。高速化も大きいですね。


小川氏
 はい。


井上氏
 Googleなどの検索サービスの登場で、企業もケータイサイトを持つ必要がでてきたと思います。われわれはケータイサイトのホスティングサービスもしているんですが、既に350社のお客様がビートレンドのサービスを使っています。おかげでケータイサイトのトラフィックの質も変わりつつあります。そんなこんなで、われわれのビジネスモデルがようやく成立しつつある状況です。2000年に描いたビジネス環境にようやくなってきたと思いますね。


サービス利用で月次売上20%アップのクライアントも

小川氏
 BeMss(ビームス)というサービスが主力と伺いました。どのようなサービスですか?


井上氏
 BeMss(BeTREND e Marketing Solution Services)は、Webブラウザから操作する携帯ビジネス用のツール群の総称です。「携帯サイトを作る」、「携帯にメールを配信する」、「携帯サイトで商品を販売をする」、といった企業や店舗における携帯電話を利用したビジネスを支援するものです。一つのツールあたり、月額1万円です。


小川氏
 ケータイのEC市場はどのくらいの規模になってきていますか?


井上氏
 モバイルコマースは8000億円くらいの市場ですね。一昨年が4000億、その前が2000億ですから、倍々で伸びています。うちのビジネスもそのくらいの割合で伸びると思っています。


小川氏
 クライアント数は?


井上氏
 累計500社に利用していただいています。契約数でいうと2007年1月の時点で1900サービスです。


小川氏
 順調ですね。客単価はどのくらいになっていますか?


井上氏
 客単価35万円くらいです。最大で80万円以上使っていただくところもありますね。


小川氏
 迷惑メールの問題はクリアしたんでしょうか。


井上氏
 解消されたと思っています。個人情報保護法のおかげですね。キャリアのサーバー側でかなりの割合でブロックしてくれていますよ。


小川氏
 有力なクライアントは、たとえばどういう企業でしょう?


井上氏
 そうですね、たとえば八重洲コンタクトレンズさんには良くしていただいています。最近感謝状をもらったんですよ、うちのサービスを使い始めたら月次で売上が20%アップしたというので。渋谷などの3店舗でしか利用いただいていない状況で、ネット会員10万人を突破しています。それから、昨年あたりからSIerが営業の切り込みツールとして担いでくださることが多くなりました。Webに事例が載ると売れ行きがやっぱり違いますね。




小川 浩(おがわ ひろし)
株式会社サンブリッジ i-クリエイティブディレクター。 東南アジアで商社マンとして活躍したのち、自らネットベンチャーを立ち上げる。2001年5月から日立製作所勤務。ビジネスコンシューマー向けコラボレーションウェア事業「BOXER」をプロデュース。 2005年4月よりサイボウズ株式会社にてFeedアグリゲーションサービス「feedpath」をプロデュースし、フィードパス株式会社のCOOに就任。2006年12月に退任し、現在サンブリッジにて起業準備中。 著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。

2007/03/20 00:00

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