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SEOは店舗対策のようなもの、自社の強みとターゲットを知ることから始まる

クロスフィニティ深井社長

 今回のゲストは、SEO(検索エンジン最適化)サービスのコンサルティング会社、クロスフィニティの深井社長です。2006年6月創業の若い会社ですが、経営理念そのままに、既に結果を出している優良ベンチャーです。


クロスフィニティ・深井社長 深井 雄一朗
クロスフィニティ株式会社 代表取締役社長

1997年九州工業大学情報工学部卒。
NTTファイナンス株式会社のキャピタリストとして8年間ベンチャーキャピタル投資事業に従事。主な成功案件はGMOインターネット、プロデュース、Ironport Systmes等。
2005年より株式会社オプトのSEM部 部長として検索連動広告売上で前年比250%にあたる50億円・業界日本一を達成。
2006年同経営企画部 部長、韓国eMFORCE, Inc.社外取締役を歴任。
2006年6月よりクロスフィニティ株式会社 代表取締役社長(現任)


SEOサービスの結果、ランキングを保証する

小川氏
 昨年10月の「真夏の夜の夢(ネットエイジ主催のパーティ)」以来ですね。


深井氏
 そうですね。


小川氏
 あのときはまだ大手町にいらしたと思いますけど、オフィス移られたんですよね。


深井氏
 はい。11月1日に外苑前にオフィスを構えました。お会いした時は複数の仕事を兼務していましたが、今は専任でクロスフィニティの成長だけを考えています。


小川氏
 クロスフィニティを知らない読者のために、ちょっと説明をしていただけますか?


深井氏
 われわれはクロスフィニティを「結果を出すSEOコンサルティング会社」と呼んでいます。将来は「結果をだすネットマーケティングコンサルティング会社」と呼ばれたいです。


小川氏
 SEOのコンサル企業はけっこうたくさんでてきてますが、どこが他社と違うんでしょう?


深井氏
 そうですね、ちょっと語弊があるかもしれませんが、「店舗作り」で例えると「超高級レストラン作り」のプロだと思っています。


小川氏
 つまり、品質勝負だと。


深井氏
 検索されるキーワードの中にも、月間で数十万回検索されるようなよりニーズが強い(=競合しやすい)ものから、千回も検索されていないものまであります。われわれは月間検索数が数万回以上という簡単ではない領域を得意にしています。レストランに例えれば、六本木交差点と日に数十人しか通らない私の自宅付近の通りだと、出店するお店の規模や商品単価、日の売上が異なるのと同じことです。われわれはどの道のどの区画にお店を出すのかも含めて、お客様を迷わせないことも大事なことだと考えています。


小川氏
 金額的にはどんな感じです?


深井氏
 ざっくりですが月30万円位からでしょうか。そこからの上振れはビジネスにおける収益(投資対効果)が重要で、驚くような金額を提示していただくお客様もいらっしゃいます。基本的に、GoogleとYahoo!で検索して、その検索結果が何位に入ったらいくらいただく、というような感じでの順位に連動した成果報酬モデルです。


小川氏
 他社比較に戻りますけど、たとえばアウンコンサルティングとはどう違いますか?


深井氏
 アウンさんは数カ月間でSEOの現状分析と改善提案を行っていくら、というモデルだとおそらく思います。「店舗作り」で例えると、こうすると良い店舗が建てられるという設計図や計画書を提供するというコンセプトでしょう。また売上ベースで見ると、SEOよりも検索連動広告に注力されている点が最も異なります。


小川氏
 御社は?


深井氏
 われわれはSEOにフォーカスしています。それも「店舗作り」で言うなら、実際に良いと思われる店舗を自分達で作ってしまいます。作る前にこんな店舗ができたらいくらくださいと言っておいて建てる。そのレベルに達しなければお金はいただかないというモデルです。何をやったかではなく結果を最重視します。検索結果のランキングを上げて初めてお金をいただいています。さらに、ネットビジネスの結果にこだわっていますので、何のためにSEOをやるのかを突き詰めます。そのため、ビジネスの目的に対してSEOが手段としてよくないと判断した場合は、勧めないことやお断りすることまであったりする変わった会社です。お客様に満足していただかなければ、結局自分達に返ってくるとの信念からではありますが。


SEOにフォーカスすることで自社の強みを明確化

小川氏
 クロスフィニティとして法人化してまだ1年経っていないわけですが、事業の成長は目論見通りでしょうか?


深井氏
 今のところ、順調です。当社取締役の滝日伴則をはじめ、株主兼パートナー企業であるアイオイクスの人も含めた全面的バックアップも大きいですから、クロスフィニティとして、年内に業界トップクラス入りをせねば、です。


小川氏
 売上ですか?


深井氏
 いや、営業利益もです。


小川氏
 最近NHKでGoogleの特集をやっていて、その中でアメリカのSEO会社が「Googleの検索結果で1ページ目に出てこない企業は存在しないと同じこと」と、多少脅迫めいた(笑)ことをセミナーで連呼してました。見ました?


深井氏
 はい。


小川氏
 同様のセミナーなどの啓蒙活動をやってます?


深井氏
 4月に予定していますが、まだまだマンパワー不足ですね。


小川氏
 リスティング広告とSEOの本質的な違いは?


深井氏
 いろいろとありますが、即時性の違いは大きいです。検索連動広告は出稿したいと思った時にすぐできます。SEOは効果が出るまで時間を要します。また、その会社の強みは別として、コンテンツがあれば検索キーワードを入札できる検索連動広告に比べ、SEOの場合は、会社の強みと、どういうターゲットに訴えたいか、ということが重要です。リアルなマーケティング活動同様にフォーカスを絞らないといけないわけです。出稿金額の大小よりも、そういった部分が大事になります。


小川氏
 分かりやすいです。


深井氏
 店舗に集客するためにチラシを配るのが広告だとすると、店舗をどこに置くべきか、あるいは店舗自体をどう意識するか、がSEOです。集客だけではなく、たとえばアロマを売りたいならアロマに興味がある人を集めることを考えます。集めても売れないなら、それはなぜか、棚の作りが悪いのか商品が悪いのか、店が汚いのか、接客が悪いのかなどなどいろいろと考えなければならないわけです。


小川氏
 はい。


深井氏
 ただ、そこから先のコンサルも行うことはあるんですが、うちの強みとしてのフォーカスを失うので、コンサルについては極力触れないことにしています(笑)。それと、検索連動広告の責任者をしていた経験があるので理解はしていますが、あえて広告代理をしないという戦略も、他社との差別化にはなっているんでしょうね。とにかく、フォーカスを強めるためにSEO、SEOといっている状態です。


小川氏
 SEMはやらないんですか?


深井氏
 SEMとなると、やることがたくさんありすぎるんです。SEMは検索連動型広告とイコールのように間違って考えられがちなんですが、本質的にはSEOと検索連動型広告を組み合わせた上でのマーケティングをすることです。われわれは検索連動広告を理解した上でSEOにフォーカスしたいです。SEOは「利益の上がる店舗作り」みたいなもので、サイトがボロボロであればいくらSEOを行っても意味はないですから。


そのキーワードにはマーケットがない、ということを理解することからはじまる

小川氏
 クロスフィニティのSEOの特徴はどこにあるんでしょうか?


深井氏
 検索エンジンからの評価を高めることが重要です。試験でいう偏差値になります。サイト内部のポイントを改善しつつ、ページランクの高い保有サイトから外部リンクする施策をやります。信頼できる友人から「信頼できる」と紹介された人は、これまた信頼できるのと同じ考え方です。いまはまだ、何もしてないに等しいお客様が多いですから。でも、W3C準拠の基本に忠実なサイト作りをすることが大事だなと思います。


小川氏
 メニューは少ないとおっしゃいましたが…。


深井氏
 メニューは一個です。1年契約で、Yahoo!とGoogleで何位まで上げますよ、という感じです。お客様側のリクエストは、実現したいことや予算などで制約されますから、そこには細かく対応しますし、ほとんどやっていただくことはありません。どのキーワードで対策するかは実は非常に重要です。キーワードはそのときのトレンドを反映しています。


小川氏
 売上があがるクエリを探すことが大事ですよね。


深井氏
 そうです。収益の流れが明確でないと効果はないわけですから。その点が客観的に見えてないお客様もまだいらっしゃいます。あるキーワードにはマーケットがないことや、少ないアクセスしかない、ということを、ちゃんと説明して理解いただくようにしています。キーワードの選定はツールなどでもとれますし、われわれ自身の長年の経験から肌感覚でもわかっています。新規の事業を伸ばしたいのか、今の事業を伸ばしたいのか、いろいろ確認したうえで提案するようにもしています。


小川氏
 よく分かりました。時間もそろそろなくなってきました。個人的にいま一番興味があることを最後に教えてください。


深井氏
 時代を読む。人のやらないことをやる。人を育てる。というようなことです。長いテーマでは経営そのものに興味があります。経営陣に加わってくる人間に対する興味もあります。社内で経営者を育てることができる経営者になりたいとも思っていますし。経営者を育てる流れを作り、経営者になりたい人を採用していきたいですね。




小川 浩(おがわ ひろし)
株式会社サンブリッジ i-クリエイティブディレクター。 東南アジアで商社マンとして活躍したのち、自らネットベンチャーを立ち上げる。2001年5月から日立製作所勤務。ビジネスコンシューマー向けコラボレーションウェア事業「BOXER」をプロデュース。 2005年4月よりサイボウズ株式会社にてFeedアグリゲーションサービス「feedpath」をプロデュースし、フィードパス株式会社のCOOに就任。2006年12月に退任し、現在サンブリッジにて起業準備中。 著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。

2007/03/27 00:00

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