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feedpath Rabbitのマネタイズを技術から支える
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フィードパス後藤CTO
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今回のゲストは、フィードリーダーのfeedpath Rabbitの運営会社であり、米国のエンタープライズ向けWeb 2.0サービス事業者のフロントランナーであるZimbra社の日本代理店でもあるフィードパス株式会社の後藤康成CTOです。
後藤さんと筆者は2006年度のPC書のトップセールスを記録した拙書『Web2.0 BOOK』(インプレス)の共著者でもありますが、言うまでもなく、昨年末までは同じ会社(=フィードパス)の経営に取り組んでいた仲間でもあります。
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後藤 康成
フィードパス株式会社 取締役兼CTO
大手電機メーカー系エンジニアリング株式会社、中堅エンジニアリング会社を経て、1997年からシリコンバレー・ベンチャーにて北米および、欧州担当システム開発マネージャーとして欧米キャリアに提供後、2000年ネットエイジに入社。現在ネットエイジ(株)技術担当取締役。2005年ブログエンジン株式会社の設立に参画し、現在に至る。著書に『ビジネスブログブック2,3』(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0 BOOK』(インプレス)などがある。
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■ スケーラビリティを考えてJava化
小川氏
テクノラティで、というかブログ界でfeedpathの話題が相当盛り上がりましたね(笑)、って僕が言うのも変ですね。
後藤氏
話題になることはいいことですよ(笑)。
小川氏
リニューアル自体はもちろん僕が在籍しているときからのロードマップですから、基本的には了解していることなんですが、そもそもは、パフォーマンスの安定化のために、ソースをJava化する、ということでしたね。
後藤氏
そのとおりですが、むしろスケーラビリティの向上のため、と言った方がいいですね。もともと小川さんが考案した時期のfeedpathでは、フィードリーダーと(クローラー部分の)アグリゲーター、そしてデータベースが一体化していましたが、これら3つを分別して、スケールするように考えました。
小川氏
はい。
後藤氏
ただ、今回ベースになったのは、ただリニューアルするだけではつまらないだろうということで、リーダーとBlogエディタを一つのサービス、そしてフィードのアグリゲーターとAPIをもう一つ別のサービスとして分けたわけです。前者がfeedpath Rabbit、後者はfeedpath Skunkです。Skunkについては、いわゆるテクノラティのAPIのように外部に公開の準備までできているので、そのうちには完全に別のサービスとして出すことを考えています。
小川氏
そのあたりの設計変更は妥当だし、そういう計画であったことも分かっています。それに、リニューアルしたときに一時的に速度が出なかったり、サービスが落ちやすくなるなど、安定しないことはよくあることで、これらはすぐに解消されると思っていました。
後藤氏
ええ。苦労しましたが、事実今は相当速くなっています。
小川氏
問題なのは(笑)、まあ多くのユーザーが言っていることでもあると思うんですが、デザイン面で大きくポータルチックに振れたことによる違和感と、なによりもフィードのまとめ読みというかフォルダごとに一気読みができなくなったという、使い方の変化ですね。
僕は200近いフィードのチャネルを、30くらいのカテゴリのフォルダに分別していて、これまではフォルダごとに一気に読めていたんですが、それがいまはチャネルごとに読まなければならないので、クリックの数が単純計算で30から200になってしまった。それだけ操作が煩雑になってしまったことが惜しいんです。
後藤氏
なるほど。同じような不満を言ってきてくださるユーザーは確かに多いです。ある意味今回グレードダウンしてしまったところかもしれないですね。実はそこには理由があって、チャネルの中にアイテムがあって、そのチャネルとアイテム(記事)のツリー構造を変えたことが原因です。数千万から数億Feedを蓄えていくことを前提にスケーラビリティを求めると、フォルダごとの一気読みをさせると、非常に負荷が高いんです。なので敢えて外したのですが、実はその操作感がユーザーの大きな支持を受けていたと今回知ったので、きわめて近い将来、復活させようと考えています。
小川氏
そうですか。それはよかったです。ちなみに、Google Readerは、フィードの数が多いときにスクロールをすると、ページに表示していない残りのフィードを自動的に再表示する機能があるんですよ。
後藤氏
ページ遷移をさせないと?
小川氏
そうです。先読み表示機能とでもいうんですかね。その機能とフォルダの一気読みが合わさると、ものすごく使い勝手があがると思います。
後藤氏
検討してみましょう。
■ feedpathのメディア化を目指す
小川氏
それと、ブランディング戦略上大きな変化があったと思いますが、Skunkという名前はどうしてつけたんですか(笑)。
後藤氏
うーん。実のところ僕はそのネーミングには関わってないので背景は分かりませんが、ただ言えることはブランディングにはクールでネーム自体が意思を持つようなものと、どちらかというと変な名前というか、ApacheやTomcatもそうですけど、意外性からくる名前が認知されることがありますよね。今回は後者の考え方である、ということでしょう。
小川氏
ああ。なるほどね(笑)。
後藤氏
ドラえもんの声が変わったことで不満を持つユーザーもいますが、多くはいずれ慣れてくれますよね。feedpathもRabbitに変わり、ユーザーはきっと慣れてくれるものと思います。
小川氏
Mac OS 9からOS Xへの移行の際も結構もめましたからね。いずれにしても、今回こんなにユーザーからの反応があったことに僕自身が驚いてますし、それ自体は悪いことじゃないですね。Blogエディタのアクティブユーザーが多いことも実感しましたし。
後藤氏
そうです。われわれとしては2007年に入って、いよいよfeedpath自体のマネタイズにも着手しようとしています。小川さんが作り上げてきたfeedpathは、エッジが立っていて、アーリーアダプターにまずアピールしてきたと思います。フィードリーダーはゼロサムで、複数のリーダーを使うことはまずないじゃないですか。現時点でリーダーの普及率は20%足らずです。であれば、現在のユーザー層からのシェアの取り合いではなく、新しいユーザーを捕まえにいきたい、となるとマジョリティに受ける形にfeedpathを変えるべきだろうと。
小川氏
それがRabbitであると。
後藤氏
ですね。それによってメディアとしてまず広告ビジネスを成立させるには、5000万フィードビュー(アイテムをクリックして開かれた数、WebのPVに相当)を年内に実現したいですね。広告ビジネスが成り立つには時間もかかるし、フィードリーダーだけでメディア化するのは非常に難しいですが。ライブドアなどの他のフィードリーダーのプロバイダはポータルとしてコンテンツをたくさん持っていて、そのコンテンツへのディストリビューションサイト(コンテンツへの誘導をするサイト)として、フィードリーダーを考えればいいので、われわれよりは有利だと思いますね。
小川氏
確かに。ただ、単独でフィードリーダーをWebで提供するベンダーは日本ではフィードパスだけです。逆に言えばどこの誰ともアライアンスを組めるわけですし、その中立性を武器にしてください。
後藤氏
それはわれわれの優位性かもしれないですね。あと気になることといえば、メディア化するということがユーザーに喜ばれない可能性があるということですが、しかしマネタイズしないことには結局続けることはできないわけで、そこはトレードオフなんでしょうね。
小川氏
そうですね。他の商材、イントラブログ用のblogengineや(ZimbraのOEMである)feedpath Zebraはどうです?
後藤氏
feedpath Zebraのライセンスビジネスは好調ですよ。blogengineも、OEM提供先のサイボウズブログが売れているので、いい感じです。
小川氏
feedpath ZebraのSaaSモデルは?
後藤氏
これから火がつくと思いますが、SaaSはこれからのベンダーとの啓蒙活動によりますね、ただハードルを越えてしまえばいけるのだろうとは思いますけど。ライセンス事業が好調なのは、一つには大手企業が2000~2001年の段階にExchange Serverなどを入れていたのが、そろそろ切り替え時期にきているというタイミングもあります。ポジティブスパイラルが起きているかもしれません。
■ フィードメディア確立への挑戦
小川氏
時間がなくなってきました。最後に、FBSのメンバー同士ということでも、フィードメディアに対する見通しを伺いましょうか。
後藤氏
このあいだのフィードビジネス・サミットでびっくりしたのは、フィードメディアというキーワードがさまざまな形で頻出したことですね。フィードメディアという言葉はまだ非常にジェネリックで定義が決まってはいないですよね。しかし必ずメディア化するとは思いますね。
小川氏
僕はインプレスR&Dの井芹社長と話したのですが、Webとフィードは明らかに違うトラフィックであるというか、別のメディアなんだという考え方に落ち着いてきました。HTMLのWebと、RSS、つまりXMLベースのフィード、というわけです。
後藤氏
その考え方は正しいように思います。Webをメディアとしてとらえるように、フィードをメディアとしていくことができれば。ただ、ユーザーにはフィードということを意識しないようにさせないと普及しないかもしれないですね。feedpathでは、あらたにフィードエディタとFeedBase(集積したフィードをデータベース化する考え)を組み合わせて、一つのサービス化につなげようと考えています。それを今はWolfと名づけているわけですけど、それぞれのマネタイズエンジンとしていきたいですね。API提供にしても有償と無償を使い分けてもらうようにして。
小川氏
FeedBaseというコンセプトは、今の僕の事業プランの骨子になっています。
後藤氏
modiphiですよね。
小川氏
そうです。modiphiは、いま後藤さんが言われたWolfと同じであると考えてもらってもいいです。ただし、ユーザーインターフェイスを含む、サービスの表現方法はだいぶ変わってくると思いますが。
フィードをメディアとして考えると、Webはアーカイブ、フィードは更新情報の固まり、というような使い分けが当面は主流なのかな、と。
後藤氏
かもしれないですね。しかしまあ、小川さんが辞めて、ビジネスプロデューサーがいなくなってしまって、われわれも大変ですよ(苦笑)。
小川氏
ああ。すみません(笑)。
後藤氏
その分僕が忙しくなりました(笑)、ほんとに。ともかく、フィードパスの各サービスを、それぞれキャッシュマシーンに今後は変える努力を続けないとならないですね。
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小川 浩(おがわ ひろし) 株式会社サンブリッジ i-クリエイティブディレクター。
東南アジアで商社マンとして活躍したのち、自らネットベンチャーを立ち上げる。2001年5月から日立製作所勤務。ビジネスコンシューマー向けコラボレーションウェア事業「BOXER」をプロデュース。
2005年4月よりサイボウズ株式会社にてFeedアグリゲーションサービス「feedpath」をプロデュースし、フィードパス株式会社のCOOに就任。2006年12月に退任し、現在サンブリッジにて起業準備中。
著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。 |
2007/04/18 13:02
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