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Web 2.0時代の天才? それともヘンタイ?
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チームラボ猪子社長
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今日のゲストは、オモロ検索「SAGOOL」などのユニークなサービスで知られる、チームラボの猪子さんです。186cmの長身と野性的なマスクを持つ彼は、奔放な言動で最近のIT業界では目立って異彩を放つ面白い人物です。会ってみなければわからない彼の魅力をどこまで伝えられるものか心もとないですが、どうぞご一読ください。
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猪子 寿之(いのこ としゆき)
チームラボ株式会社 代表取締役社長
1977年徳島市出身。2001年東京大学工学部応用物理計数工学科卒。2004年東京大学大学院学際情報学環中退。大学卒業時に、チームラボ創業。
Web 2.0型のサイト構築を企業に提供している他、コンテンツマッチング、レコメンデーションエンジンや視覚化検索エンジン、純国産検索エンジンの「SAGOOL(サグール)」など、先端テクノロジーの開発も行う。
主な実績に、レッツエンジョイ東京、イザ!など。アートやクリエイティブの活動も行っており、3次元水墨動画絵巻物語・花紅をスヌーピーライフデザイン展に出展。
株式会社産経デジタル 取締役、フジテレビラボLLC CTO、株式会社NKB 取締役
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■ 営業は一人もいないです
小川氏
面白いオフィスですよね。
猪子氏
オモロいでしょーっ。
小川氏
受付はファミコンで操作だし、パーティションは六角形だし(笑)。巨大なメモ帳付きの会議卓はちょっと欲しい。いや、すごく欲しいです。
猪子氏
ほんとですかぁ? ぜひ買ってください(笑)。
小川氏
オフィスを構えたときは買いますよ、マジで(笑)。それにしても広いオフィスですよね、何人くらいいるんですか、スタッフ。
猪子氏
百人くらいですね。なんとなく、ちょっとずつ人増えて。7割がエンジニアというかプログラマーとSEで、ネットワークエンジニアとクリエイティブ、コンサルのメンバーが1割ずつですね。
小川氏
営業いないの?
猪子氏
一人もいないですねぇ。
小川氏
在学中に会社作ったんでしたっけ?
猪子氏
いや、出たときですね。というか出てない、卒業してなくって、中退というか解雇された(笑)。
小川氏
いやいや(笑)。
猪子氏
登記は2000年の12月なんですけどね。親戚が使ってない有限会社を持ってて、それを買い取って作りました。2001年の3月に営業開始したんですけど、だらだらやりながら大学卒業して、それからだらだら大学院に行ってたんですね。で、中退というか解雇(笑)されて、それを契機に株式会社にしました。
■ Web 2.0的サービスは別会社で運営
小川氏
何が主体なんです? チームラボって、何やっているかわかりづらいところが面白いですけど(笑)。
猪子氏
わかりづらいでしょ(笑)。会社はね、プロダクト作ってます。もう一つはソリューションというかSIですね。事業主体は分けてますけど、サービスもやっています。音楽共有サイトのwaccaとSAGOOLはチームラボビジネスディベロップメントという別会社で運営してます。
小川氏
サービスの事業は順調?
猪子氏
わかんないっ。というか、まだ売り上げ立ってないし。でもまあ一応広告ですかね。
waccaは、音楽を個人がばかばかあげてきて、適当に他の人がダウンロードするという感じ。ただで配ってもいいし、売ってもいい、売れたら売上の70%はアーティストにリファンドするというモデルです。というか、waccaはね、たぶん日本で一番クリエイティブコモンズ(CC)の音楽コンテンツを集めているサイトですよ、きっと。
小川氏
へえ?
猪子氏
音楽をアップするときに、デフォルトがCCになっているだけですけどね(笑)。もちろん一般の著作権を選ぶ人もいますけど。新曲が毎月500曲アップされていて、多少ふざけている曲もあるかもしれないけど、それ自体でもみんなクオリティがすごく高くて、すごいですよ。無秩序で、記号化されていないアーティストの集まりだから、まじで面白いです。SNSっぽく誰かのリコメンドや自分と興味が近いような曲を集められるMYページもあります。
小川氏
SAGOOLも面白いですよね。
猪子氏
おもろいでしょ。SAGOOLは、おもろいをキーワードにした検索なんですよ。でもね、おもろいっていうことは実はファニーではなくてインテレストという意味なんです。興味のある言葉をちゃんと集めて検索してる。Googleと比べるとわかりやすいですよ。検索結果を比べれば一目瞭然。
小川氏
どう違います?
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Googleでの検索結果
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SAGOOLでの検索結果
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猪子氏
例えばね(「サンブリッジ」と検索しながら)、小川さんがサンブリッジの中で、なにかおもろいことしようとしてるじゃないですか。でもGoogleでサンブリッジを検索すると会社概要とか、公式なホームページが最初に出てくる。それじゃしょうもないでしょ。
でも、SAGOOLなら、サンブリッジが次になにをやろうとしているか、なんかエッジきいたことをやろうとしているなら、それをちゃんと結果に返すんですよ。ね、ちゃんと小川さんの記事が上にくるでしょ?
小川氏
ほんとだ。
猪子氏
ポジティブな使い方というか、興味のない人にとっては関係ないかもしれないけど、興味のある人にとってはちゃんと面白い検索結果がでるんです。それに、画像や動画のサーチも同時にやります。キーワードをなぞってハイライトすると、Ajax使って絞り込み検索の結果もさっと見せる。先読み検索もあって、スクロールをどんどん下げると、どんどん新しい検索結果も返します。
小川氏
おお。すごい。
猪子氏
すごいでしょ。ちゃんとね、自前のエンジニアで作ってる。マッチョなんですよ、チームラボは。SAGOOLを使ってください、どうしてもGoogleを使いたい頭の固い人はいいですけどね。Google以来の発明ですよ、SAGOOLは。
小川氏
確かにいい。インデックス量はけっこうあるでしょ。どのくらいですか?
猪子氏
神秘的な量です。
小川氏
ああ、そうですか(笑)。
猪子氏
気になんない程度ですよ。
小川氏
ブログサーチはやらないの?
猪子氏
ランキングに興味がありますから、やらないですね。ブログ検索は新着順でしか返せないでしょ? ランキングをちゃんとやろうとすると急に重くなりますからね。
小川氏
なるほど。
猪子氏
超情報化社会ですよね、いま。そんな中で多忙な人がどう情報を使うのかに興味があるんですよ。だからサーチ&マッチングというか、情報のフィルタリング、全部一緒ですけど、そこらへんのテクノロジーをコアにしてますね、うちは。トラックバックスパムのフィルタリングなんかも作っているんですけど、技術的には同じ。ある程度の数をシステムに学習させるとスパムもはじけるようになります。仕組みは結局サーチ&マッチングなんです。
■ サーチ&マッチングのテクノロジーベンチャーを目指す
小川氏
企業向けの検索サーバーも売ってるんですよね?
猪子氏
やってますよ。デルがいいならデルに、サンがいいならサンにサーバーソフト入れて売りますよ。検索結果を視覚化して、相関マップを見せることもできます。
小川氏
サイト内サーチも企業内サーチも両方?
猪子氏
両方ですね。サイト内サーチはね、裏っかわで構造化されてないとしても、ユーザーにはちゃんとそういうようにみえるべきなんですよ。たとえばデジカメと検索したら、写真、テキスト、動画などのファイルは、ちゃんと分けて表示したほうがいい。コーポレートサイトなら、文化活動、ニュースリリース、商品、というように、ちゃんとコンテンツ別に分別しなきゃならない。ユーザーはね、サイト内のどこになにがあるかを理解して検索してるわけじゃないです。だからこそ結果はきれいに構造的に分けてみせてあげなければならないわけですよ。Googleでもどこでも、そこらへんができてない。動画もFlashも検索できるべきだしね。
小川氏
なるほど。GSA(Google Search Appliance)はだめですか。
猪子氏
だめってことはないけど、本来パッケージとはいえ、企業内におさめるにはカスタマイズというかSIがいるじゃないですか、UIとか。利用するサイトによって、適切な使い方があるわけだし。というか、どんなサイトでもサーチ&マッチングの考え方をベースに作るべきですよ。
小川氏
売上はSIのほうが大きいんですか?
猪子氏
圧倒的にSI。ソリューションですね。9割かな。プロダクトは1割ですね。ほんとはプロダクトを主力にしたいですけどね、創業以来、テクノロジーの会社にしたいと本気で思ってきたから。
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小川 浩(おがわ ひろし) 株式会社サンブリッジ i-クリエイティブディレクター。
東南アジアで商社マンとして活躍したのち、自らネットベンチャーを立ち上げる。2001年5月から日立製作所勤務。ビジネスコンシューマー向けコラボレーションウェア事業「BOXER」をプロデュース。
2005年4月よりサイボウズ株式会社にてFeedアグリゲーションサービス「feedpath」をプロデュースし、フィードパス株式会社のCOOに就任。2006年12月に退任し、現在サンブリッジにて起業準備中。
著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。 |
2007/05/08 00:00
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