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PCからケータイへ、若いアイデアを具現化しながら成長する
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マイネット・ジャパン上原社長
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今回のゲストは、マイネット・ジャパンの上原さんです。同社はソーシャルニュースサイトを運営するかたわら、携帯電話用のCMS(コンテンツマネージメントシステム)の開発を進めるなど、積極的な姿勢が目立つベンチャーです。ネットの近江商人を自称する彼の事業哲学を紹介します。
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上原 仁(うえはら じん)
株式会社マイネット・ジャパン 代表取締役社長
1974年滋賀県生まれ。
神戸大学経営学部卒業後、1998年NTT入社。光サービスの企画等の後、2001年にNTTのインターネット映像配信事業の立ち上げに参画。2004年NTTレゾナントに転じ、ポータルサイトgooのサービス統括。gooではマーケティング、新事業戦略を担当。Web 2.0関連の執筆・講演多数。
2006年7月、仲間6人とマイネット・ジャパンを創業し、日本初のソーシャルニュースサイト『newsing(ニューシング)』や無料携帯サイト作成ツール(CMS)の『katy(ケイティ)』を運営。著書に『アルファブロガー』(翔泳社)、『口コミ2.0-正直マーケティングのすすめ』(明日香出版社)。ブログは近江商人JINBLOG。
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■ ソーシャルニュースサイトとケータイCMSを投入
小川氏
わりとよく会いますよね。
上原氏
そうですねえ。
小川氏
マイネット・ジャパンは、精力的に動いてますね。ソーシャルニュースサイトのnewsingだけではなく、いまは結構いろいろなサービスを出してるんですよね。
上原氏
そうです。いまは、newsingに加えて、その派生的なサービスとして、法人向けのOEMライセンス製品のnewsing2B、社内利用のイントラnewsing、それからkaty(ケイティ)というケータイサイトをもっています。
小川氏
製品としては、newsingベースと、そのケータイ用の2つになると思っていいですね? katyはどういうサービスでしょう?
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katy(ケイティ)かんたんページ作成ナビ。数ステップで作成できる
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上原氏
携帯サイト作成、でググるとトップにでてくるようになりました。すべてのお店にケータイサイトを、というコンセプトのサービスですね。業態でいうとケータイCMS、という感じですかね。アクセス解析、QRコードも簡単、3キャリア対応もしています。
小川氏
サービスの特徴は?
上原氏
特徴は、無料で作れて5分でカンタン、というものです。ほんとカンタン、びっくりするほどカンタンです(笑)。規定の文章を入れていくと、タグになるものを意識せずとも作れます。簡単作成ナビ、というのがついているんですけど、何セカンド(何秒)かで作れる。ナノセカンドとまではいかないですけど(笑)。でも、とにかくひたすらカンタンです。
小川氏
なるほど。ケータイユーザーはそれほどリテラシーが高いとは限らないですしね。
上原氏
ブログでさえタグを意識しないとできないじゃないですか。例えば美容室をやっているおにいさんとか米屋のおじさんにとっては、あのタグのくの字を見た瞬間にアレルギーになるんです。
■ フルブラウザはケータイ市場には不要
小川氏
katyを作ることになったきっかけは?
上原氏
2つあるんですけど。1つ目の背景としては、パケットフリーによるケータイの大普及があるんです。定額利用者がざっと2000万人かな。接続速度の高速化によって、さらにエンドユーザーがものすごい勢いでケータイを使い始めています。正確な数字ではないですけど、ドコモが2005年の末くらいで8.8億PV、それが2006年末には15.6億PV。ほぼ倍です。
もう一つはケータイ検索のオープン化で、ドコモは14社と組み、auはGoogleと組んでます。つまり、勝手サイトにどんどんトラフィックが流入しているわけですよ。でも、ケータイ検索でいま検索してもろくなものが出ないというのが現状です。それはケータイサイトをみんな持っていないからなんですね。
小川氏
だからkatyで楽にケータイサイトを作らせようと。
上原氏
そう。PCサイトとは大違いで、老若男女みんなが使える道具をみんなが持っているのにね。誰もがケータイサイトを作れればその状態が変わると思うんです。
小川氏
フルブラウザによるPCサイトのケータイ流入はどう思う?
上原氏
悪いですけど若い子たちにはフルブラウザは必要ないんじゃないですかね。ケータイサイト自体が普及しているので、PCのサイトを見にいかないですよ。
小川氏
iPhoneがきても?
上原氏
一部の人、リテラシーの高い人にとってはいいと思いますけどね、eモバイルがWindows Mobileで頑張ってらっしゃいますけど、一定のパイをとれるでしょうが、ユーザー数1500万人とかの、ケータイ市場でのクリティカルマスをとるところまではいかないと思いますね。既に9000万人が持つケータイに、フルブラウザがほんとに必要となることはないでしょう。
小川氏
僕はちょっと違う意見なんですけど、まあそれは置いておきましょう。2つ目は?
上原氏
もうひとつは、お店の人たちにリアルとは違う集客の方法を与えたい、すべてのお店のひと、というキーワードをもっていることですね。
魔法のあいらんどしかりで、ページ作るのはいいけど、それをどうやってマネタイズするか、という思考はあまりないように思っていたんですね。折り込みチラシとか地方情報誌などに広告を出していた人たちが、ケータイをうまく使っていける方法を得ることができればどんなにいいか。しかも、それも廉価に提供することをやりたかったんです。
例えば、katyクーポン地図。店を予約した後に、いままではぐるなびのマップを送っていました。それが、このサービスではマップファンの協力を得て始めたんですけど、初期費用3000円、月額費用も3150円という格安価格で利用できるんです。
小川氏
newsingとのバランスは? 統合していくことはしない?
上原氏
いますぐつなげていこうという気はあまりないですね。ケータイのB2Cサービスも開発中なんですけど、PCにせよ、ケータイにせよ、人が勧めるものを読んだり買ったりする、ソーシャル活動にマッチする商品情報や広告を提示するようなサービスをいつかはやって、情報提供者と必要とするユーザーをそれぞれの場で醸成していきたですね。いつかはマッチングしていくと思います。そもそもマッチングというものに興味があったわけですけど、多数vs多数じゃないとマッチングしないじゃないですか。だから、ユーザーとお店の情報を両方たくさん持たないと。
小川氏
それはそうですね。
上原氏
メディアに集まっていただき、情報提供者であるお店の人たちにもたくさんあつまっていただく、そのうえでなら、情報を欲しい人と出したい人が適切にマッチングすると思います。
ソーシャル側は「誰と」が大事、ケータイでは「いつ」「どこで」が大事。それがWeb上におかれて、適切に解析されていけばよいマッチングができると思うんです。
■ 新卒採用にも前向き
小川氏
話は違うけど、社員は今何人ですか?
上原氏
16名です。
小川氏
資金面はだいじょうぶですか?
上原氏
最近増資しまして、いまは住商さんとリクルートさんが新たに株主になっていただいています。資本金は3600万円としました。今回の増資目的は明確で、newsingの開発陣増強、katyのパートナリング強化、6月に出すケータイの新サービス開発用、というところですね。
小川氏
上原さんがケータイの事業にそんなに早く乗り出すとは思ってなかったですよ。
上原氏
mixi上場後いろいろあって。最近は、セカンドライフに代表されるバーチャルリアリティ方向と、モバゲーに代表されるケータイの方向に分かれて、意識が進んだ気がしてますね。auとGoogleの提携、もあったし。で、われわれはケータイにいこうかと。ケータイ市場は群雄割拠になって、二度目のムーブメントがくる気がするんです。
小川氏
なるほど。そこは同感ですね。
上原氏
あとは、小川さんたちの功績かと思うけど、エンタープライズ2.0というか、ソーシャルなサービスを考えている人が増えた気がしますね。エンタープライズ系の人がどんどんこの方向によっている気がしてます。
小川氏
うん。僕も去年と比べて大企業からお呼びがかかることがほんとに多いですよ。Web 2.0に今一番強い関心を持っているのは、大企業の経営層だと思います。あ、そろそろ時間がない。最後に、最近はまっていることを教えてください。
上原氏
はまっているものですか、採用活動ですかね。実は新卒採用してるんですよ。
小川氏
へえ。
上原氏
たのしいですね、若い子と日々話すのは。いろいろなアイデア、事業の話をするのはとてもたのしいです。2007年の新卒をとったし、2008年の新卒も考えてます。会社としての血の巡りというか、成長産業だからこそ感じられることがすごくたのしい。起業したい、という子をより多く採用しているんです。社内でもスピンアウトでもいいし、そういうのが新しい血が入ってくるということがほんとにうれしいですね。
小川氏
僕のところも、実は来年の新卒が入ってきますよ(笑)。今日はありがとうございました。
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小川 浩(おがわ ひろし) 株式会社サンブリッジ i-クリエイティブディレクター。
東南アジアで商社マンとして活躍したのち、自らネットベンチャーを立ち上げる。2001年5月から日立製作所勤務。ビジネスコンシューマー向けコラボレーションウェア事業「BOXER」をプロデュース。
2005年4月よりサイボウズ株式会社にてFeedアグリゲーションサービス「feedpath」をプロデュースし、フィードパス株式会社のCOOに就任。2006年12月に退任し、現在サンブリッジにて起業準備中。
著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。 |
2007/05/29 00:00
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