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“話題”といえば“kizasi”を目指す
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きざしカンパニー潮社長
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きざしカンパニーは、システムインテグレータであるCAC(株式会社シーエーシー)の社内ベンチャーとしてスタートし、今年始めに法人化した新しい企業です。ブログ検索としてはテクノラティなどの比較対象になりますが、そのアプローチはかなり異なっています。
時間軸と話題の変化、という動きに着目したkizasiがもたらす新しい“兆し”とはなんでしょう。社長である潮氏にお話を伺いました。
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潮 栄治
株式会社きざしカンパニー 代表取締役社長
1961年、福岡県出身。早稲田大学政経学部を卒業後、85年マツダ入社。商品企画・海外営業などを経て、92年福武書店(現ベネッセコーポレーション)入社。新規事業開発に携わる。2005年シーエーシーに入社。kizasi技術を活用したビジネス企画に参画、2006年より事業化。kizasi事業推進室長などを経て2007年1月よりきざしカンパニー代表取締役社長に就任。
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■ マツダ、ベネッセを経てCACに
小川氏
潮さんは元々CACのプロパーではないんですよね?
潮氏
違います。私は、大学を出てすぐに自動車メーカーのマツダに就職して、7年半ほど働いてました。
小川氏
また畑が違いますね(笑)。
潮氏
ですね。そこで商品企画を4年、その後、海外営業担当をしてました。そのあと、ベネッセコーポレーションに移りまして、新規事業の担当となりました。子供向けだけではなくオトナ向けの商品の開発ですね。
小川氏
CACに移られたきっかけは?
潮氏
ITには興味があったんですよ、前から。実は私はCACに入社したのは最近で、kizasiというプロジェクトがあるのを知らずに入ったんです。入ってから、こんな面白いことをやっていたのか、と(笑)。
小川氏
それは意外でした(笑)。
潮氏
2005年の6月にCACの社内プロジェクトとしてkizasiはスタートしました。もともとCACの技術研究センターには自然言語処理の技術がありまして。株主の出版社さんの辞書作りのお手伝いなどをしていたんですが、そんな技術の他の利用方法はないかな、なにか事業を興せないかなとテスト的にブログの情報を集めてみて解析してみたら、これが結構面白いと。そのあたりで私はCACに入社して、その翌月の6月から正式なプロジェクトになったわけです。
小川氏
なるほど。
■ Web上の話題を時系列に基づいて抽出
潮氏
kizasiサーチエンジンは、時間情報をもったテキストデータを収集して、解析できるのが特長で、だから「時系列共起パターン解析エンジン」というんですけど、時間情報を持った情報、ひらたくいうと「話題」をつかまえる技術ですね。話題というのは時間とともに変化するわけです。話題の量も変わるし、その内容も刻々と変化します。これは、ある言葉が増えたり減ったり、その言葉と一緒と語られる言葉が変わっていったりといった、言葉の現れ方を時系列で見ていくとよくわかります。
小川氏
具体的な例をあげると?
潮氏
たとえば、昔はメガネ=邪魔、かっこわるい、というイメージが強かったように思います。そのころメガネと一緒に語られていた言葉は何となく想像できますよね。それが、ある時期から眞鍋かをりさんの影響なんですかね、めがねっこブームが起きたじゃないですか。そうすると、そのうちにメガネと一緒に語られる言葉が変わってくる。このように、話題が盛り上がってある言葉が増えてくるだけじゃなくて、一緒に語られる言葉もまた時間とともに変わっていく。言葉の概念や、そこから受けるイメージがある時期から変わる。こういう動きを言葉の量の変化からつかまえていけるのは面白いじゃないですか。
小川氏
僕は昔からメガネマニアなんですけどね(笑)。といっても、自分がかけるだけでメガネの女の子に特に何も感じはしないですけど(笑)。
まあ、それはともかく、確かにファッションだけにとどまらず、言葉の指し示す意味や印象は時間によって変化しますよね。
潮氏
そうです。たまたまCGMのテキストの世界、つまり「話題」の世界がでかくなってきて、言葉の概念というような学術的ではなく、言葉の意味が変わっていく、話題が変化していくさまを示したら面白いだろう、と考えた結果がkizasiの誕生ですね。まだまだ発展途上なんですけどね。Googleのページランクはテーマに沿った独自の順番を検索結果として提供することがすごいと思うんですけど、われわれの場合は、有名ブロガーはともかく、個々のブロガーのエントリー、テーマから、ある時間軸の中の話題を探しているわけで、ページランクとはまったく異なるアプローチをとっているわけです。
■ kizasi.jpとブログクチコミサーチによる法人化
小川氏
会社化は最近ですよね。
潮氏
今年の1月ですね。いまは17人ですけど、半分はkizasi事業が始まってから採用したメンバーです。
小川氏
事業としての、きざしカンパニーのモデルはどのようになっているんでしょう?
潮氏
一般向けに公開しているkizasi.jpと有料のASPサービスであるブログクチコミサーチの二つを提供しています。この二つの基本は同じエンジンですが、大きな違いは「時(トキ)」のとらえかたです。kizasiは、「今」という時間ですぱっと切ったときのホットな話題をとらえるもので、コンテンツを抽出する機能を生かしたサービスになりますが、ブログクチコミサーチは、「過去からのトレンド」を見ながら話題の内容や量の変化、つまり時間を幅でとらえる、というものです。企業がマーケティング用にこうした情報を欲するというニーズがあるので、そのためのサービスを有償で提供しています。
小川氏
なるほど。kizasi.jpのほうはどういう収益化を考えてらっしゃるんでしょう?
潮氏
kizasi.jpでは、今後広告モデル化は考えてますけど、いまはコンテンツの提供料や技術提供料といった形の売上が中心です。Yomiuri OnlineさんやAll About、Yahoo!、カカクコムさんらにコンテンツを提供しています。カカクコムさんだと、彼らのコンテンツの解析もさせていただいています。やっぱり、コンテンツもある程度のボリュームを超えるとユーザーにとってはすべてを把握するのは難しくなってきますから、要約するようなニーズは出てくるんだと思いますね。
■ 広告モデルへのシフトとWeb上の情報ノイズ回避を目標
小川氏
将来的にはkizasi.jpとブログクチコミサーチのどちらが大きく成長すると考えてらっしゃいますか?
潮氏
ブログクチコミサーチがいまはメインになっているわけですけど、kizasi.jpからの収益がもっと大きくなる方が望ましいでしょうね。というのも、リサーチ関連のビジネスは、企業にとってはどうしてもコストとしてとらえられがちなので。市場が冷えて企業側がコストダウンを考えだすとわりとすぐカットの対象になりやすい分野ですから。化けるのは販促とかプロモーションといった企業の売上にダイレクトに影響する広告がからむメディアの方でしょう。
小川氏
そうかもしれないですね。MODIPHIでも法人向けサービスを先に収益化する方針でいますけど、やっぱりネットビジネスをやる以上、コンシューマ市場に軸足を置きたいとは思いますね。成功したときのパイが違いますから。
潮氏
ええ。ただ、将来はkizasiからの情報の提供によってあがった広告収入のシェアをさせていただけるようなモデルを考えたいですね。単純にkizasi.jpに集客してkizasi.jpのサイト上の広告売上を増やすというより、多くの他社さんのサイトにkizasiコンテンツを活用いただくページがあって、そのページであがった広告売上を分け合うような、そういう形を目指したいですね。
あとは、いまはブログからの話題の抽出が中心ではあるけれど、SNSやその他の掲示板のように、世の中にはいろいろな「話題」にまつわるコンテンツがあるわけです。もちろん、日本だけでなく世界中に。いまのホットな話題を知るならkizasi、というようにいわれたいと思います。
小川氏
それはメチャクチャ面白いです。それに、情報の粒度を、サイトとかブログとかSNS、というような固まりではなくて、単語にまで落とし込んで細小化することができれば、セマンティックWebに近づいていくと思いますし。
最後になりますけど、今後の具体的なアクションについて少し教えてください。
潮氏
11月にブログクチコミサーチをリニューアルするんですよ。
ブログもね、ほんとうのブロガーの生の声からはじまって、これを書く目的がどんどん多様化してます。機械的に生成されるSEO対策のエントリーとかも増えてきちゃって。ブログというだけで、あらゆるテキストを抽出したり分析しても、マーケティングには使えないような状況になってきていると思うんですよ。たとえばカカクコムの掲示板は、その意味ではまだとてもキレイなコンテンツのままです。管理人がコンテンツをチェックしてますし、コミュニケーションの中でヘンな書き込みは淘汰(とうた)されてるし。一方ブログの世界は書き手にとっては自由なので、たとえば機械的に生成したようなときとして意味の通じないコンテンツも検索すると平気で引っかかってきてしまうんです。そういうノイズをどうやって回避していくかというのが、マーケティングでブログデータの分析や活用をしようとしたとき今一番大きな課題だしテーマなんですね。
小川氏
mixiあたりでもそういう“機械的な”ノイズが増えてるようですしね。
潮氏
そのための対策として、欲しい情報をいかに簡単に絞り込むかを追及した、新しい検索方法を提案しています。
リニューアルしたブログクチコミサーチを、ぜひ試していただけるとうれしいですね。
小川氏
わかりました。今日はありがとうございました。
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小川 浩(おがわ ひろし) 株式会社サンブリッジ i-クリエイティブディレクター。
東南アジアで商社マンとして活躍したのち、自らネットベンチャーを立ち上げる。2001年5月から日立製作所勤務。ビジネスコンシューマー向けコラボレーションウェア事業「BOXER」をプロデュース。
2005年4月よりサイボウズ株式会社にてFeedアグリゲーションサービス「feedpath」をプロデュースし、フィードパス株式会社のCOOに就任。2006年12月に退任し、現在サンブリッジにて起業準備中。
著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。 |
2007/11/06 00:00
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