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モバイル広告市場は621億円、まだまだこれから爆発する-エンターモーション島田社長
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今回のゲストはエンターモーションの島田社長です。筆者(小川)とは、商社出身という共通項があります。モバイルでのプラットフォーム事業を中心に成長するエンターモーションの武器とは、そして将来の見通しとは何かをお聞きしました。
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島田 大介
株式会社エンターモーション 代表取締役社長
慶応義塾大学法学部法律学科卒業。総合商社日商岩井(現 双日)に入社し、人事部、情報産業本部を経て、ベンチャー投資育成会社に転職し、多数のベンチャー企業に投資する。その後、ネットエイジに出向し、ネットマイルの立ち上げに参画する。プロモーションズ、ギズモプリュス等の取締役を歴任後、(株)エンターモーションを設立。モバイル上の広告媒体やキャンペーンサイトが短納期/低コストで構築できるASP『MediaMagic2.0』が主力商品。2008年に『日本テクノロジー Fast50』にて8位入賞、『TechVenture2008』にて2008年最も活躍が期待されるベンチャー10社に選出される。
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■ 商社からVCを経て起業へ
小川氏
元々日商岩井のご出身だそうですね。
島田氏
そうです。
日商岩井の人事部にまず入りまして、二年目に情報産業本部に移りました。ニフティ向けにデジタルコンテンツの配信なんかをしてましたね。その後分社化してできたITXというベンチャー投資育成会社に転籍して、ベンチャー投資に携わりました。ファイナンスはしなかったんですけど、(ポイントサービスの)ネットマイルの立ち上げにも携わりました。そのとき、フィードパスの後藤さんもまだネットエイジにいらしたので、いろいろお世話になったりしましたね。
小川氏
エンターモーションを起業したのは?
島田氏
2003年9月18日です。
小川氏
簡単に会社の説明をしていただけますか?
島田氏
ひらたくいうとモバイルプラットフォーム上で動くモノを全部提供する会社ですね。
大きくは4つで、まず自社や他社とのジョイントでのモバイルメディア事業です。例えばTSUTAYAさんとのジョイントで「TSUTAYAコミュ!」というサービスなんかがあります。アーティストの独占インタビューなども提供してます。アバター、Webメール、プロフ作りの機能などもありますね。SNS+プロフ+デジタルコンテンツという感じです。
次が公式サイトでのモバイルコンテンツビジネスで、BREWでの試聴アプリ☆うた取放題、というサービスなんかをやってます。
3つめが代理店ビジネスで、勝手サイトなんかの広告の取り次ぎをやっています。
最後がソリューション事業で、MediaMagic2.0というプラットフォームを中心に展開してるんですが、サイトを作りたいとか、モバイル上でのキャンペーンや企業サイトを作りたいというお客さまにワンストッププラットフォームをASPで提供しています。システム開発はたいへんですから。
小川氏
MediaMagicの利用クライアントはどのくらいいらっしゃるんですか?
島田氏
85媒体に提供していて、ざっと250万人のデータベースを持っています。主要な機能は、アンケート作成や、ポイント管理機能などの提供ですね。
小川氏
今の事業の主力は?
島田氏
MediaMagic2.0が主力ですね。プラットフォームとしてシステムを作るだけではなくて、コンテンツも用意してるんですよ。着メロ2万曲、着うた2000曲、フラッシュゲームが500本、アバター800くらい用意しています。デジコン(デジタルコンテンツ)の配信がタグはりだけで簡単にできるような設計にしているので、使いやすいですよ。普通なら初期費用やランニング手数料、都度課金などのコストがかかってきますから、それらをMediaMagicなら従量制になるわけです。
■ ナショナルクライアント参入が見込まれるモバイル広告市場
小川氏
モバイル市場をざっと解説してもらえますか?
iPhoneやAndroidの影響はどうです? PCのネットサービサーのモバイル進出も今後は増えるでしょう。
島田氏
PCからの参入は加速するでしょうね。
ただ技術は根本的に違うじゃないですか。ケータイならではのもの、というのが結構あります。例えば高速メールの配信技術とか。大量に送るとスパム扱いになってしまいますから。また、端末依存はPCにはないでしょう。
小川氏
ふむ。
島田氏
業界俯瞰(ふかん)しようとしてもね、わかんないことがあまりに多いですね。将来的には、ケータイはユニバーサルリモコンというか、決済ツールであり、カメラであり、Web閲覧ツールであり、とにかくマルチファンクションの道具になるとは思いますけどね。想定してないことが次から次へと起こるし。総務省が起案したフィルタリングの規制も大きなインパクトですし。ケータイ利用者として、18歳未満のアクティビティは高いから、そこに依存してきた会社は大変だろうと思いますよ。
うちはその点有利で、たとえば、TSUTAYAコミュはほとんど大人。エンターテインメントに強みがあります。いずれにしても、媒体を作っていくうえで、会員データベースを持っているところと組みたいですよ。自社でつくるとたいへんですから。KSF(Key Success Factor)は会員確保とコンテンツだと思うんです。TSUTAYAさんは両方持っているから頼もしいです。
小川氏
同感です。
島田氏
モバイルサイト自体は増えていくはずです。まだまだ黎明(れいめい)期といえるんじゃないですか。勝手サイトでのモバイル広告は、今だいたい621億円に達しています。まあ、まだ広告市場の1%未満に過ぎないですけど。7兆円くらいの広告費の1%にすぎないわけです。
フィルタリングがすすむにつれて、18歳以上なら広告対象になるから、今後はナショナルクライアントがはいってくるはずです。企業のホームページが公式化するということも重要です。
小川氏
なるほど。勝手サイトの広告市場は伸びてるんですか?
島田氏
勝手サイトは盛り上がってますよ。
公式CP(コンテンツプロバイダー)の売上は頭打ちの傾向です。会員数が増えないんですね。検索エンジンが公式メニューにはいったことによって、勝手サイトにトラフィックがいくようになっています。
小川氏
そうですね。
島田氏
公式サイトは課金ビジネスなんですよ。逆に勝手サイトは広告収益とECというモデルになります。広告管理のシステムも必要ですし。となると管理画面の設計も違うわけで、そこにうちのようなソリューションのASP提供がはまるわけです。だから最近われわれは公式CPに勝手サイトの運営を勧めています。
小川氏
それはなぜですか?
島田氏
公式サイトにユーザーが登録するには、やはりお金を払わなければならないわけで、ためらいがある。だから、まず勝手サイトを作って間に一発無料サービスをはさみ、会員を募ればいい。そのうえで有料の公式サイトに会員を流し込むというわけです。
小川氏
なるほど。
島田氏
キャンペーンマジックというサービスを持っているんですが、新サービスの企画もできて、デザインもできるようになっていて、さらに商品の発送管理も簡単にできます。レコードレーベルや映画の配給会社に使っていただくケースが多いですね。ASPですが、月に一回の割合でいろいろ機能追加していますし。
■ 学生はモバイル、企業はPC、そこのギャップにビジネスチャンス
小川氏
今後の目標はいかがでしょう?
島田氏
海外に出たいですね。モバイルのリーディングカンパニーはまだ海外にはないじゃないですか。日本のベンチャーにとってはチャンスだと思うんですよ。日本発の技術でいけるのはモバイルが一番近いと思います。
小川氏
具体的なイメージだといつくらいからチャレンジし始めますか。
島田氏
2年後には出たいですね。
小川氏
最後に、何か宣伝しておきたいことはありませんか?
島田氏
そうですね。
今の時期だと、新卒採用なんかの話題がいいかと思いますが、リクルーティングマジックというサービスもやっていまして、要はモバイルで求人情報を出していくためのサービスなんですけど、学生側のレジュメのインプットもできるようになっています。
小川氏
それはいいアイデアですよね。
島田氏
今の学生はモバイル中心ですから。企業の人事部のほうは逆にPC中心で、そこに認識というか現実のギャップがあるんですよ。そこを埋めてあげるサービスとして、われわれも力を入れているし、注目を浴びているサービスです。
小川氏
モバイルが今後のネットの中心になることは間違いないと思います。今日はありがとうございました。
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小川 浩(おがわ ひろし) 株式会社モディファイ CEO。東南アジアで商社マンとして活躍したのち、自らネットベンチャーを立ち上げる。2001年5月から日立製作所勤務。ビジネスコンシューマー向けコラボレーションウェア事業「BOXER」をプロデュース。2005年4月よりサイボウズ株式会社にてFeedアグリゲーションサービス「feedpath」をプロデュースし、フィードパス株式会社のCOOに就任。2006年12月に退任し、サンブリッジのEIR(客員起業家制度)を利用して、モディファイを設立。現在に至る。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。 |
2008/04/08 00:00
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