|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
お客さまのための“ラボ”でありたい-チームラボ・田村氏、喜多氏、高須氏
|
|
|
|
今回のゲストは、連載史上最多人数(笑)となりました。話題のベンチャー企業、チームラボ CTOの田村哲也氏、チーフテクノロジストの喜多慎弥氏、そしてマーケティングプランナーの高須正和氏です。情報大航海プロジェクトでは、モディファイとチームラボで、ちょっとしたコラボもしていますが、さまざまなオモロい開発で知られるチームラボの最新サービス「サグールテレビ」の話を中心に伺いました。
|
田村 哲也
チームラボ株式会社 取締役 CTO
1977年6月17日生。東京工業大学大学院卒。
院在学中に有限会社チームラボを友人5人で創業。初期はプログラム開発・アルゴリズム提案多数。近年は開発部全体のマネージャを行う。サグールテレビではPMとして参加。
|
|
喜多 慎弥
チームラボ株式会社 チーフテクノロジスト
オモロ検索エンジンSAGOOL、ソーシャルブックマークで独自ランキングを作るシステムBON SAGOOL、オモロ動画検索サグールテレビを開発。コンセプトから、エンジン、インターフェイスまで。サグールテレビでは特に検索エンジン部分。
|
|
高須 正和
チームラボ株式会社 マーケティングプランナー
企画やユーザーデータ解析などを担当。情報大航海プロジェクトでのチームラボの貢献が認められて、プロジェクト関係者間の投票でMVP(コラボレーション賞)を受賞。
|
■ 実は受託開発が中心のチームラボ
小川氏
喜多さんは入社に際して履歴書も出してないんだそうですね(笑)。
喜多氏
そうですね。
田村氏
サグールを作るときに、検索のプロを探していたら大阪にスゴいエンジニアがいる、と聞いて、大阪まで誘いに出向いたんです。
小川氏
それが喜多さんというわけですね。
高須氏
検索エンジンを一人で作っちゃう人は珍しいですから(笑)。
小川氏
確かに(笑)チームラボはスターがたくさんいますよね。
猪子さんとも久しく会ってない気がしますが、最近メディアの露出多いですよね。でも、猪子さん以外だと、こうしてメディアでのインタビューを受けることは少なくないですか?
高須氏
開発向けの雑誌には喜多さん出てますけどね。まあ、そうかもしれないです。
小川氏
その意味でチームラボって、印象が謎というか(笑)。
高須氏
よくいわれますね(笑)。
田村氏
がっつりSIやって頑張ってますけど、あまり知られてないかもしれないです。
小川氏
少なくとも従業員100人いるとは、ほとんどの人は思ってないと思いますよ。売上はほとんどSIですか?
田村氏
そうですね。9割くらいが受託で、1割が開発したものの保守と、それと自社パッケージ製品ですね。
高須氏
自社パッケージというのはリコメンデーションエンジンと、サイト内サーチ、マッピングサーチなどです。
田村氏
サイト内サーチは、コンテンツをデータベースからとってくるのでクローラーがなかったりします。サイト内サーチは、お客さまの欲しい情報は、必ずしもオモロい順ではないわけだから(笑)、そのサイトの訪問者にとって必要な情報とその検索結果順序が何かを考えた上で、アルゴリズムを変えています。
小川氏
ネットサービスのイメージもあるじゃないですか、検索エンジンのサグールとかで。
高須氏
やってますけど、ネットでビジネスしていくのは上手じゃないですね、作るのは大好きなんですけど。リアルなビジネスができる会社といろいろとご一緒することで食べていける会社ですよ。
小川氏
社員の割合は?
田村氏
8割が開発で、デザイン系が1割ですね。マーケティングとか企画をしているメンバーが1割。その意味で純粋な営業だけをやっている社員はいないですね。パッケージを売る営業は企画のチームが兼務していますし。
小川氏
パッケージ製品であるリコメンデーションエンジンと検索エンジンがチームラボのコア技術になると思うんですけど、そのコア技術を使わない、完全な受託開発を請け負うことはないんでしょう?
高須氏
いやあ、ありますよ。
喜多氏
サイトを作るときは検索機能はたいてい必要になりますから、だいたい検索エンジンも一緒に組み合わせることが多いですけど、検索はすでに持っているというお客さまには、あえて提供しないことも多いです。
小川氏
なるほど。モディファイもSaaSモデルで生きていきたい、純粋なネットサービス企業でいたいんですけど、まだその準備が整わないので受託開発もやってますけど、(自社のコア技術である)MODIPHIエンジンを使わない開発は受けたことがないし、今後も受けないと思いますね。
高須氏
僕らとにかく作るのが好きですから。お客さまが喜ぶならなんでも作りますよ。
小川氏
ケータイ系の仕事はしてますか?
高須氏
あんまりしてないですね。モバイルサイトだけという仕事は少ないです。もちろんサイト開発で、モバイルも一緒に、というお話は多いですよ。
■ お客さまと組むことで自分たちの良さも引き出せる
田村氏
見る人によって、チームラボは印象が変わるらしいです(笑)。Webデザインの会社の方と話すときは、受託開発のプロ、と言っていただけるし、猪子にいわせるとデザインやアート的な会社になるし、何がウリの会社なのかと一言で説明するのが難しいですね。
高須氏
やたらモノを作っている会社、ですよ。何か作ってよ、という漠然とした依頼をされることが多いですしね。お金が儲かってなんぼだし、それに収束するとは思いますけど、とにかく自分たちが作りたいモノを作る、という会社です。そのためにいいデザインが必要なこともあるし、企画の良さを評価されることもある、ということだと思います。まあ、100人規模の会社で、実際手を動かしている社員の割合は一番多い会社かもしれないです。
小川氏
なるほど(笑)。チームラボのイメージは猪子さんが面白すぎてぼやけてしまうことが多いかもしれないけれど、ほんとにモノ作りの会社なんですよね。
でも、猪子さんって客観的にパネルディスカッションなんかで話しているところを見ると、ちょっと突飛でとにかく煙に巻かれてしまっている感が強いけど(笑)、じっくり話してみるとあれほど頭の回転が速くて明快な人もいないしね。
田村氏
猪子は画面仕様やデザインの方向性をいつも鋭く指摘して、ある意味社内で一番まともなことをいう人間なんですよ(笑)。
小川氏
分かります(笑)。
田村氏
いずれにしても、チームラボは今後も受託開発を中心にしていきます。例えば検索エンジンを使おうと思っても、コンテンツがないとなにもできないですよね。SIなら、コンテンツを持っているお客さまと組むことで、検索の良さをお客さまと一緒に見せられるわけです。
高須氏
お客さまはあいまいな要望の中で、面白いものをつくれとおっしゃるわけです。そこでチームラボが得意とするところを提案するんです。受託開発をしながらも自分でやりたいことができるというのがいいんです。音楽を死ぬほどたくさんもっている企業と組めば、例えばITSとも対抗できるかも、と思ったりします。お客さまはビジネスが得意、われわれは開発が得意、というわけです。
田村氏
なんとかラボ、というのが最近多いじゃないですか。チームラボは、お客さまにとってのラボでありたい、と思っています。
■ サグールテレビは「流し見」的連続再生が特徴
小川氏
ところで、話を変えましょう、サグールテレビはかなり評判がいいようですね。
田村氏
ありがとうございます。
小川氏
動画検索、という分野は最近日本でも盛り上がっていて、競合他社がかなり多くなってきましたが、他社サービスとの違いはなんですか?
喜多氏
動画検索エンジンという見方でいえば、仕組みは同じですね。YouTubeなどと違うのは横断検索ができるということと、流し見ができる、というコンセプトですね。
小川氏
流し見というと?
喜多氏
いままでになかったコンセプトだと思いますけど、普通、検索して動画再生ボタンを押すまで音楽は流れないわけですが、サグールテレビでは検索して動画を再生して、次の検索結果がでて、次の動画を再生するという一連の流れで、ずっと音楽はなりっぱなしなんです。裏で次の再生候補を先に読んでおいて、再生待ちリストを自動で作ります。YouTubeから読んでいるという状態もみせないし、とぎれさせない、というものです。
高須氏
つまり、一回動画を再生させると、何か他の動作をしているときでも流れっぱなしになるし、一つの動画が終わったら次の関連性の高い動画を読み込んで自動再生するんです。
田村氏
会員アドレスをいれるときも、ログアウトしたときも途切れない。何しても途切れないようにしています。
喜多氏
検索というより、視聴サービスといえると思います。いままでなかった視点です。ユーザーが情報にたどり着くまでに、次の動画をリコメンドしてしまうわけです。
高須氏
動画を検索して見るという行為があって、でも検索はわかるけど、一件一件動画が途切れてしまうのは面白くない。じゃあ途切れないように作ることを大事にしよう、と考えたわけです。
小川氏
なるほど、確かにiPod touchなんかを使ってYouTubeを見ていても、動画を連続再生できないのは面倒ですよね。
高須氏
でしょう?
喜多氏
動画の中の解析もやっていこうと思っています。大学や研究機関などに声をかけているところです。
田村氏
情報大航海、というプロジェクトに取り組んだ一つのメリットがそこで、いろいろなアカデミックな方々とのつながりができたのは良かったです。
小川氏
モディファイで手伝わせていただいたGreen RSS Japanでもサグールテレビから環境系の動画をひっぱらせてもらってますけど、テーマが絞り込まれた動画だと、なおさら連続して再生したほうが楽しいですよね。
喜多氏
空気を読む、というか、パソコンなんかなくても、欲しいものを読んで動画をながせるようにしたい、と思っています。そこまでいくのはまだたいへんだけど、いちいち探さなくてもいいようには今年中にしたいですね。
田村氏
チームラボ内でも社員がサグールテレビを流しているケースが多いんですよ。使うな、と注意もできないし(笑)。
小川氏
マネタイズはどう考えてますか?
高須氏
サグールテレビの広告モデルはいまのところ難しいので、可能であれば、システムをOEMやASPで提供して、UIを作らせていただくというビジネスを考えています。
動画はもっているけど、いいインターフェイスがないお客さまがいたらちょうどいい組み合わせになるでしょう。
喜多氏
音楽検索も今のシステムでいけると思う。流し見=流し聞きという感じで。ポッドキャスト聴きながら、さらにつながりがありそうな曲を裏側で検索する、みたいなものができそうです。
小川氏
ほんとに作るのが好きなんですね。素晴らしいことです。
さて、今後の事業のあり方について、最後にコメントをもらえますか?
田村氏
まずサグールテレビを盛り上げたいですね。
高須氏
受託開発だとお客さまの要望をかなえることが前提になってきますから、それは引き続きやっていきます。そのうえでサグールテレビを盛り上げていきたいですね。ユーザーも伸びているし、作っているときに、どうやってできるのかわからないような要望もあって、今後はそれらを作っていきたいです。
喜多氏
いまはニコ動(ニコニコ動画)が検索できないのが悔しいですね。
小川氏
会員制だからしかたないですよ(笑)。
喜多氏
というより、検索はできるけど、(会員制だから)再生ができない、だからやってないわけですけど。
田村氏
とにかく、いまのままではなくてレコメンデーションの精度を上げたり、動画の中身をみたり、さまざまな工夫を加えていくつもりです。
小川氏
楽しみにしています。今日はありがとうございました。
|
小川 浩(おがわ ひろし) 株式会社モディファイ CEO。東南アジアで商社マンとして活躍したのち、自らネットベンチャーを立ち上げる。2001年5月から日立製作所勤務。ビジネスコンシューマー向けコラボレーションウェア事業「BOXER」をプロデュース。2005年4月よりサイボウズ株式会社にてFeedアグリゲーションサービス「feedpath」をプロデュースし、フィードパス株式会社のCOOに就任。2006年12月に退任し、サンブリッジのEIR(客員起業家制度)を利用して、モディファイを設立。現在に至る。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。 |
2008/04/15 00:00
|
|
|
|
|