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「メディアの提供ではなくメディア作りのための仕組みを提供する」、KBMJ木村社長
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本日のゲストは株式会社ケイビーエムジェイ(KBMJ)の木村社長です。あまりメディアへの露出を好きではない、と語る木村社長ですが、それでもネット時代には目立つことの大切を感じるとも話されています。SNSやレコメンデーションエンジンなどWeb 2.0的なシステムを企業向けに提供するKBMJはすでに100名以上の社員と、10億円を軽く超える売上を誇る優良企業です。
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木村 武弘
株式会社ケイビーエムジェイ 代表取締役社長
2001年慶應義塾大学環境情報学部卒。
大学在学中の2000年7月に湘南藤沢キャンパス付近のアパートにて、仲間と共に株式会社ケイビーエムジェイを設立し、取締役副社長に就任。大学の教授陣、講師陣、先輩友人等の支援を受ける。
卒業後、2002年に株式会社ケイビーエムジェイ代表取締役社長に就任。
「世界中の人々に愛されるインターネットサービスを創り続ける」を経営理念に掲げ、SNSエンジンをはじめ、様々なシステム・サービスの開発に着手。
2006年2月には学校法人慶應義塾からの出資を受け、今後更なる飛躍を目指す。
趣味はウィンドサーフィン。
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■ KBMJは株☆魔人の略
小川氏
今日はよろしくお願いします。起業した経緯から話していただけますか?
木村氏
もともと福井県の生まれで、BASICなどでプログラミングもしていましたがパソコン好きというほどではなく、ファミコンやったり水泳や陸上、サッカーなどのスポーツにも熱中したりと、よくいる普通の少年時代を過ごしていました。医者になりたくて医学部を受験したんですけどダメで、慶応SFCに入学しました。そこでインターネットに出会った感じです。先輩の中に楽天の創業に加わった方々がいたり、ちょうどビットバレーが盛り上がってきた時期でもあったので、自分たちも起業でもしてみようかなと考えたのは自然でしたね。そこで大学3年のときに有限会社を作ったもののまったく稼げず(笑)。
小川氏
なるほど(笑)
木村氏
ところがそのころ慶応の講師だった高橋先生がベンチャーファンドみたいなものを作るという話をされていて、だったらまず自分たちに投資してもらおうと思って、改めて事業プランを作って株式会社を立ち上げたんです。それが今のKBMJですね。
小川氏
その事業プランは?
木村氏
まず株の投資情報サイトをやろうと思いました。まだオンライン証券もはやってなくて、Yahoo!ファイナンスがでてきたばかりだったので。そこで、「株☆魔人」というサイトを作りました。
小川氏
ん? もしかしてKBMJという社名は株魔人(KaBu MaJin)の略ですか?
木村氏
よく分かりましたね(笑)。公式には言ってないんですけど、そうです。
■ チームラボに近い業態、レコメンデーションエンジンでも競合
小川氏
それで順調にいきましたか?
木村氏
当時は副社長として会社を立ち上げたんです。しかし、資金ショート三回も繰り返して、これではいかんと思って、自分が社長になりました。2002年からなんですけど、とりあえず赤字を脱したいと思ってWebとモバイルサイトのシステム開発をやろうとしたところ、運良くeキャリアの転職サイトの製作を請け負うことができました。そのあと2~3年は就職系のサイト作りの委託が多かったですね。
小川氏
いまはパッケージ開発が多いと伺いましたが、それはいつごろから?
木村氏
受託ばかりではあまり成長もしないと思い、2003年の終わりくらいからパッケージ作りへとシフトし始めました。いまはSNSエンジン、カスタムCMS、パーソナライズド・レコメンダーなどの製品を抱えています。
ただ、世間的にはわれわれはWebプロデュース屋さん、という見え方だと思います。実態はエンジニアが集う開発会社、というところですが。
小川氏
ネットイヤーのようなWebコンサルティングではない?
木村氏
ネットイヤーさんのような上流の仕事はやっていないですね。似ているところではチームラボさんかと思いますけど、チームラボからアーティスティックなところを抜いた感じかな(笑)、あとは猪子さんをまじめにした感じ(笑)。
小川氏
だいぶね(笑)。人数的にもチームラボに近いんですよね。
木村氏
そうですね、連結したら140~150名いますから。
社員の内訳は140人中100人がエンジニア、営業10名くらいで、管理とアシスタント、人材系のサポートなどが残りの人数ですね。
小川氏
中軸の商品はなんでしょう?
木村氏
売れている、というと、パーソナライズド・レコメンダーという、商品やサービスのレコメンデーションツールが一押しですね。まあ月々15万円からというASPなので、安いから、というのもありますが。
ユニクロさんに導入いただいていますが、商品情報のページにどの商品が誰に見られていて、誰にどの商品がいいかをリコメンドする機能があります。逆に、機能としては在庫の商品を管理画面から集中してビジターにおススメ商品として見せることも可能です。競合はたくさんいますけど、実績は一番だと思います。
小川氏
競合は?
木村氏
専業だとアルベルトさんかな。シルバーエッグテクノロジーという会社もあります。もちろんチームラボもライバルですね。オプトの関連ではホットリンクさんもいます。
ただ、レコメンデーションエンジンって、意外にシステムの負荷が高くて、小さく参入するなら簡単ですが、大規模サイトの運営にはノウハウがないとキツいんですよ。
うちがこの事業に参入したのは2006年3月だったと思いますが、当時はASPで月々10~15万円というのはなかったですね、1システム何千万という感じだった。そこにくさびを打った感じです。その後他社も追随してきましたが、うちのサービスはトラフィックが少ないお客さんには割高かもしれませんが、大手ならうちが最適だと思っています。
■ 企業SNSサービスも展開、レコメンデーションエンジンとの連携で
小川氏
もう一つの主力製品はSNSエンジンですか?
木村氏
そうですね。けっこう売れてます。SNSを自社で運営したい企業に使っていただくサービスです。
小川氏
導入するクライアントはどういう業種でしょう?
木村氏
いろいろありますけど、たとえばメディアさんですね。新聞社からすれば、読者の顔は意外に見えないものです。だから、どんな人が読でいるのかをみたいというニーズがあります。クライアントに株式会社日刊スポーツ新聞社さんがいるのですが、スポーツ新聞初の会員制SNSサイト「ニッカンスポーツ・スクエア」をうちのSNSエンジンを使って運営されています。例えばギャンブル、スポーツ、芸能などのコンテンツごとにコミュニティで盛り上げて、読者のニーズをすくって紙面に活かす、ということをやられています。あるいは、テレビ局なら視聴者のリアルな声を聞きたいと思われるわけです。クロスメディア的なサービスにつながるということですね。テレビ番組は尺が決まっているので、ネットを使ってフォローしていく、補完的に使うというニーズがでてきています。
小川氏
なるほど。
木村氏
企業SNSがうまくいっているのは、既存の媒体を持っているところにネットを一工夫されているところですね。あとはECサイトの客寄せに使われる企業さんもあるんですが、店長がSNS好きでないと盛り上がらないですし。
小川氏
なるほど。企業SNSの提供企業も結構でてきてますよね。
今後はどういう事業展開を考えますか?
木村氏
そうですね…体力が続く限り、メディアが創れる箱を創りたいですね。
小川氏
箱、ですか?
木村氏
ええ。サーバーエージェントさんのように自らメディアを作るのではなくて、コンテンツはユーザーか別の会社が用意できるように、情報が集まるコミュニティの仕組み作りをしたいですね。Googleもそうだと思うんですけど、人の行動、意思決定や情報収集、人の想い、思想、などから情報を得て、新たな情報を生成する仕組みがいいと思っています。それを解析したり蓄積して、欲しい情報を、行動に影響を与えるような仕組みを作れればいいですね。
小川氏
なるほど。レコメンデーションの技術が生きてきますね。
木村氏
はい。レコメンデーションの研究からもっと深い仕組みを作らないと。例えば業種ごとや情報の収集元ごとにいまはレコメンデーションをしているわけですけど、クロスマーケティングというか、業種がクロスしたときのレコメンデーションやりたいですね。本なら本、野菜なら野菜ではなくて、服を買ったらこの野菜、みたいな。でもいまは相関関係がよく抽出できないですけど(笑)。
小川氏
よくマーケティングの授業でいう、おむつとビール(おむつを買うのは父親の役目であることが多く、おむつとビールの売り場を近づけておくとよく売れる、というマーケティング上の研究報告)みたいなものですね。
木村氏
そうですね。それをより精度の高い話にまで持っていきたいなと思っています。
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小川 浩(おがわ ひろし) 株式会社モディファイ CEO。東南アジアで商社マンとして活躍したのち、自らネットベンチャーを立ち上げる。2001年5月から日立製作所勤務。ビジネスコンシューマー向けコラボレーションウェア事業「BOXER」をプロデュース。2005年4月よりサイボウズ株式会社にてFeedアグリゲーションサービス「feedpath」をプロデュースし、フィードパス株式会社のCOOに就任。2006年12月に退任し、サンブリッジのEIR(客員起業家制度)を利用して、モディファイを設立。現在に至る。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。 |
2008/08/12 00:01
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