|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
「生保業界初のiPhone最適化サイトを公開」損保ジャパンDIY生命
|
|
|
|
今回のゲストは生命保険業界で初のiPhone最適化サイトを公開して話題となったDIY生命の皆さんです。保守的に見える業界ですが、だからこそ多くの新しい取り組みがなされている業界でもあります。Web戦略室から全体を統括している朝長氏、マーケティングを統括している山本氏、システム管理を担っている遠藤氏のお三方にお越しいただき、お話を伺いました。
|
損保ジャパン・ディー・アイ・ワイ生命保険株式会社
「お客さまを起点とした価値の提供」と「ムダを排除したローコストオペレーション」を基本理念とし、つぎの4つの価値をお客さまに提供できる、革新的かつ効率的で、顧客ロイヤリティーの高い生命保険事業の実現を目指す。
・お客さまにピッタリあった商品の提供
・お客さま自らの判断でご加入いただくこと
・迅速なサービスの提供
・お客さまとの継続的な関係の構築
|
■ ネットとコールセンターを中心とした通販型生命保険会社として
小川氏
まず簡単に皆さんの自己紹介をお願いいたします。
朝長氏
DIY生命のWeb戦略室で室長をやっている朝長です。Webサイト、モバイルサイト、およびiPhoneサイト。それからメールの基盤整備などの技術面の統括をしております。
山本氏
山本です。Web戦略室でコンテンツの内容の管理やSEO対策、マーケティングを担当しております。
遠藤氏
遠藤です。Web戦略室のIT基盤の担当で、主にコンテンツの管理やサーバー・インフラ管理などシステム面を担当しております。
|
|
|
経営企画部 Web戦略室 室長の朝長健太郎氏
|
経営企画部 Web戦略室 スーパーバイザーの山本哲司氏
|
IT企画部 スーパーバイザーの遠藤康平氏
|
小川氏
DIY生命さんはネット専業ではないんですよね。
朝長氏
ネット専業ではないですね。通信販売の生命保険会社といったほうがいいでしょう。ダイレクト販売メインです。
ただ、昨今はインターネットの普及が進んでおり、ダイレクト販売の中でもアクセスチャネルとしてネットが中心となってきていることは確かです。
小川氏
アクセスチャネルについて詳細を教えてください。
山本氏
弊社では営業職員や営業所がありません。だから、お客さまが弊社のことを認知するには、広告がメインとなります。実際にはインターネット広告、折込チラシ、新聞や雑誌などへの広告ですね。最近はテレビのCMにも力を入れています。
社名の認知ツールという意味では、まだまだネットチャネルは高くありませんが、資料請求などは50%以上がインターネットを経由しています。
朝長氏
いずれにしても弊社がお客さまとコンタクトするチャネルとしてはネットかコールセンターで、ここ数年はネットに大きくシフトしているところです。
■ ネット専業生命保険会社も台頭
小川氏
生命保険会社にもネットに力を入れているところは増えていますよね。
山本氏
はい。ネットを中心としているところとしては、SBIアクサ生命とライフネット生命が昨年相次いで参入しています。この2社は申し込みまでほぼネットで完結できる形をとっています。弊社はネットでの申し込みは現状できない状態で、紙でのやりとりがあります。これからネットで申し込みできることを考えていくところです。
小川氏
完全ネット化はしない?
山本氏
インフラ整備などにある程度時間が必要だと思いますが、完全ネット化も選択肢のひとつとして検討をしています。
小川氏
金融商品はネットに向いていると思うんですが、生保はどうでしょう?
朝長氏
日ごろから株や銀行取引などはネットを使って行っているわけですが、生保はお客さまに十分な知識がないと判断しづらい部分が多いです。複雑な商品というイメージが強いですからね、保険は。シンプルさを心がけてはいますが、一般のお客さまにはなかなか伝わりづらいことも多いです。だからまだ生保がネット向きとはいいがたいかもしれないですね、いまのところは。それでも今後は徐々に浸透していくとは思っています。
小川氏
シンプルさ、という点で、御社の組み立て保険というコンセプトは面白いと思います。
山本氏
ありがとうございます。お客さまが能動的に保険の内容を決めることができるというコンセプトで「1年組み立て保険」という商品を販売しています。1年ごとに内容を見直すことができ、お客さまご自身で組み立て直すことができるというコンセプトをご支持いただいています。
人生にはいろいろな節目があるますよね? であれば、その時々で最適な保険のあり方も変わっていいはずで、そのようにフレキシブルに対応していけるところがこの商品の良いところだと思います。
■ 生保業界で初のiPhone最適化サイト公開
小川氏
どういうタイミングで見直せばよいのでしょう?
山本氏
たとえば結婚やお子様の誕生などライフステージが変化した時ですね。あるいは住宅を購入した場合なども見直しのタイミングになります。
住宅をローンを組んで購入すれば、「団体信用生命保険」に加入する場合があります。この保険に加入していると、万一のときには住居に関する負担がなくなるので、保障の内容も見直すことができるわけです。
小川氏
生命保険の内容の見直しと保険会社そのものを変えるタイミングというのはほぼ同じだと思うのですが、特需月間のような時期はありますか?
朝長氏
Webサイトへのアクセスが伸びるという意味では5月、10月、11月が目立ちますね。一般の生保がキャンペーンを行う時期と重なるわけなんですが、お客さまが保険加入や見直しについて考えるきっかけになっているようです。ただYahoo!でバナーを出しました、というような広告によるトラフィックの変化のほうが大きいので、年間通じてどうということはあまりないですね。
小川氏
現在のネットでの取り組みについてお伺いします。いまネットではどのようなサービスを受けられるのでしょうか。
山本氏
Webサイトで保険料の試算や保障額のシミュレーションができます。ざっくりとした保険料の試算はパンフレットでも可能ですが、電話やWebサイトではお客さまにぴったりあった保障内容や保険料のお見積りが可能です。
電話は残念ながら弊社のコールセンターが空いている時間でしか対応できませんが、Webサイトなら24時間試算していただくことができます。
朝長氏
今年に入って、さらにiPhone上でのサービスを開始しましたが、われわれの調べでは生保業界で初めての試みです。ただし、まだ資料請求の受付にとどまっていますので、今後の機能拡張を検討しているところです。iPhoneだけではなく、一般のケータイなどモバイルサイト全体のアクセスが確実に伸びていることには注目しています。やはり、パソコンを持っていない若者も多いので、ネットのチャネル=モバイル、は確実に増えていくと考えています。ともかく、いろいろな媒体への対応力をつける必要があると考えています。
■ 社長自らiPhoneを購入
小川氏
iPhoneサイトの公開に踏み切ったきっかけは? まあ、われわれ(モディファイとグランドデザイン&カンパニー)が日参してお願いしたせいでもありますが(笑)。
朝長氏
二人の小川さん(グランドデザイン&カンパニーの社長は小川和也氏)の熱意に打たれました(笑)。まあ、話題性に乗っかるのもマーケティング戦略のひとつですからね。投資対効果を考えなければならないので制約はありましたが、DIY生命として新しいことへ取り組むこと、時代をリードしていきたいということに対して先行投資をしたということです。個人的には、iPhoneを触ってみると、時代が変わったという感じがしたと同時に、これが今後普通になるという感覚がしました。
山本氏
実は弊社の社長も、iPhoneサイトの社内テストが始まるとすぐに、自分でiPhoneを購入してきてしまったほどです(笑)。iPhoneに関していえば、先手を打つ必要があるという意識が社内にはありましたね。
小川氏
同感ですね。しかし、社長自らiPhoneを買いにいくというのもすごい反応速度ですね(笑)。
山本氏
今では打ち合わせにiPhoneを必ず持参するほどです。何かわからないことがあればその場で調べてしまいます。
小川氏
素晴らしい(笑)。
iPhone導入について、システム管理の目線からはいかがでしたか?
遠藤氏
ITシステムを管理する立場からすると、いまiPhoneに対応する意味があるの?とも思いましたが、新しいことをやる、スピード重視でいくということには意味があると感じて賛成しました。
小川氏
よかったです(笑)。
■ ネットだけでなくサービス全体の利便性の向上を
遠藤氏
いずれにしても、ケータイ、スマートフォンのそれぞれに対応していく必要はありますしね。スマートフォンでは、よりインタラクティブな操作ができるという利点を生かして、コンテンツを増やすことができるでしょうし。
朝長氏
iPhoneでできることは、ほかのケータイでもできないということではないのですが、無理すればできるというのと簡単にできるのでは違いますから。iPhoneの親しみやすいキャラクターは素晴らしいと思います。
小川氏
今後のネット上での展開をどう考えてらっしゃいますか?
山本氏
なにをするにしても、お客さま中心であることに変わりはないので、お客さまの声を大切にしながらネットだけではなく、サービス全体の利便性をあげていきたいと思います。
まだしばらくは、お客さまのほうでも完全にネットだけで決めきれないだろうと考えています。コールセンターも含めて、バランス感覚を重視していきたいですね。
朝長氏
弊社は創業以来10年間、一貫したビジョンとして、新しい商品を通販で提供するということを考えてきました。昨年、ネット専業も出てきましたので、われわれも次のステージへ進むべきであると思っています。生保に対するイメージやニーズを突き詰めて考えて、お客さまに理解して入っていただくため、スマートフォンやモバイルを充実していくのもその一つです。とはいえ、中には直接係と話したいというお客さまもいらっしゃるので、コールセンターの充実もまた、いっそう進めていこうと思っています。
小川氏
分かりました。
本日は長時間ありがとうございました。
|
小川 浩(おがわ ひろし) 株式会社モディファイ CEO。東南アジアで商社マンとして活躍したのち、自らネットベンチャーを立ち上げる。2001年5月から日立製作所勤務。ビジネスコンシューマー向けコラボレーションウェア事業「BOXER」をプロデュース。2005年4月よりサイボウズ株式会社にてFeedアグリゲーションサービス「feedpath」をプロデュースし、フィードパス株式会社のCOOに就任。2006年12月に退任し、サンブリッジのEIR(客員起業家制度)を利用して、モディファイを設立。現在に至る。著書に『ビジネスブログブック』シリーズ(毎日コミュニケーションズ)、『Web2.0BOOK』(インプレス)などがある。 |
2009/03/25 08:56
|
|
|
|
|