VMware vSphere 4を国内でもお披露目-中小向け低価格版など6製品を用意

サーバーコスト50%削減プログラムも発表

代表取締役社長の三木泰雄氏

 ヴイエムウェア株式会社は4月22日、仮想化プラットフォームの最新版「VMware vSphere 4」を発表した。2009年第2四半期後半(5~6月)に出荷を開始する。

 vSphereは、「VMware Infrastructure」と呼ばれていた統合仮想化製品の後継製品。同社代表取締役社長の三木泰雄氏は、「vSphereは、よりわかりやすい名前にしようと検討して命名したもの。機能面では、Fault ToleranceやvNetwork Distributed Switch、vStorage Thin Provisioning、Storage VMotion、vShield Zonesなどにより、インターナルクラウドを実現できる製品に進化している」と紹介した。

 新機能として提供されるFault Toleranceは、セカンダリサーバーを用意することで、プライマリサーバーがダウンした場合でも仮想マシンをダウンタイムなしで動作できる機能。実運用サーバーが1台になった場合、待機サーバーをセカンダリサーバーとして自動的に起動できるのが特長。

 vNetwork Distributed Switchは、ネットワークスイッチを論理的にひとつのスイッチとして見えるようにする機能。従来物理的に分かれていたネットワークスイッチをひとつにすることで、仮想マシンネットワークのプロビジョニングや管理などを簡素化できるのが特長。

 vStorage Thin Provisioningは、物理的なストレージ容量を上回る容量を仮想マシンに割り当てる機能。これを利用することで、実際に必要なストレージ容量を削減できるため、ストレージの購入コスト削減に効果があるとしている。

 Storage VMotionは、仮想マシンディスクのライブマイグレーションを実現する機能。サービスを停止することなく、ストレージを移行することが可能となっている。

 vShield Zonesは、自己学習型・自己設定型のファイアウォールサービス。企業のセキュリティポリシーをアプリケーションレベルで適用することで、アプリケーションのセキュリティを簡素化できる。セキュリティポリシーはグループ単位で設定でき、データセンター外でも同様に利用することができる。


アイコン表示でわかりやすくなったvCenter仮想マシンと各リソースの関係もマッピングして表示ネットワークスイッチを論理的にひとつのスイッチにするvNetwork Distributed Switch

 vSphere 4の基礎となるハイパーバイザー「VMware ESX/ESXi 4」も機能を強化。仮想マシンあたりで利用可能な仮想プロセッサ数は従来の4つから8つに拡大。また、メモリも仮想マシンあたり256GB(従来は64GB)と4倍まで拡大。そのほか、ネットワークスループットは9Gp/sから30Gp/sに、1秒あたりのI/O性能は、10万から20万超に向上している。

vSphere 4の製品ラインアップ

 vSphere 4では、提供形態も変更。既存製品ラインでは、Foundation、Standard、Enterpriseの3つを用意していたが、Standard、Advanced、Enterprise、Enterprise Plusに変更。また、中小規模のユーザー向けに、新たに「VMware vSphere Essentials」「VMware vSphere Essentials Plus」の機能限定パッケージが用意された。

 EssentialsとEssentials Plusは、最大3台のサーバーで利用可能なオールインワンタイプのサーバー仮想化製品。EssentialsはESX/ESXi、専用管理ツールのvCenter Server for Essentialsで構成。Essentials Plusは、EssentialsにHAとDRの機能を追加した構成となっている。「無償のハイパーバイザーも提供しているが、本格的にサーバー仮想化を行うには、管理ツールなどがそろった形で使うのが一番。既存製品へのアップグレードパスは用意していないが、価格を抑えることで中小規模のユーザーでも利用しやすいパッケージとなっている」(三木氏)と、エンタープライズクラスでの利用が多かった同社製品をSMB分野でも普及させる考えを示した。

 市場予想価格は、VMware vSphere Essentialsが12万4000円、VMware vSphere Essentials Plusが37万4000円、VMware vSphere Standardが9万9000円、VMware vSphere Advancedが28万円、VMware vSphere Enterpriseが35万9000円、VMware vSphere Enterprise Plusが43万6000円。

vSphere 4の販売戦略
発表会にはサーバーベンダー各社の代表も出席

 発表会では、国内での販売戦略も発表。既存ユーザーに対して、上位製品へのアップグレードを50%引きで行える優待プロモーションのほか、サーバーハードウェアのコストの50%以上の削減を保証する「VMware Guarantee Promotional Program」も発表。このプロモーションプログラムでは、顧客企業の既存サーバー上にVMwareの仮想化製品を導入し、サーバーハードウェアの50%以上のコスト削減を達成するまで、設計サービスや導入サービスの料金を支払わなくてもいいというもの。アメリカで実施されているプロモーションプログラムで、国内でも近日中に展開するとしている。

 また、市場拡大のための取り組みとして、「仮想化サミット2009」を全国20都市で実施。仮想化の活用分野、仮想化についての理解を広げるほか、今回発表したvSphereの価値提案などを行うとしている。

 発表会には、デル、日本IBM、NEC、日本HP、日立、富士通の各サーバーベンダーの代表も出席。vSphere 4に対する期待などを表明した。





(福浦 一広)

2009/4/22 17:07