富士通、環境に貢献するミドルウェア-PCの電源や印刷量を柔軟に制御
ミドルウェア事業本部 システムマネジメント・ミドルウェア事業部 第三開発部長の村井透氏 |
富士通株式会社は5月8日、PCの資産管理・情報漏えい対策ソフト「Systemwalker Desktopシリーズ」に、環境負荷を低減する機能を加えた新製品「Systemwalker Desktop Patrol V14g(以下、Patrol)」と「Systemwalker Desktop Keeper V14g(以下、Keeper)」を発表した。同日から販売開始する。
Patrolは、クライアントPCからインベントリ情報を収集し、ハード、ソフトライセンスなどの構成情報を管理する製品。新版では新たに、管理者がクライアントPCの省電力ポリシーを一括設定する機能が追加された。部門ごとの業務に合わせた設定が可能で、例えば、「業務終了後にスタンバイモードに移行する」「昼休みは早めにスタンバイになるよう、切り替え時間を通常より短く設定する」といった制御が行える。スタンバイに移行したあとも、ウイルススキャンの指定時間になると自動でスタンバイから復帰し、スキャン終了後に再びスタンバイへ移行させることも可能。
ミドルウェア事業本部 システムマネジメント・ミドルウェア事業部 第三開発部長の村井透氏は、「これにより省電力とセキュリティが両立できる」とアピール。「300台のPCを対象に、スタンバイモードへの移行時間を通常10分、昼休み5分にして運用したところ、1日で約40%の消費電力が削減できた」と同社の実績を紹介している。
管理者が全PCの省電力を設定 | スタンバイを解除してウイルススキャンを実行 |
省電力設定を促す通知機能。電力設定がポリシーに違反している場合は、対処ボタンをクリックすることで改善できる |
Patrolのレポート例 |
Keeperのレポート例 |
さらに、エンドユーザーに省電力設定を促す通知機能を備えるのも特長。Patrolでは、クライアントPCの画面上にその日の「消費電力量」「電気代」「CO2排出量」「電源オプションの設定状況」を表示してくれる。その上で、もしも電源設定が決められたポリシーに違反している場合は警告を表示し、エンドユーザーに「対処」ボタンをクリックさせることで、ポリシー通りの設定に変更できるようになっている。
「省電力への意識は、管理者が通告してもなかなかすべてのエンドユーザーには行き届かない。PCにあまり詳しくない場合は、そもそも省電力の設定方法が分からないというケースもある。このようなエンドユーザーに管理者側からポリシーを強制する製品は多々あるが、エンドユーザー自身に自分のPCがどれだけ環境に負荷を与えているかを気づかせられて、エンドユーザー自ら対処できるようにしたのがPatrolの強み。これが省電力への意識向上につながることになる」(村井氏)。
レポートには、対象PC台数、全消費電力量、1台あたりの平均消費電力量などが表示される。また、電気代とCO2排出量をどれだけ削減できたかといった概算も、当月分、前月比、累積で把握できるため、削減効果の見える化も容易に行える。
価格は、サーバーライセンスが25万円(税別)から、クライアントライセンスが9300円(同)から。8月末より出荷する。なお、エンドユーザーに省電力設定を促す通知機能に関しては、今後、企業向けPCにバンドルを予定。管理者側の一括設定やレポート機能には対応していないが、電源ポリシーを個別にセットすることで、環境負荷状況の通知や、電源設定がポリシーに違反している際の「対処」機能などが、標準で利用できるようになるとのこと。
一方のKeeperは、クライアントPCでのリムーバブルメディアや印刷などの利用権限を管理コンソールで集中管理し、アプリケーションやサービス・プロセスの起動を抑止することで、情報漏えいを防止する製品。新版では、PCごとに印刷ページ数の上限を設定し、その値を超えたPCに対して警告を表示したり、印刷を禁止したりする機能が追加された。これにより印刷量を抑え、紙資源の面から環境負荷を低減できるという。こちらもレポートで、対象PC台数、全印刷量、PC1台あたりの平均印刷量、電気代・CO2削減の概算値が把握可能となっている。
価格は、サーバーライセンスが48万8000円(税別)から、クライアントライセンスが1万3300円(同)から。8月末より出荷する。
ITが環境に与える負荷は年々増加しており、2025年には国内総消費電力の20%をIT機器が占めるとも予測されている。こうした中、2010年4月には改正・省エネルギー法が施行される。これは企業に燃料・熱・ガス・電気の使用状況の把握と改善計画の立案を義務づけるもので、現在は原油換算値で3000kl以上の工場、あるいは1500kl以上の事業所が規制対象なのだが、改正法ではオフィスを含む全事業所で1500kl以上、と対象の幅が拡大されることになっている。
富士通では環境への取り組みとして「Green Policy Innovation」というプロジェクトを掲げており、今回のSystemwalker Desktopシリーズは、環境負荷を低減するための具体的な製品シリーズとなる。これ以外にも紙の消費を削減する帳票ソリューションや、集合教育のための人の移動を削減するeラーニングソリューションなどをそろえ、「ITの省エネ」「ITで省エネ」の両面から、環境に貢献していく意向を見せている。
2009/5/8 15:26