ブロケード、5月後半にもFCoE対応スイッチなどの一般向け提供を開始


Brocade 8000

 ブロケードコミュニケーションズシステムズ株式会社(以下、ブロケード)は5月11日、FCoE(Fibre Channel over Ethernet)対応製品群の一般顧客向け提供を、5月後半にも開始する予定であることを明らかにした。対象製品は、米国では4月7日(米国時間)に発表されたスイッチ「Brocade 8000」、CNA(Converged Network Adapter)「Brocade 1010/1020 CNA」、管理ソフトの新版など。販売はOEMを経由して行われる。

 ブロケードでは、次世代EthernetであるConverged Enhanced Ethernet(CEE)と、それをインフラとして利用するFCoEについて対応製品を提供するとしてきたが、これらの製品群は、そのビジョンを実現するための第1弾となる。

 現在のサーバーでは、I/OリソースとしてEthernetやFC(Fibre Channel)など複数のインターフェイスを搭載するのが一般的になっている。また、可用性を確保するための冗長化を考えた場合、さらに多くのインターフェイスを用意する必要があり、NIC/HBAの追加、配線の複雑化などによってコストが押し上げられてしまっていたという。ブロケードが推進しているCEEとFCoEは、これを解決するための1つのアプローチで、サーバー側へNICとFC HBAと搭載する代わりに、CNAのみを搭載してインターフェイスを集約。ケーブル配線や管理もあわせて単純化することで、ネットワークの簡素化、コストの削減などを実現しようとしている。

 新製品のうちBrocade 8000は、CEE×24と8Gbps FC×8を搭載しており、ネットワークのエッジでCEE/FCoEをサポートできるスイッチ製品。サーバーとスイッチの接続をCEEに一本化した上で、既存SAN環境/ストレージとはFCで接続することで、両規格の仲立ちをする役割を担う。このように既存環境と容易に接続できることから、既存環境に極力影響を与えずに、CEE/FCoEの導入が可能になる点もメリットだという。

 一方のBrocade 1010/1020 CNAはサーバー向けのCNA製品で、それぞれ1ポート、2ポートの10Gbps CEEポートを備えている。特徴は、仮想化環境への対応を意識して製品化されている点。多数の仮想マシンを集約した場合でもI/O性能がボトルネックにならないよう、ポートあたり50万IOPSの高い性能を備えるほか、ポートあたり64のI/Oデータキューを設定可能になっており、「優先度に応じてI/Oのキューイングをきちっとすることで、性能やサービスレベルを保証する」(システムエンジニアリング統括部の小今井裕部長)。

 また、管理ツール「Brocade DCFM」もCEE/FCoE環境に対応し、既存環境とあわせた一元管理が可能になっているのもメリット。小今井部長は、「FCoEでは、物理レイヤはFCからCEEに変わるが、その上はFCのプロトコルスタックが使えるため、FCの管理フレームワークがそのまま適用可能だ」と述べ、同じEthernetベースでも、独自の仕組みが必要だったiSCSIに対する強みを説明した。

 現在、これらの製品はOEM向けの検証出荷の段階にあり、一般向けに提供が開始されるのは、5月後半から夏ごろになる見込み。さらにブロケードでは、エンタープライズ向けスイッチングプラットフォーム「Brocade DCXバックボーン」用のモジュールなど、CEE/FCoE対応製品を拡充していく計画で、同製品用モジュールについては、2009年後半以降に提供を開始する予定。

 なお、CEE/FCoEは登場したばかりの新しい技術であり、まだコストが高いことから、最初のターゲットとしては、規模の大きな企業やデータセンターを想定しているとのこと。小今井部長はその中でも、「ネットワーク管理者とサーバー/ストレージ管理者が異なることが多いエンタープライズよりは、(サービスのための)統合されたネットワークを欲しているxSPの方が導入しやすいのではないか」とコメント。当初はサービス事業者での導入が進むのではないかとの見方を示している。




(石井 一志)

2009/5/12 00:00