富士通研究所、カメラ付きケータイで暗号化文書を閲覧できる技術を開発


カメラ付き携帯電話から暗号化された印刷物の復号を実現

 株式会社富士通研究所は5月12日、暗号化された印刷物をカメラ付き携帯電話で閲覧する技術を開発したと発表した。

 今回発表された技術は、2008年6月に発表された紙媒体の部分的な暗号化を実現する技術をカメラ付き携帯電話から利用できるもの。6月に発表された時点では、スキャナとPCを利用して復号化しなければいけなかったが、カメラ付き携帯電話だけでも復号・閲覧できるのが特長となっている。

 技術的には、領域検出処理と復号処理を行う前に、画像選択フィルター処理を行う点が特長。同社画像・バイオメトリックス研究センター 主席研究員の伊藤隆氏は、「カメラ付き携帯電話で暗号化された印刷物を復号化する場合、手ぶれや画像のゆがみなどが発生しがちだ。また、領域の検出や復号処理などが同じタイミングで行われるため、正しく認識するまでに時間がかかってしまっていた。今回の技術では、手ぶれやゆがみのない画像のみを選択するフィルターを用意することで、処理時間を短縮化しているのが特長」と説明する。


従来の方式では、手ぶれやゆがみが発生した画像も領域検出処理や復号処理を行ったため時間がかかってしまった画像選択フィルター処理を用意することで、処理時間の短縮を実現画像選択フィルター処理を行うことで、正しく認識した画像のみを処理するため全体の処理時間を短縮している

暗号化された箇所をカメラ付き携帯電話でかざす認識された範囲が赤枠で囲まれ、復号処理に回される。この赤枠で表示される前段階で画像選択フィルター処理が使われている復号結果。試作機はWindows Mobileベースの携帯電話が使われているが、製品化の段階ではSymbian OSベースの携帯電話にも対応する予定

 今回発表された技術は、2009年度内での実用化、2010年度内での製品化を目標としている。

 なお、今回発表された技術を搭載した試作品は、5月14日より東京国際フォーラムで開催される「富士通フォーラム2009」に出展される。





(福浦 一広)

2009/5/12 15:30