日本オラクル、Oracle DB 11gの最新機能に対応した「Enterprise Manager」新版

トップダウンアプローチも継承、アプリケーション層までの一貫した管理に対応

インフラ層だけでなくアプリケーション層までを含めた運用管理を行える
常務執行役員 システム事業統括本部長の三澤智光氏
データベース管理では、Oracle Database 11gの最新機能に対応した

 日本オラクル株式会社は5月14日、統合運用管理ソフトウェアの新版「Oracle Enterprise Manager 10g Release 5」(以下、Enterprise Manager 10g R5)を発表した。OS、データベース、ミドルウェアからアプリケーションまでの全レイヤを一貫して管理運用できる「トップダウンアプローチ」や、全体アプリケーションをライフサイクルで管理する考え方を継承しつつ、データベース管理機能についても一段と強化が図られている。価格は38万400円からで、出荷は同日より開始される。

 Enterprise Manager 10gは、システムの全レイヤを一括管理・運用できる統合運用管理ソフトウェア。単なるデータベースの管理にとどまらず、下位のインフラレイヤから、ミドルウェア、アプリケーションまでを一貫して管理運用できる点が特徴という。

 常務執行役員 システム事業統括本部長の三澤智光氏は、「ハードウェアやデータベースといったインフラ層については、ないと生き死ににかかわる部分であり、運用管理ツールも多い。一方で、アプリケーション層がインフラと同じレベルで管理できているかといえば、そうではないが、ここは、アプリケーションが止まると企業が止まるといわれているくらい重要な部分だ」という点を指摘。アプリケーションも含めて包括的な管理を実現しているEnterprise Manager 10g R5の価値を強調した上で、インフラ層の管理を自動車保険における強制保険、アプリケーション層の管理を任意保険に例え、「(ITシステムの)管理についても、(強制保険だけでなく)任意保険が必要なのではないか」と述べた。

 新版では、こうした考え方を継承しつつ、アプリケーション、ミドルウェア、OS、データベースの各レイヤで多くの機能が盛り込まれている。ミドルウェア管理では、これまでも一部対応していたWebLogicやCoherenceといった旧BEAのアプリケーションをネイティブでサポートし、WebLogicサーバードメインに対する統合的な監視・管理、Coherenceクラスタ全体の管理・監視が行えるようになった。あわせて、Oracle Service Busの管理機能も強化されている。

 アプリケーション管理では、最新版のCRMアプリケーションであるSiebel CRM 8.1.1をサポートしたほか、Application Diagnostic for Java(AD4J)では、JRockit上で動作するJavaアプリケーションの診断に対応。Oracle VMについても、物理・仮想の両環境の統合管理、プロビジョニング、ライブマイグレーションのサポート、事前構成済みテンプレートへの対応などが行われた。

 加えて今回は、もともとの強みであったデータベース管理機能についても、大幅な強化が図られた。まず、パフォーマンスチューニング作業での分析・診断を自動化する「Automatic Database Diagnostic Monitor」のOracle RAC対応、リアルタイムSQL監視、自動SQLチューニング、パーティションアドバイザーなど、最新のOracle Database 11gで導入された新機能に対応。さらに、Oracle Database Vaultや、透過的データ暗号化をはじめとするデータベースセキュリティオプションの監視・管理をサポートするほか、テストなどの際にデータの機密性を保持するためのデータマスキング拡張機能も追加されている。これらの機能は、グリッド環境を一元管理するOracle Enterprise Manager Grid Control上で利用できる。

 価格は、管理対象となるサーバーの1プロセッサあたり38万400円からで、当初はLinux x86、Windows(32ビット)向けの管理エージェントを提供。6月23日より、SPARC Solaris、Linux x64、HP-UX(Itanium/PA-RISC)、AIX5Lなどの管理エージェントを提供する。

 「他社の、いわゆるシステム管理ツールが得意としてきた部分だけではなく、当社が強みとするサービスレベルやアプリケーションの管理といった部分が、かならず必要になってくる。これによって、データセンターの運用コストを劇的に下げ、アプリケーションのアベイラビリティを向上させることができるだろう」(三澤氏)。




(石井 一志)

2009/5/14 17:17