日本IBM、スマート・ワークを推進するソフトウェア戦略を説明

ILOG統合後初の製品や企業内クラウド向けアプライアンスを提供予定

専務執行役員 ソフトウェア事業担当の三浦浩氏
IBM WebSphere ILOG JRules V7.0の概要
BPM BlueWorksの概要

 日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は5月19日、ソフトウェア事業に関する説明会を開催し、専務執行役員 ソフトウェア事業担当の三浦浩氏が今後登場する新製品などを紹介した。

 現在、日本IBMでは「Smarter Planet」という概念のもとで各種の事業を行っている。このSmarter Planetとは、地球規模のさまざまな課題を、「賢い地球」になることで解決しようという考え方。大きく4つのテーマがあるが、三浦氏はそのうちの「スマート・ワーク(賢い働き方)」に絞って説明した。同氏によれば、「現在では人の行動に大きな変化が生まれ、仕事をより賢く迅速に進められるようになった」とのことで、このスマートな世界を活用したワークスタイルの変革を、Lotus、Information On Demand、WebSphereなどのソフトウェア、サービスで推進するという。

 5月19日に日本IBMが発表したビジネスルール管理ソフト「IBM WebSphere ILOG JRules V7.0」も、スマート・ワークを推進するための1要素で、業務のルール設定に関する変更・操作を自動化し、効率的なビジネスプロセス管理(BPM)を提供できる。もともとは米IBMが買収した仏ILOGの製品であり、ILOG統合後初めて提供される製品だが、「IBMとの統合を果たしたことで、従来のIBM製品や(2006年に買収した)FileNetとの親和性を高めた」(三浦氏)という。また、テスト、シミュレーション、監査といったビジネスユーザー向け機能の強化や、Word/Excelを利用したルールの編集が、Java版、.NET版の双方でサポートされた。出荷開始は6月27日を予定する。

 また2009年第2四半期には、クラウド関連の製品・サービスも2つ用意する予定。そのうちの「BPM BlueWorks」は、BPMアプリケーションをSaaS形式で提供するもので、「ITにあまり明るくないユーザーでも、ビジネスの専門家であればビジネスモデリングをクラウド上で行える。コミュニティでのディスカッションを通じて、プロセスモデルをより練度の高いところまで持って行く役目を果たす」(三浦氏)という。

 クラウド関連のもう1つは、プライベートクラウド(企業内クラウド)向けの「WebSphere CloudBurst Appliance」で、こちらはWebSphere Application Server(WAS)の迅速な実装を可能にするアプライアンス製品である。WASの仮想イメージと顧客環境の全ライフサイクルを管理することが可能で、コンテンツ作成、スケジュール作成、状態管理、キャパシティーおよび使用量管理、ストレージ管理などの機能を備えている。

 なお、日本IBMでは同日、「SOAパートナー・コミュニティー」の設立も発表している。同社ではすでに金融業界向けSOAコミュニティを2008年5月に設立しているが、この取り組みによってSOAの適用範囲の拡大を図る狙い。三浦氏は、「当社の『Smart SOA』アプローチによってSOAが簡単にできるようになり、パートナーでのSOAも実績が増えてきた。当社が事務局になり、全体をコミュニティとしてまとめることで、生産性の向上などを目指したい」とした。このコミュニティには、約70社が参加する。




(石井 一志)

2009/5/19 16:29