3PAR、ハイエンド機能を搭載したミッドレンジストレージ「InServ Fクラス」


ワールドワイド・マーケティング担当副社長のクレッグ・ヌネス氏

 米3PARは5月29日、ハイエンド機能を搭載したミッドレンジストレージ「3PAR InServ Fクラス(以下、InServ Fクラス)」を発表した。

 InServ Fクラスは、コントローラーノード4台による「Mesh-Active技術」などのハイエンド機能を、ミッドレンジのFibre Channelアレイで初めて搭載した製品。これにより「従来型のミッドレンジアレイにつきものだった拡張性・効率性の限界を取り払った」(ワールドワイド・マーケティング担当副社長のクレッグ・ヌネス氏)という。

InServ F400/F200ドライブシャーシ
4コントローラーノードによる「Mesh-Active技術」をはじめ、InServ Fクラスに搭載されたハイエンド機能
Mesh-Active技術の特長
TクラスとFクラスの比較表

 Mesh-Active技術とは、複数のコントローラーにボリュームを自動的に割り当てるもので、各ボリュームがすべてのドライブ、コントローラー、キャッシュ、I/Oに平等にアクセスできるようになるのが特長。InServ Fクラスには「F200」と「F400」がラインアップされており、前者なら最大2台、後者なら最大4台のコントローラーをフルメッシュでP2P接続させることが可能。各LUNが単一のコントローラー上でのみアクティブとなる「Active-Active」のレガシー・ミッドレンジアーキテクチャと異なり、各コントローラー同士での大規模並列処理や自動負荷分散されたクラスタを実現できるのがメリットだ。

 各コントローラーには、ハイエンド製品と同様に「3PAR Gen3 ASIC」がビルトインされており、このASICがクラスタ内のインターナル接続を実現するほか、RAID 1と比べても速度に遜色(そんしょく)のないRAID 5が構築できる「Fast RAID 5」も実現する。

 さらに、同ASICで採用された「Thin Built In技術」により、「スピードが求められるORTPトランザクション処理と、ゆっくり処理されるシーケンス処理の混在処理も実現」(ヌネス氏)。通常、トランザクション処理とシーケンス処理が混在する場合、「各処理に対してパフォーマンスを維持するために、それぞれの処理に対して別々にアレイを導入する必要があったが、同技術が混在処理を可能としたことでアレイ導入コストを抑えられる」という。

 これらの機能は、ハイエンドの「InServ Tクラス」のすでに実装されたもの。今回のリリースで、同等の機能を有したミッドレンジの「同 Fクラス」をラインアップし、顧客の選択肢を広げる狙い。ハイエンドとしては、最大コントローラー数8台の「T800」と同4台の「T400」をそろえ、「クラウドデータセンターなどの非常に大規模な顧客をターゲットに拡販する」(同氏)。

 一方、ミッドレンジでは、最大コントローラー数4台の「F400」と同2台の「F200」をラインアップ。T400とF400で最大コントローラー数は同じだが、「違いは、Fibre Channelホストポート数やキャッシュ容量など。これらのスペックを抑えることで、F400ではハイエンドと同等の機能を低コストに利用できるようにしている」(同氏)。

 InServ Fクラスの価格は約8万ドル。





(川島 弘之)

2009/5/29 18:13