NTTデータのセキュリティ拡張機能「TOMOYO Linux」、Linuxに正式採用


 株式会社NTTデータは6月11日、同社が開発した「TOMOYO Linux」が、全Linuxディストリビューション標準の「カーネル 2.6.30」に正式採用されたと発表した。

 TOMOYO Linuxは、同社が2003年より開発を進めるLinuxのセキュリティ拡張機能。今回の採用で、Linuxの正式な機能として世界中に配布されることになる。なお、Linuxセキュリティ機能としては世界で3番目、日本で初めての採用という。

 TOMOYO Linuxは、Linuxに対する強制アクセス制御(Mandatory Access Control:MAC)を実現するもの。「ポリシーの自動学習機能」が特長で、必要な機能を操作すると、それに対応する設定ファイル(ポリシー)を自動生成してくれる。標準的なLinuxスキルがあれば、誰でも使いこなせるよう開発されており、管理者は自分のシステムに最適な設定ファイルを迅速に取得できるのがメリットだ。

 NTTデータでは標準カーネルに採用されることの意義を、「標準カーネルに含まれない機能は、その開発主体がなくなった場合に消滅もしくはメンテナンスがストップし、利用者側にとってリスクとなるが、メインラインとして採用されることで多くのLinux開発者が改良・拡張に携わることが可能。突然利用できなくなるリスクが減じるほか、企業での商用の可能性も高まる」と説明。

 今後の展開としては、これまで行っていたバージョンアップやコミュニティ活動を継続するほか、組み込み機器を含め、TOMOYO Linuxの適用領域について、パートナーとの検討・開発を行っていく。また、商用で安心して利用できるよう、教育サービスやサポートについても検討するとした。




(川島 弘之)

2009/6/12 11:44