「YouTubeと業務アプリを一緒に高速化してはダメ」、ブルーコートがアプリ可視化の重要性を強調


米Blue Coat ワールドワイドセールス担当シニア・バイスプレジデントのケビン・ビッグス氏

 ブルーコートシステムズ合同会社(以下、ブルーコート)は6月18日、記者説明会を開催。米Blue Coat Systems(以下、Blue Coat) ワールドワイドセールス担当シニア・バイスプレジデントのケビン・ビッグス氏が同社の戦略を解説した。

 Blue Coatはもともと、CacheFlowという社名でプロキシを手掛けていたが、2002年8月に社名を今のものに変更。その後、さまざまな技術開発や企業買収を重ね、WAN高速化やアプリケーションの可視化・制御、セキュリティの技術を入手し、製品に反映してきている。

 その同社が2009年の2月に打ち出した戦略が、「アプリケーションデリバリネットワーク(ADN)」戦略である。ADNとは、ユーザーが快適にアプリケーションを利用できる能力を備えたネットワークのこと。「ネットワークというと、ルータやスイッチといったパケットを届けるためのネットワークを想像しがちだが、そうしたインフラの部分だけでは、アプリケーション層までを見ることは難しい」という点をビッグス氏は指摘し、アプリケーションに着目したネットワーク、すなわちADNの必要性を訴える。

 ビッグス氏によれば、ADNではアプリケーションの可視化を実現した上で、もっとも重要なビジネス向けのアプリケーションを特定し、それをいち早くユーザーに提供することが重要とのこと。加えて、セキュリティを確保し、アプリケーションに悪い影響をおよぼすものを排除する必要性もあるという。ブルーコートでは、帯域可視化・制御装置「PacketShaper」やプロキシ/WAN高速化アプライアンス「ProxySGシリーズ」などの製品によってこうした点を実現しており、ビッグス氏はそこが他社との差別化ポイントだとした。

 「過去、多くのベンダーがADNについて語ってきたが、本当の意味でのADNを提供できるのは当社だけだ。アプリケーションの加速化技術はこれまでもあったが、可視化によってどういうものが重要かを判断し、加速できる技術はこれまでなかった。企業の3~5割のトラフィックが業務とは関係のないレクリエーション目的だという調査結果もある。こうした場合にアプリケーションが識別できないと、YouTubeやその他のレクリエーション系のアプリケーションもいっしょに加速されてしまうのだ」(ビッグス氏)。

 製品ラインとしては、ProxySGなどへのアプリケーション可視化機能の統合も計画しているが、アプリケーション可視化のみを継続して利用したい既存・新規のユーザーもいるため、今後もPacketShaperは単独の製品として強化・開発を続けていくとのこと。ビッグス氏は「アプリケーション可視化については数を増やし続けたいし、拡張性も強化したい」とした。

ブルーコート 代表取締役社長のマット・ベネット氏

 なお日本でのビジネスについて、ブルーコート 代表取締役社長のマット・ベネット氏は「国内で特に重要視されているのはコスト削減とコンプライアンスで、既存のお客さまのこうしたニーズに向けて、ProxySGやPacketShaperのさらなる有効活用を進めていきたいし、リフレッシュキャンペーンなども行いたい。施策をパートナーと進めていく」と述べている。




(石井 一志)

2009/6/18 17:15