「ソフト/サービスにかじを切った」、ノーテルの推進するオープンなACEの価値
Nortel コミュニケーション・イネーブルド・ビジネス・ソリューション部門 事業開発&アライアンス リーダー、ジョン・ベドナレック氏 |
Hot Desking利用時の画面イメージ |
カナダNortel Networks(以下、Nortel)は6月9日(カナダ時間)、企業内のアプリケーションと通信機能を統合するソフトウェアプラットフォーム「Agile Communication Environment(ACE)」の新版を発表した。この「ACE 2.0」では、対応環境を拡大したほか、電話との連携を強化する「Hot Desking Packaged Application」(以下、Hot Desking)機能を新たに追加するなど、ユーザーにとっての利便性を向上させている。今回は、Nortel コミュニケーション・イネーブルド・ビジネス・ソリューション部門 事業開発&アライアンス リーダー、ジョン・ベドナレック氏に、ACEに関する話を聞いた。
従来、ネットワークスイッチなどのハードウェア製品を中心に提供してきたNortelだが、昨年来、ソフトウェアソリューションやサービスの提供に注力を開始。自社ハードウェアにこだわらない、マルチベンダーの環境で利用可能なネットワークソリューションを推進するようになった。北米で新版が発表されたACEも、その戦略の中で大きな役割を果たす製品の1つ。これを利用すると、インフラは自社・他社の製品を問わず既存のものを利用しながら、ビジネスアプリケーションと通信機能の統合を実現できるという。
ACEでは、ソフトウェア/サービスベンダーにシフトするという同社の方向性を反映し、発表当初からオープン性を重視しており、さまざまな製品との連携をうたっているのも特徴。まだ、「(顧客や取引先に対して)オープンな特徴を持つACEのプレゼンテーションをすると驚かれることが多い」(ベドナレック氏)ものの、その内容を理解してもらうにつれ、「課題を解決してくれるのなら、導入してみたい」といわれるようになるという。「当社は、会社としてソフトウェアおよびサービスにかじを切っている最中だが、新しいビジョンは受け入れられていると思う。というのも、お客さまが欲しいのは、(ベンダーの名前でなく)自らが達成したい目的に対してのソリューション。それを当社が実証し、提供しているからだ」(ベドナレック氏)。
今回のACE 2.0でも、引き続きオープン性の追求は進められており、新たにWindows Serverをサポートしたほか、Office Communications Server 2007 R2のリモートコール制御機能に対応。IBM Sametimeとの連携強化、Avaya向けの連携機能の提供など、互換性に関する取り組みを推進している。
また、「オフィスの電話を持ち歩ける」新機能のHot Deskingについても、オープンな環境に対応しているという。これは、オフィスにかかってきた電話を、携帯電話、固定電話、ソフトフォンを問わず任意の電話機に不在転送可能なソリューション。常に1つの電話番号で電話を受けられるため、エンドユーザーにもそのビジネス相手にも大きなメリットが得られるのだ。
ベドナレック氏はこの機能について、「4~5回のクリックで簡単に設定できる上、ダイヤルインで着信が可能な電話であれば、すべてに対応する点がメリット。単一のベンダーでは同様の製品が存在するものの、マルチベンダーではACEでしか実現できないだろう」という点を強調。さらに、「コスト効率が良いので、北米の事例では数カ月、時には数週間で投資を回収している」と述べる。
Hot Deskingを利用するためには、まず、転送先に設定したい電話から、指定の番号に電話をかける。すると、システム側が自動的にその電話番号を認識し、コールバックしてくるので、Webブラウザの設定画面で承認するだけで設定が完了。さらに、自社のMultimedia Communication Server(MCS)や、他社のMicrosoft Office Communications Server 2007やLotus Sametimeとはプレゼンス情報の共有も可能になっているという。利用にあたっては、ACEのサーバーと、Hot Deskingのソフトウェア、ユーザーごとのライセンス購入が必要になる。
なお、Nortelでは、パッケージ機能を提供する以外にも、ACEを利用したカスタマイズアプリケーションの開発を請け負っており、Hot Desking機能も、最初は個別の要望にあわせて開発した機能だったという。「当社では、市場が求めているものに応じて開発を行っており、昨年のACEの発表以来、カスタムサービスとして新しいサービスを開発している」と述べたベドナレック氏は、ニーズがあれば互換性の強化もどんどん行うし、パッケージアプリケーションも増えていくだろうとした。その流れの中で、次期版以降にモバイルアプリケーションを提供するほか、コンタクトセンターやCRMアプリケーションとの連携も要望が多いことから、これらのビジネスアプリケーションとの連携機能も、提供を検討している。
もちろん、パートナー向けに提供されている開発環境を利用して、SIer/NIerなどが独自の機能を拡張していくことも可能。このようなパートナーとの連携も推進し、ACEなどのソフトウェア/サービスの提供体制を強化していく考えである。「当社もソフトウェアのノウハウをまったく持っていなかったわけではなく、音声では実績を持っていたが、上流工程のコンサルティング部分など、足りない部分はパートナーシップを組んで補っていく」(ベドナレック氏)。
2009/6/26 12:47