SAPジャパン、サステナビリティソリューションの本格展開を表明


バイスプレジデント インダストリー/ソリューション戦略本部 本部長の脇阪順雄氏
SAPのサステナビリティ製品ポートフォリオ

 SAPジャパン株式会社は7月15日、同社のサステナビリティへの取り組みに関する記者向け説明会を開催。国内でサステナビリティ関連事業を本格的に展開すると発表した。

 同社はサステナビリティを、「経済的・社会的・環境の、リスクと機会を統合的に管理することで、中長期的な収益性を向上可能」なものと定義。同社バイスプレジデント インダストリー/ソリューション戦略本部 本部長の脇阪順雄氏は、「日本企業の場合、環境問題に早くから取り組んでいたためか、コストのみが発生し、利益を生まないとおもわれがち。しかし、サステナビリティは利益を生み出せるものであるとSAPでは考えている」と、多くの消費者がハイブリッドカーを選択している例などを交え、コストだけでなく収益を生み出せるものであると強調する。

 同社では、戦略立案からKPIの設定、測定・分析といった一連の流れを管理できる「サステナビリティパフォーマンス管理」、効率的なエネルギー利用を実現する「エネルギー・二酸化炭素管理」、原材料や製品の安全性を管理する「製品安全と製品責任」、環境を考慮したサプライチェーンを構築する「サステナビリティサプライチェーン」、職場の安全性・従業員の健康管理などを実現する「環境・安全・衛生」、サステナビリティを考慮した人材育成を実現する「サステナブル人材」、グリーンITなどを実現する「ITインフラストラクチャ」といった多数のサステナビリティソリューションを用意。

 脇阪氏は、「サステナビリティを実現する上で、正しくモニタリングすることは不可欠。今年の第4四半期には、測定・管理・レポーティングを行うSustainability Performance Managementをリリースする予定。また、5月に買収した米Clear StandardsのSaaS型ソリューションを利用することで、GHG(温室効果ガス)排出量などの測定・分析を企業内だけでなく取引先企業を含めて行うことができる。そのほか、SAP Environment, Health, and Safety Managementを利用することで、原材料や部品の環境負荷をトラッキングすることも可能」と、企業のサステナビリティ実現のためのソリューションを多数提供していると述べた。


Sustainability Performance Managementで提供される主な機能Clear Standardsの画面イメージ製品安全・製品責任ダッシュボードの画面イメージ

 実際、同社としてもサステナビリティにコミットしていることを紹介。同社チーフオペレイティング&コマーシャルオフィサーのロブ・シリング氏は、「SAPでは、CO2排出量を2020年に2000年と同じレベルに削減することを目標としている。また、自社製品を使い、全世界の拠点のCO2排出量を把握できるダッシュボードを作るなど、サステナビリティを意識した経営を行っている」と積極的に取り組んでいると説明。


チーフオペレイティング&コマーシャルオフィサーのロブ・シリング氏SAPのサステナビリティへの取り組みSAP社内で利用しているカーボンダッシュボード。各拠点のCO2排出量を確認できる

 「サステナビリティは中長期的な収益性を向上させる上で重要なもの。実際、昨年からの経済危機の影響で株価は低迷しているが、サステナビリティにコミットしている企業の株価は、そうでない企業の株価と比べて15%上回っている。特に長期的な戦略を持っている企業ほど、この傾向が顕著になっている」(シリング氏)と、サステナビリティは企業の中長期の経営に大きな影響を与えるものであると述べた。

 国内でもサステナビリティへの関心の高まりにあわせ、本格的な取り組みを開始すると発表。「まずは、温暖化ガス排出規制・エネルギー管理対応、化学物質管理規制対応といった各種法規制への対応を行うソリューションから積極的に取り組んでいく。また、スマートグリッドなど国内での実証実験プロジェクトにも参画。そのほか、ステークホルダーへの情報開示への対応を含め、取り組み状況を可視化するソリューションの提供も行っていく」(脇阪氏)と、本格的にサステナビリティソリューションを国内展開するとした。





(福浦 一広)

2009/7/15 13:59