サイベース、高速DWH専用データベース新版-大規模データ活用基盤の構築もサポート


代表取締役社長の早川典之氏
米国で先行して提供されたSybase IQ 15.0の新機能

 サイベース株式会社は7月16日、高速データウェアハウス(DWH)専用データベース「Sybase IQ」の新版、「同 15.1」を11月初旬より出荷開始すると発表した。

 Sybase IQは、多くの企業が直面する情報系システムの構築・運用において、性能問題・コスト課題を解決する、高速DWH専用データベース。米国では、大規模DWH向けに機能強化を行った「Sybase IQ 15.0」が先行してリリースされていたが、今回、さらなる機能追加を実施した新版を日米同時期に発表した。

 代表取締役社長の早川典之氏は、「当社では、企業内のデータにどこでも、いつでも、誰でも自由にアクセスできる環境を提供するというコンセプトを基に、その中核製品としてSybase IQの開発に力を注いできた。今回の新版では、今まで企業内に構築されてきた個別の分析システムやレポーティングシステムだけでなく、それらを包括した大規模なシステム環境においても、うまく情報活用が行えるエンジンを目指して機能強化を行った。今後も、この領域に力を注ぎ、日本市場向けにも大規模DWHを構築できるシステムを提供し続けていく」と、新版の開発背景とその狙いについて述べた。

 米国で先行して提供されているSybase IQ 15.0では、データ負荷やユーザー数の急増に伴う分析ニーズの多様化に対応するため、マルチノード・ローディングや並列クエリ処理機能などを強化。データのロードおよびクエリ速度を大幅に高速化することで、さらに迅速かつ正確な分析環境の提供を実現した。また、データのパーティショニング機能やGUIベースの使いやすいシステム管理コンソールの提供により、既存リソースを効率的に活用しながら、運用コストを最小限に抑えることが可能となった。

インデータベース分析機能の概要

 今回、日米でリリースされるSybase IQ 15.1は、これらの機能強化をベースにしながら、新たにインデータベース分析機能を追加。従来は、BIアプリケーション側に送って実行していたドリルダウンや予測分析などのデータ処理を、リアルタイムで直接Sybase IQ 15.1のデータベース内で高速に処理できるようになった。これにより、多くの企業で課題となっていたBIサーバーの負荷を大幅に軽減し、従来以上に柔軟かつ多様な分析結果の高速表示を実現する。

 インデータベース分析機能は、オプション製品「In-Database Analysis Option(IDAO)」として提供され、利用にあたっては別途分析モジュールが必要となる。分析モジュールには、米Fuzzy Logixが提供する分析アルゴリズム技術を採用しており、国内でも提供する予定。このほか、Sybase IQ 15.1向けの新たなオプション製品として、カラムレベル暗号化/アクセス認証機能「Advanced Security Option(ASO)」、複数サーバーによるマルチプレックス機能「Multiplex Grid Option(MGO)」、パーティショニング機能「Very Large Database Management Option(VLDBO)」も用意している。

Sybase IQ 15.1のプロダクト全体Sybase IQ 15.1の新機能ハイライト

 マーケティング本部 本部長の冨樫明氏は、「企業におけるBIニーズは、より高度化が進んでおり、担当者レベルだけでなく、もっと多くのユーザーが多様かつ詳細な大量データをリアルタイムで高速に分析・活用できるシステムを、日常業務の一部として組み込みたいという要望が強まっている。こうしたニーズを支えるためのソリューションが今回の新版であり、従来のような部門データマートから、全社基盤としてのセントラルDWHまで、幅広いデータ活用基盤の構築と運用をサポートしていく」と、実際にヒアリングしたBIニーズを踏まえて新版の位置付けを説明した。

 なお、Sybase IQ 15.1では、機能強化とともに製品構成の見直しも行っており、従来1種類だったラインアップを、「Sybase IQ Small Business Edition(SBE)」と「Sybase IQ Enterprise Edition(EE)」の2種類に拡充し、ユーザーの選択肢を広げている。Sybase IQ SBEは、部門データマートや中小・中堅企業におけるDWHなど、主に小規模なDWHを構築するためのもの。一方、Sybase IQ EEでは、数百TBのデータを格納したり、1000人超のユーザーが利用したりする、企業全体のデータを管理するためのエンタープライズDWHなど、大規模なDWHでの利用にも十分耐えうる機能と柔軟な拡張性を、低コストで提供する。

 価格は、Sybase IQ 15.1 SBEが420万円(税別)/コア(4CPUコアでのセット販売)、Sybase IQ 15.1 EEが1008万円(税別)/コア。両エディションとも、25%または50%のマルチコアディスカウントが適用される。オプション製品は、ASOが420万円(税別)/コア、MGOが700万円(税別)/ノード、VLDBOが350万円(税別)/TB、IDAOが210万円(税別)/コアとなっている。

マーケティング本部プロダクトマネージメント担当部長の高木伸滋氏

 出荷開始は11月初旬と少し先になるが、「Sybase IQ 15.1は、完全日本語化したフル・ローカライズ版として提供するため、発表から出荷開始までに準備期間が必要になった。従来までは、ドキュメントのみの日本語化だったが、今回はソフトウェアのユーザーインターフェイス、メッセージ、ヘルプ、そしてパッケージまで含めてすべてを日本語化する」(マーケティング本部プロダクトマネージメント担当部長の高木伸滋氏)としている。




(唐沢 正和)

2009/7/16 17:12