キヤノンMJ、新複合機に早くも手応え-2009年度上期決算は減収減益


 キヤノンマーケティングジャパン株式会社(キヤノンMJ)は7月23日、2009年度上期(2009年1月~6月)の連結業績を発表した。

2009年度上期の業績概要

 売上高は前年同期比19.7%減の3362億200万円、営業利益は同74.4%減の36億5900万円、経常利益は同68.3%減の46億7500万円、当期純損益は、減損損失の計上などによる特別損失の増加により、45億7700万円の損失となった。

 同社では、「一部の景気動向調査では景気の底打ちが伝えられたものの、設備投資の減少や雇用悪化、個人消費の低迷が続いたため、極めて厳しい状況で推移。販売費および一般管理費の削減に努めたが、売上高が減少するとともに、売上総利益の減少を吸収することができず、減益になった」としている。

 だが、常務取締役経理本部長の柴崎洋氏は明るい材料として、「第2四半期は粗利率が上昇している。MFP、保守サービス、コンパクトデジタルカメラなどでの粗利改善が奏功している」とした。

ビジネスソリューションの状況

 ビジネスソリューション事業の売上高は、前年同期比15.8%減の2166億1100万円、営業利益は同74.2%減の24億円となった。そのうち、ドキュメントビジネスの売上高は同15.7%減の1436億円、ITソリューションの売上高は同15.8%減の730億円。

 オフィスMFPの出荷台数は、第1四半期実績で前年同期比35%減、第2四半期実績で同34%減と大幅に減少しているが、これは前年同期にコンビニエンスストア向けの大型案件があったことの反動によるもので、「コスト低減活動の成果もあり、粗利率は上昇しているという」(柴崎常務取締役)。

 だが、オフィスMFPの保守サービスは、景気削減を背景に、保守料金の単価下落やオフィスにおけるプリント抑制の影響により、ドキュメントボリュームが減少し、前年を下回りまっているほか、レーザープリンタは、オフィスMFPへの集約化が進んだことから、台数ベースでカラー機、モノクロ機ともに減少した。一方で、大判インクジェットプリンタは、郵便局に750台の大型導入案件があったことで、大幅にシェアが向上しているという。

ドキュメントビジネスの状況ITソリューションの状況

 また、今後は、7月にMFPの新ブランドとして発表した「imageRUNNER ADVANCE」の新製品3シリーズ12モデルを、9月から順次発売することで、ドキュメントビジネス事業の拡大に取り組むほか、プロダクションMFPでは拡充した製品ラインアップを活用することにより、顧客層の拡大を図りたいとしている。

 芦澤光二取締役副社長は、「新製品のimageRUNNER ADVANCEは、オンリーワンの機能を搭載しており、競合他社の製品と比べても、その強みには揺らぎがない。このビジネスは、利益重視であり、オンリーワン技術によって、他社陣営を食っていくというのが基本的な考え方である。9月の新製品出荷開始までは現行機種で戦うことになるが、在庫を一気にさばいていく体制が整っている。この分野は、アフタービジネスの比重が大きいため、新製品の貢献は、今期よりも来期以降を期待している」としたほか、「パートナーや顧客の反応はわれわれが思っていたよりも良い。事務機系パートナーに加えて、システム系パートナーが、軸足を移してきているのも大きい。システム連携に関する、システム系パートナーの関心が高い」などとした。

 なお、同事業セグメントにおけるグループ子会社では、キヤノンシステムアンドサポートは、主力顧客の中小規模事業所における設備投資の抑制や経費削減、リース与信審査の厳格化などにより、前年同期に比べて売上高が減少。一方、企業向けIT研修/マネジメント研修事業を展開するエディフィストラーニングのグループ加入など、グループ会社の再編や増強に取り組んだITソリューションでは、企業のIT投資意欲の低下によりサーバーやビジネスPCなどのITプロダクト事業を中心に減収となり、グループ全体の売上高は前年を下回った。また、キヤノンソフトウェアは、SIサービス事業は堅調に推移したものの、機器組み込みソフトウェアやビジネスアプリケーションソフトウェアが景気低迷により横ばいとなった。キヤノンITソリューションズは、セキュリティ商品などのソリューション事業が伸びたという。

 コンスーマ機器事業の売上高は前年同期比13.7%減の1067億7900万円、営業利益は同31.4%減の24億円となった。

 デジタル一眼レフカメラは、動画撮影機能を搭載した普及価格帯の「EOS Kiss X3」が好調に推移するとともに、キャッシュバックキャンペーンを行った「EOS Kiss X2」、「EOS 50D」の拡販を図ったものの、台数ベースでは前年同期比7%減となった。だが、第2四半期には販売台数は前年同期比2%増となっており、シェアナンバーワンは維持しているという。

 「デジタル一眼レフカメラは入門機から上級機まで積極的なマーケティング活動を行うことで台数増を見込む。下期は前年同期比15%増を見込み、年間では同4%増を計画している」(柴崎常務取締役)。

 コンパクトデジタルカメラは、買い替えサイクルの長期化などにより、台数ベースでは前年同期比5%減となった。

 家庭用プリンタは、前年同期比3%減となっているが、昇華型コンパクトフォトプリンタを除いたインクジェットプリンタは、同2%増になっているという。

 産業機器事業は、売上高が前年同期比66.1%減の128億1100万円、営業損益は11億円の赤字となった。

 半導体露光装置は国内需要が前年を大幅に下回り、販売台数は前年に比べ大幅に減少。医療機器では、今後、デジタルラジオグラフィが堅調な売り上げ増が見込めるという。

修正された通期の業績予想

 なお、通期の業績予想の修正も発表された。

 連結売上高は、当初公表値に比べて200億円減の7050億円、営業利益は修正なしの55億円、経常利益も修正なしの70億円、当期純損益は、13億円改善し、50億円の赤字とした。

 セグメント別では、ビジネスソリューション事業の売上高は、当初公表値に比べて150億円減の4350億円。そのうち、ドキュメントビジネスは30億円減の2860億円、ITソリューションは120億円減の1490億円。

 「ドキュメントビジネスでは、景気低迷の影響を受けた保守サービスの売り上げ減、ITソリシューションでは、企業IT投資の抑制を背景に、ITプロダクト、基盤事業が影響を受けることになるだろう」(柴崎常務取締役)とした。

 ビジネスソリューション事業全体の売上高は、前年に比べて、通期で610億円減少することになる。

 MFPの年間販売台数計画は前年比25%減、LBPは同14%減、LBPトナーカートリッジは同6%減を見込んでいる。

 また、コンスーマ機器事業の売上高は、当初公表値に比べて20億円減の2450億円、産業機器の売上高は同30億円減の250億円へと修正した。





(大河原 克行)

2009/7/24 13:57