大塚商会、2009年度中間決算は減収減益-LED照明など新規事業を強化
株式会社大塚商会は7月31日、2009年(平成21年)12月期の中間決算を発表した。
連結決算では、売上高は対前年同期比9.8%減の2281億600万円、営業利益は40.9%減の110億8500万円、経常利益は41.0%減の112億4600万円、純利益は40.4%減の63億4800万円となり、減収減益決算となった。
大塚商会の単体決算についても、売上高は9.6%減の2144億8400万円、営業利益は42.3%減の100億9700万円、経常利益は41.6%減の104億6800万円、純利益は40.6%減の60億2800万円とやはり減収減益となった。
2009年度中間決算 業績の概要 | 2007年度、2008年度と比較した2009年度売上高・利益の状況 | 単体での売上高と損益分岐点比率の推移 |
代表取締役社長の大塚裕司氏 |
この結果に対し、大塚裕司社長は、「当初計画についても減収減益を予定していたが、連結売上は計画比97.3%でまずまずの成果ではあった。しかし、利益については計画に対し約10ポイント未達と反省の残る結果となった」と厳しい状況となったと説明した。
減収減益の要因としては、「市場の状況をそのまま反映した格好で、昨年の今ごろは不動産業が厳しいといわれていたが、現在は全業種が厳しい。IT活用ニーズはあるものの、IT投資抑制傾向による買い控えが続いている」(大塚社長)と分析している。
厳しい状況下で大塚商会では、コスト削減、生産性の向上、顧客の競争力強化につながるシステム提案などを行っていくと共に、「当社が毎年開催しているプライベートフェアの来場社数は前年を上回った。お客さまのITへの期待とニーズは引き続き高いととらえている。また、お客さまと当社との接点となっているたのめーる事業が10周年を迎え、業績も好調であることからさらに注力を進め、昨年度からスタートしたLEDなど新規ビジネスへの取り組みにも注力していく」ことを下半期の取り組みとして掲げている。
セグメント別売上高では、連結ではシステムインテグレーション事業が対前年同期比17.4%減の1256億300万円、サービス&サポート事業は1.7%増の1015億6300万円、その他の事業が12.7%減の9億9300万円となった。
さらに詳細なセグメント別売上高を見ると、パッケージソフト販売を含むSI関連商品の売り上げが983億9700万円、受託ソフトなどが162億6600万円、サプライ商品が462億9300万円、保守などが535億2600万円。受託ソフト、サプライおよび保守の売上は前年比ほぼ横ばいであるのに対し、SI関連商品の売上は前年中間期が1203億5500万円だったのに比べ大きく下落している。
「SI関連商品が大きく落ち込んだのに対し、サプライと保守は不況においても手堅いビジネスであることを実証する結果となった」(大塚社長)
セグメント別売上高 | 連結での詳細なセグメント別売上高 |
顧客企業の年商別売り上げ構成は大きな変化はないものの、いずれの顧客層においても取引企業数は増加していることから、「顧客あたりの単価が下がっている」という。 重点戦略事業の状況については、パッケージソフト「SMILE」、ドキュメントソリューション「ODS21」、セキュリティソリューション「OSM」は対前年同期比マイナスとなったものの、「たのめーる」などサプライ商品などオフィス用日用品を手がけるMRO(メンテナンス・リペア・アンド・オペレーション)事業は、1.9%増となった。
「たのめーるが10周年、個人向けのぱーそなるたのめーるが5周年を迎え、キャンペーンを実施。コピー用紙、インクカートリッジ、クリアファイルなど10周年記念特別商材を用意した。その結果、6月単月で前年同月比120.2%となる売上高100億円突破を実現することができた」(大塚社長)
顧客企業の年商別売り上げ構成 | 顧客企業の業種別売り上げ構成 |
ハードウェアについては、カラー複写機の販売台数が初の対前年比で初のマイナスとなり企業の投資抑制傾向が強いことが明らかになったものの、サーバーの販売台数は3.6%減の1万6269台、パソコンは0.4%減の26万7040台で、「JEITAのパソコン出荷統計では、パソコンの出荷台数は対前年比11.8%減となっているので、世間の平均よりはマイナスを抑えられているのではないか」と説明している。
連結での、2009年度通期売上高・利益の計画 |
2009年度通期のセグメント別売上高計画 |
重点戦略事業の通期計画 |
通期の施策としては、「78万社の顧客との取引があるが、約6割の顧客が一つの製品での取引にとどまっており、より深いお付き合いができるようにつとめていく。また、LED照明、ライオン事務器とのアライアンスによるオフィスデザインサービスといった新規事業を強化していく。売上高、利益については当初計画である売上高4470億円、営業利益185億円、経常利益190億円、当期純利益92億600万円を変更しない」(大塚社長)とした。
当初計画の変更を行わない理由として、「厳しい環境ではあるが、SI事業ではWindows 7、IPv6、WiMAX、サーバーの仮想化といった明るい要因があり、さらに2000年問題の二度目のリプレース期にあたっていることから、ニーズはある。売上計画は厳しいものではあるが、チャレンジしていく」(大塚社長)と強気の姿勢でのぞむ。
Windows 7については、「多くの企業から待たれている製品。ただし、タイミング的に当社の第4四半期にどの程度貢献するのか、様子を見る必要はある」と期待は大きいものの、今期の業績にどの程度貢献するのかは未知数とした。
また、富士通、NEC、日立がシステムインテグレーター事業を手がける別会社を完全子会社化し、中堅・中小企業市場を強化している動きに対しては、「各社とも中堅企業市場に注力してくることは間違いないだろう。ただし、当社がお取引しているような中小企業マーケットまで降りてくることはないのではないか」と、比較的規模の大きな企業マーケットでの影響が大きいとの見通しを示した。
2009/8/3 00:00