エンバカデロ、タッチコンピューティング対応の「RAD Studio 2010」
Delphi 2010の画面イメージ |
サポートされるタッチコンピューティングの機能 |
日本法人代表の藤井等氏 |
エンバカデロ・テクノロジーズ合同会社(エンバカデロ)は8月25日、Windows/.NETアプリケーション向けビジュアルRAD(Rapid Application Development)環境の新版「RAD Studio 2010」ファミリ4製品を発表した。タッチデバイスのサポートやデータベースアクセス機能の強化などが行われている。販売は、今回より用意されたダウンロード版が同日より、パッケージ版が8月26日より開始される。
今回発売されるのは、スイート製品であるRAD Studio 2010と、そのコンポーネントである「Delphi 2010」、「C++Builder 2010」、「Delphi Prism 2010」の計4製品。DelphiとC++BuilderはネイティブWindowsアプリケーションの開発向け、Delphi Prismは.NET環境向けに提供される製品で、RAD Studioはこれらをすべて包含している。
新版ではまず、タッチコンピューティングをサポートした。日本法人代表の藤井等氏は、「現在はナチュラルインプット、特にiPhoneに代表されるタッチスタイルのユーザーインターフェイス(UI)やデバイスが出てきたものの、PC環境はこれになかなか追随できていない」点を指摘。RAD Studioファミリではいち早くこれに取り組み、「ジェスチャー」、マウスの左クリックの代わりに指を使う「ベーシックタッチ」や、複数の指を使うより直感的な「マルチタッチ」をサポートしたと述べた。
なお、マルチタッチはWindows 7のみで利用可能だが、ベーシックタッチやジェスチャーについてはWindows Vista以前のOSにも対応。従来のアプリケーションでも、ベーシックタッチ、マウスやペン入力によるジェスチャーに対応しており、「標準的な動作を30種類以上用意した。それ以外の動作についてはカスタマイズも可能だ」(藤井氏)という。
またRAD Studioファミリでは、もともと多くのデータベースをサポートしているが、今回は最新の主要データベースをサポートしたほか、オープンソースのFirebirdにも初めて対応した。藤井氏は「個々のデータベース特有のデータ型など、固有の機能を生かしながら、いずれのデータベースでも同じスタイルで開発できるので、開発生産性が上がる」とそのメリットを強調。さらに、多層フレームワークの「DataSnap」も強化され、JSON、RESTを含む業界標準プロトコルによる、広範なデータアクセスが可能になった。
「これにより、既存のクライアント/サーバー型アプリケーションを、インターネット型のよりダイナミックなアプリケーションへ作り替えていける。軽く小さくコンポーネントを作って、それらをつなげて大きくしていくという、新しいスタイルに対応可能だ」(藤井氏)。
このほか、キーボードの操作のみで、マウスを使わずにIDEの機能を呼び出せる「IDEインサイト」機能、デバッガの強化、Delphiコンパイラの機能強化、Delphi Prismでの.NET 4.0サポートなど、120あまりの新機能が盛り込まれている。
ラインアップとしては、通常のパッケージ版、ダウンロード版に加えて、既存ユーザー向けのアップグレード版についても、パッケージ、ダウンロードの両形態で提供される。ただし、Delphi Prism 2010はダウンロード版(通常版・アップグレード版)のみが用意され、パッケージ版は提供されない。
価格例は、「Delphi 2010 Professional」「C++Builder 2010 Professional」のパッケージ版が10万2900円、ダウンロード版が9万8700円。「RAD Studio 2010 Professional」はそれぞれ17万6400円、17万2200円。ダウンロード版のみの「Delphi Prism 2010 Professional 1年間メンテナンス付」は6万3000円。アップグレード版の価格例は、Delphi 2010 ProfessionalとC++Builder 2010 Professionalのパッケージ版が4万8300円、ダウンロード版が4万4100円。
2009/8/25 17:31