EMCの「CLARiX CX4」に新機能、仮想マシンとストレージの管理分断を解消


シニア・プロダクト・マーケティング・マネージャーの雨堤政昭氏

 EMCジャパン株式会社(以下、EMC)は8月31日、ミッドレンジストレージ「CLARiX CX4シリーズ」の新しい仮想化対応機能を発表した。これにより、仮想マシンからストレージまで一貫した管理、データ保護が実現する。

 新機能としてはまず、接続オプションとして、10Gbps iSCSIおよび8Gbps FCの「UltraFlex」接続オプションを提供。サーバーを統合することでリソースの利用効率を向上する仮想化技術だが、一台の物理サーバー上に多くの仮想マシンが稼働するようになると、I/Oのボトルネックを生じさせてしまう。新たな接続オプションを使うことで、「リソース利用率を最大現に効率化することが可能となり、従来よりも最大8倍の仮想マシンを1台のストレージに統合できる」(シニア・プロダクト・マーケティング・マネージャーの雨堤政昭氏)という。FCoE(Fibre Channel over Ethernet)との統合も2010年に予定されている。

 さらに運用効率化の新機能として、「Navisphere Manager」「RecoverPoint」「Replication Manager」で機能強化を図った。

 Navisphere Managerは、CLARiX CX4シリーズに標準添付されるストレージ統合管理ソフト。ストレージの管理、検出、監視、構成を行える。今回は、VMwareが提供する仮想環境管理ソフト「VMware vCenter API」との統合を実現。両者を連携することで、仮想マシンからストレージまで一気通貫の管理を行えるようにした。

 雨堤氏は「仮想化で新しくレイヤが増えることで、VMware管理とストレージ管理の間には“可視化の分断”が起きている。例えば、Navisphere Managerでは、ストレージがどの物理サーバーに接続されているかを把握することはできても、どの仮想マシンにつながっているかは見えなかった。またVMware vCenterでは、仮想マシンがどんなボリュームに接続されているか抽象的に把握することはできても、実際にどのストレージにつながっているのか、そのストレージがどういう状況なのかは見えなかった。今回の統合で、両ソフトがお互いの情報を交換し合うことで、一貫したマップを作成することができ、仮想マシン単位でストレージの詳細情報を把握することが可能となる」とメリットを述べている。

 RecoverPointでも、仮想化への対応を強化。仮想化環境においても、サイト・システムレベルの保護を実現するDR(災害対策)やBC(ビジネス継続性)へのニーズは存在する。しかし、vMotionに代表されるように動的であることが醍醐味(だいごみ)の仮想化技術では、データを保護するのも一筋縄ではいかない。

 「例えば、仮想マシンごとにレプリケーションを行い、データが保護されているとする。ところが、vMotionで保護されていないストレージの領域に仮想マシンを移行した場合、管理は複雑になってしまう」(同氏)。

 そこでRecoverPointでは、仮想マシンごとのレプリケーションステータスを表示できるようにした。保護が完全でない場合に警告を発することが可能なので、仮想マシンのレプリケーション管理を自動化することができるという。一方、Replication Managerでも、仮想マシンレベルのリカバリを実現。仮想マシンの整合性がとれた複製を作成し、本番環境に瞬時にリストアすることが可能という。

Navisphere Managerで仮想マシンとストレージの一気通貫の管理を実現RecoverPointで仮想マシン単位でのデータ保護状態を可視化Replication Managerで仮想マシンのイメージレベルで瞬時のリカバリを実現

 EMCでは、新機能を搭載したCLARiX CX4シリーズを「VMwareに一番近いストレージ」として訴求する考え。なお、CLARiX CX4には「同-120/240/480/960」のラインアップがあり、同-120の価格が366万円から。Navisphere Managerは標準機能として同梱され、接続オプションやRecoverPoint、Replication Managerはオプションとして提供する方針。

 提供時期は、8Gbps FC接続オプションとNavisphere Managerが8月31日より。10Gbps iSCSI接続オプション、RecoverPoint、Replication Managerが9月より。




(川島 弘之)

2009/8/31 15:55