ラック、サイバー事件の緊急対応に特化した専門チームを新設


サイバー救急センター組織図

 株式会社ラックは9月30日、サイバー事件発生時の緊急事態において、事業継続を念頭に置いた早期の復旧と信頼回復に必要な支援を行う専門チーム「サイバー救急センター」を、10月1日付けで新設すると発表した。情報漏えい緊急対応サービス「サイバー119(旧名称:個人情報119)」を、よりスピーディに提供するのが狙い。

 ラックでは2005年4月より、企業の緊急事態に応じて専門チームを編成・派遣しながら、事件発生後の初動対応、復旧・回復支援、相談・アフターフォローなどを行うサイバー119を提供してきた。出動件数は2006年に34件、2007年に43件、2008年58件、2009年は1~9月の時点で前年とほぼ同数の57件を数えるなど、年々飛躍的に件数が伸びている。

 この背景には「不正侵入・情報漏えい事件が企業規模を問わず年々増えていること」「その事件が事業存続に直撃するほどインパクトが大きくなっていること」「一方で対策や防御に関する認識が追いついていないこと」などがあり、ますます事態は深刻化しているという。

 こうした状況を対応するため、サイバー救急センターを新設。窓口を一本化するとともに、人員増強やJSOCとの連携強化などサービス体制面の強化を図り、より迅速にサイバー119のサービス提供を可能にする狙い。新体制としては、顧客からの問い合わせを受け付け、事業継続管理やダメージコントロールを行う「司令室」の下に、「調査・解析チーム」「応急対応チーム」「プロテクションチーム(JSOC)」が組織される。司令室は、ネット上の風評被害・誹謗(ひぼう)中傷に対する悩み相談まで幅広く受け付けるという。

 今後は、サイバー攻撃の手口に関して最新情報を収集しているサイバーリスク総合研究所やJSOCの支援を受けながら運営を行い、2010年には年間100件の緊急対応出動を想定した体制の強化を行っていくとしている。




(川島 弘之)

2009/9/30 12:15