マイクロソフト、Webプラットフォームの一貫した価値を訴求

ポータルでの情報提供や相互運用性の確保を支援、開発者支援も実施

プラットフォーム戦略本部 シニアエグゼクティブ マーケティングスペシャリストの吉川顕太郎氏
Webプラットフォーム全体でのメリットとして活用してもらえるよう、Webプラットフォームポータルを開設した

 マイクロソフト株式会社は10月5日、Webプラットフォーム戦略に関する記者説明会を開催。プラットフォーム戦略本部 シニアエグゼクティブ マーケティングスペシャリストの吉川顕太郎氏が、自社のWebプラットフォームの特徴について解説を行った。

 マイクロソフトでは、Windowsをはじめ数多くの製品を有しているが、それらによって、エンドトゥエンドをカバーした“プラットフォーム”を提供できる点を、これまでも強みとして説明してきた。Webにおいてもそれは同様とのことで、吉川氏は、Webサーバー「Internet Information Services(IIS)」を中心とするサーバー関連から、WebブラウザとPC/モバイルデバイス、Silverlightなどを中心としたユーザーエクスペリエンス(UX)関連、Visual Studio、Expression Studioなどの開発/デザインツールまで、包括的なプラットフォームを擁しているという点を強調する。

 ただしこれまでは、製品単体ごとの価値ではなく、こうしたプラットフォーム全体の価値を十分訴求しきれていなかった、という問題があった。例えば、SQL Serverは、わざわざレポーティングエンジンを作り込まなくても標準装備している点が十分差別化ポイントになるというし、Visual StudioとExpression Studioでは同一のプロジェクトファイルを開け、ロジック開発者とWebデザイナーが、スムーズに共同作業を行えるというメリットを提供できる。

 こうした特徴を、単一の製品や分野にとどまらず、Webプラットフォーム全体でのメリットとして活用してもらえるように、マイクロソフトでは今回、Webプラットフォームポータルを開設した。ここでは、製品・技術情報の提供はもちろん、関連リソースへのリンク集的な機能や、対応アプリケーションの紹介など、Webプラットフォーム関連情報を網羅して提供するという。

 しかし、Webの世界にはマイクロソフト以外の製品、技術がさまざま存在するのはもちろんのことだ。そのため、マイクロソフトでは「たくさんある技術、製品をリスペクトし、きちんとコラボレーションできる相互運用性の確保が重要なこと」(吉川氏)と認識し、その面でも取り組みを進めている。

 具体的には、SilverlightやVisual Studioなどによるリッチインターネットアプリケーション(RIA)の開発では、Internet ExplorerのみならずFirefoxやSafariをサポートして、Webブラウザを選ばずに利用できるようにした。また、.NET環境での各種開発言語のサポートや、PHPのWindows上でのサポートもこの一環とのこと。吉川氏は特に後者について、「利用者の多いPHPがWindows上で動くことで、お客さまの選択肢が広がってくる。そのための専任のエンジニアリソースを本社サイドで確保し、コミュニティと連携しながら、PHPをきちんと動かすことに当社自身が投資をしている」と述べ、その取り組みをアピールした。

 相互運用性確保の一環としては、ソフトウェアインストーラ「Web Platform Installer 2.0」の提供も開始している。これは、Web開発に必要なコンポーネントを、選択するだけの簡単な操作でダウンロード/インストールができるツール。Visual Web Developer 2008 Express Editionなどの開発ツールや、IIS、またサードパーティ製PHPランタイムなどの環境を容易に整えられる。

 加えて、Webサイト「Windows Web Application Gallery 2.0」において、コミュニティが開発したWebアプリケーションを公開し、Web Platform Installer経由でユーザーが簡単にダウンロード/インストールできるようにした。すでに、SugarCRMやWordPressなどを含め20種類以上のアプリケーションが公開されているほか、Webアプリケーションの登録を申請することも可能で、「オープンソースコミュニティが、Windowsユーザーに対しても自分たちが開発したアプリケーションを展開できるメリットがある。日本でも共同作業を行っており、日本語のアプリケーションをいくつか、間もなく提供できる見込みだ」(吉川氏)とした。

Web Platform Installer 2.0では、各コンポーネントをそれぞれのWebサイトからダウンロードし、相互の依存を保ったまま、容易にインストールできるというWindows Web Application Gallery 2.0では、20種類以上のアプリケーションを公開している。Installボタンを押すと、Web Platform Installer 2.0がキックされて、インストールが開始される

 さらに、Web開発者のすそ野の拡大も積極的に行う方針。従業員25名以下のWeb開発企業を対象に、自社アプリケーションの一部無償提供、技術情報やサポートの無償提供などを行う「Microsoft WebsiteSpark」を、10月5日より国内でも展開する。吉川氏はこの価値について、「(製品活用の)しきいを下げ、道具立てを使いこなすためのサポートも提供する。また、パートナーといっしょに、登録したWeb開発企業のプロモーションを行って、ビジネス自体を創出したい」と説明している。

 なおマイクロソフトでは、プラットフォーム配置の選択肢を増やすという意味で、従来の「オンプレミス型」「ホスティング型」に加えて、Azureプラットフォームを利用した「サービス型」という選択肢を新たに提供したい考え。「クラウドに移行した瞬間に、違う技術に切り替えなくてはいけないのはタフなことだが、AzureはVisual Studioの技術により、大きくプログラミング変更をせずに資産が移管でき、お客さまからも、そのままSQL Serverの技術が使える点を評価されている。また、オープンなテクノロジーとしてアーキテクチャが考えられており、当社以外のテクノロジーをサポート可能」とした吉川氏は、従来のオンプレミス型の資産をそのまま移管できるAzureの強みを生かし、ビジネスを推進する考えを示した。

 「不況の中で、コスト削減とともに競合優位をいかに確保するかが課題だが、高度に統合されたWeb技術の提供により、お客さまの戦略優位性確保を支援できる。相互運用性の向上と、中小規模企業の支援などによって、最終的には、高品質なSIサービスをWebの世界にも提供できると思っている」(吉川氏)。




(石井 一志)

2009/10/5 17:23