弥生、Windows 7対応の「弥生10シリーズ」を発表

2010年度の事業方針は「愚直な実践」と岡本社長

 弥生株式会社は20日、業務パッケージソフト「弥生」の最新版となる「弥生10シリーズ」を発表。12月4日から販売開始する。弥生10シリーズ発表に合わせ、新たなサポートサービスについても発表した。

 弥生の岡本浩一郎社長は、「弥生10シリーズでは、かんたん、やさしいをサービス面でも徹底的に追求し、これまで以上に安心を提供すべく、サポートサービスを刷新した」とした。

弥生10シリーズ強化点~低価格化と手厚いサポート

弥生株式会社の岡本浩一郎社長

 弥生は、中小企業を中心に75万のユーザー数を誇る業務パッケージで、最新版となる弥生10シリーズは、「弥生会計10(価格4万2000円から)」、「弥生販売10(4万2000円から)」、「弥生給与10(8万4000円から)」、「やよいの青色申告10(1万500円)」、「やよいの給与計算10(2万1000円)」の各製品で構成される。

 いずれもWindows 7に対応しており、マイクロソフトのCompatible with Windows 7ロゴを取得している。また、会計事務所会員(PAP)向けの弥生会計10AEも12月4日から発売するほか、顧客管理ソフトの弥生顧客8(3万1500円)も継続的に販売する。

 価格面では、従来製品に比べて「やよい青色申告10」で25.9%、「やよい給与計算10」で20%の低価格化が図られた。また「弥生会計 10 プロフェッショナル 2ユーザー」では41.7%の低価格化が図られた。「実売では10万円を切るのではないか。同等機能で10万円を切る価格は、“価格破壊”と言ってよいと思う」(岡本社長)。

 新機能として、「弥生会計」、「弥生販売」、「やよい青色申告」では、新たに搭載したオンラインアップデート機能により、インターネット経由で最新機能を追加したり、法令改正への対応、確定申告対応、最新の郵便番号辞書を利用することが可能になる。

 「政権交代によって、扶養控除の廃止などの変更が見込まれ、最新の法令に迅速に対応する必要が出ている。そうした動きにも対応できるようにした」(岡本社長)という。

 また、業種別テンプレートでは、サービス業を細分化。IT・情報サービス、デザイン、生保・損保、運輸の4業種を追加し、各業種での初期導入を容易にした。

 さらに、従来の操作マニュアルに加えて、年間の業務の流れに沿って、実際の取引を例に、帳簿や伝票入力方法などを解説する業務マニュアルを提供する。「弥生の操作を理解してもらうのではなく、業務そのものを理解してもらうという観点からもサポートする。初めて業務ソフトを利用するユーザーを対象に提供したのが業務マニュアル」とした。

弥生10シリーズは、全商品12月4日に販売開始する「やよいの青色申告10」の業務マニュアル。内容はソフトの使い方ではなく、はじめて会計処理を行うユーザー向けの、会計処理そのものを学ぶガイドとなっている。
「やよいの青色申告10」は、「電子申告の達人」をバンドルして1万500円に。昨年の同等パッケージから25.9%低価格化し、導入ハードルを下げる複数人数で利用可能なネットワーク版を11万250円から提供。店頭では10万円を切る見込み

「あんしん」を高めるWindows 7完全対応

 岡本社長は、会見のなかで弥生販売をWindows 7上で動作させたが、あえてCPUにPentium M 1.70GHz、メモリ1GBを搭載した古いノートPCを使用。「Windows 7は実際に優秀なOSで、このスペックで弥生会計、弥生販売、弥生給与、それにAcrobatとPowerPointが現在動いているが、とくにストレスを感じない」として、スペックの古いPCでも、Windows 7と弥生10シリーズが十分使えることをデモで披露した。

 また、10シリーズでは「あんしん」部分のサポートを強化している一例として、Windows 7への完全対応についても説明。「バックアップしている最中に電源を切ってしまうと、データが破損する危険性がある。そうした危険のある操作に対して、きちっと、現在こういう処理を行っている、と説明するメッセージが出てくることで、ユーザーがデータ破損につながる操作をすることを回避できるようにした」。

 「Compatible with Windows 7ロゴの取得は、動作するという意味ではなく、完全に対応するという意味。安心して使っていただける環境を提供できる」(岡本社長)。

弥生10シリーズは全製品で「Compatible with Windows 7」ロゴを取得09シリーズでも、データ保全のため、処理中には強制終了できないようになっていたが、10シリーズでは「次年度への繰越処理中のため」など、具体的な処理内容も表示されるようになった

業界で初めて、HDD復旧費用を20万円まで保証

 一方、サービスサポートの強化では、ソフトの導入を無償でサポートする「無料導入サポート」において、サポート期間の延長や無料入門セミナーの受講まで内容を拡張。「これらのサポートを活用しても導入できない場合には、返品も可能としている」という。

 また、有料サポートでは、ハードディスク内の業務データを復旧するとともに復旧費用を最大20万円まで保証する「ハードディスクデータ復旧保険」を業界で初めて提供するなど内容を拡充。

 名称も、従来の「ハイパーサポート」から「あんしん保険サポート」に変更したほか、通常サポートの上位版として、新たに「トータルプラン」を開始。弥生シリーズの運用に関する他社製ソフトのサポートを行う「周辺ソフトサポート」や、パソコントラフルの際に問題の切り分けや、解決方法について電話で回答する「PCトラブルサポート」を、同様に業界で初めて提供する。

 さらに、同社では、中小企業に対する導入促進策の一環として、弥生ネットワークシリーズの価格を大幅に見直した。これは、今年9月30日まで実施した弥生09ネットワークシリーズを半額で購入できるITコスト削減キャンペーンが好評だったことから、新たなキャンペーンとして実施するもので、弥生10ネットワークシリーズ3ライセンス版では25万2000円となどとなっている。

市場が縮小する中でシェアを拡大

 岡本社長は、弥生の新年度の事業方針についても説明した。「9月末で終了した当社2009年度は、原点回帰をテーマに取り組み、日本における中小企業、個人事業主、起業家の事業立ち上げと発展を支える社会的基盤になるというミッションとともに、製品とサービスの両輪で顧客を支援した」。

 「ここ2年間はシェアが低下する傾向にあったが、市場が縮小するなか、当社は2008年の36.6%から、2009年は38.5%にシェアが拡大。会計、青色申告、給与の各製品ともシェアを拡大した。売上高は微減だが、コスト削減などにより利益は上昇している」と売上などについて説明。

 弥生10シリーズの今後の展開については、「10月からスタートした2010年度は、愚直な実践をテーマに、製品の強化、サービスの強化、市場拡大に向けた努力の3点から取り組む」とした。

市場が縮小する中、昨年比で本数シェアは1.9%、金額シェアは5.2%増加競合他社とのシェア比較

「これならできそう」と確信を持ってもらえるソフトへ

 製品の強化では、中小企業、個人事業主、企業家のニーズに応えた、ユーザー視点での製品強化を掲げ、サービスの強化では、無料サポートおよび保守サポートの強化、市場拡大に向けた努力としては、起業家支援の強化、弥生エコシステムの拡大に取り組むという。

 「弥生09シリーズの発売以降、店頭に立ち、数多くの売り場店員や来店客と話をしたが、業務ソフトに興味を持っているが、踏み出せないという声が多かった。これならばできそうだ、という確信を持ってもらうソフトになっているのかという点では改善の余地があったと反省している。あらゆる角度から、かんたん、やさしい、あんしんという観点から取り組む」とした。

 弥生では、弥生エコシステムとして、解説書の発売や、ヘルプデスクの設置、各種セミナーの開催、全国1424人の弥生インストラクターの配置、全国3438か所の会計事務所で構成される弥生PAPによるサポート体制などを構築しており、「自分で学びたい、アドバイスを受けたい、あるいは商品について知りたい、業務について知りたいといったそれぞれのニーズに対して、対応できる体制を整えている」とした。

 なお、解説書としては、インプレスジャパンから「できる弥生会計10」が、12月上旬に刊行予定となっている。
 
 また、岡本社長は11月中旬にも、弥生10シリーズと協業パートナーとの連携の計画を明らかにしたほか、SaaS版は来年にも投入する予定であることを示した。



(大河原 克行)

2009/10/20 14:45