富士通、データセンター運用の負荷を軽減するアプリケーション変更管理化ソフト

フィンガープリントによる適用確認、本番環境の維持機能も

Systemwalker IT Change Managerの特徴

 富士通株式会社は10月20日、ITILに準拠した変更管理ソフトウェア「Systemwalker IT Change Manager」を発表した。アプリケーションの実行環境を認識した上で、変更を自動的に行える製品。同日より販売を開始する。

 Systemwalker IT Change Managerは、アプリケーションの変更作業を自動化するためのソフトウェア。エージェントソフトウェアが収集したアプリケーションの実行環境と構成情報を、管理サーバーのCMDB(構成管理データベース)へ自動的に格納する機能を搭載。その情報をもとに適用すべきサーバーを抽出し、アプリケーションの変更を、実行環境にあわせた方法で自動的に配布・適用できる。

 実行環境は富士通の「Interstage」とマイクロソフトの.NETをまずサポートし、2010年度の早いうちに日本オラクルの「Oracle WebLogic」と日本IBMの「WebSphere」をサポートする予定。特に実行環境を必要としない、CやCOBOLなどでコンパイルされたアプリケーションについては、標準で対応できる。仮想環境についても、サーバー管理基盤「ServerView Resource Coordinator VE」との連携でサポートするという。

 ミドルウェア事業本部 システムマネジメント・ミドルウェア事業部の大西真吾事業部長は、「サーバー集約やデータセンター統合が進んだ結果、サーバーと実行環境の対応が複雑化、かつ動的に変化するようになった現在のデータセンターでは、従来の運用手法ではもう限界になっている」という点を指摘。マルチプラットフォーム環境でも、アプリケーションの構成までをきちんと把握し、それにしたがって変更を反映できるIT Change Managerの価値を強調した。

ミドルウェア事業本部 システムマネジメント・ミドルウェア事業部の大西真吾事業部長アプリケーションの実行環境と構成情報を自動収集し、最適な方法で変更を自動適用できる
フィンガープリントによって、きちんと適用されたことを確認できる
ミドルウェア事業本部 システムマネジメント・ミドルウェア事業部 第四開発部長の石橋宏司氏

 また2つ目の特徴として、変更が本番環境へ正しく適用されたかどうかを確認する機能を搭載する。ミドルウェア事業本部 システムマネジメント・ミドルウェア事業部 第四開発部長の石橋宏司氏によれば、「これまでは、ファイル名や日時、サイズなどで適用を確認してきたが、実際にプログラムが一致しているかどうかを保証できなかった」とのこと。しかしIT Change Managerでは、ファイルの一意性を保証できるハッシュ関数(フィンガープリント)を自動比較する仕組みを導入し、変更が確実に適用されたかどうかを確認できるという。

 さらに、承認していない不正な変更作業を検出できる機能も提供する。IT Change Managerでは、アプリケーションの原本と、適用結果や申請・承認の履歴をひも付けて保存しているため、未承認の変更を検出可能。未承認の変更が発見された場合には、それを精査し、事後承認するか、本来の承認されている環境へ復旧できることから、「正しい本番環境の維持に効果を発揮する」(石橋氏)とした。なお、副次的な効果として、内部統制向けの監査資料としても利用できるとのことだ。

 価格は、管理サーバー(マネージャー)向けのプロセッサライセンスが150万円(税別)から、管理対象のサーバー(エージェント)向けのプロセッサライセンスが10万円(税別)から。出荷は10月下旬に開始される予定である。

 対応環境は、マネージャー、エージェントともWindows、Solaris、Red Hat Linuxに対応し、運用者は、Windows XP Professional/Vistaなどを管理用のクライアントPCとして利用できる。

 なおIT Change Manager機能のうち、変更適用の自動化機能では、配布・適用にかかる作業時間を平均で約50%短縮できたとのことで、富士通では、こうした効果を積極的に訴求していく考え。当初はInterstageのユーザー向けに展開するが、石橋氏は「対応プラットフォームの拡大により、他社ミドルウェア製品のユーザーの取り込みも狙っていく」意向も示した。さらに同社は今後、アプリケーション、サーバー、ネットワークといったシステムインフラ全体の自動化にも取り組む考えである。




(石井 一志)

2009/10/20 16:08